角を曲がるとパンを咥えて走ってきていた平成とぶつかってしまった。平成は倒れた拍子に鞄の中に入っていた30年を道路にぶち撒けてしまった。私は「大丈夫ですか?」と尋ねたが、平成は道路に散らばる30年を掻き集めて鞄に詰め込み、私に目もくれず走り去った。私は平成が落としていった食べかけのパンを拾って食べた。

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