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壁を乗り越えるには?どんな事にも必ず裏ルートがある。


Voicy No.174 2022年6月17日放送


無形のモノにお金を払えるか。


日本人には、丁寧にモノをつくるという非常にいい特性があり、手を抜いたものを売ったりすることはあまりありません。

モノに魂が宿るということで、自分がお客様に提供するもの自体をきちんと磨くことを真剣に熱心に積み重ねてきました。

ヨーロッパブランドを日本に持ってきて、そのあと自分でブランドをつくって、クライアントさんのリブランディング相談を日々受けていますが、コインの裏表で、過不足部分は表裏一体です。

日本人はモノに魂が宿ると考えている分、付加価値をつけること、無形のモノにお金を払ってもらうという感覚は、なんだか足りていないのです。

ブランドは、無形のものに無形の価値を与えること。

同じ革のバッグでもエルメスなので30万という話です。

「物理的にモノを入れるだけなら500円のエコバッグとエルメスのバッグでは入る量が一緒ですね」という議論になったら、なぜ500円と30万円の価格差があるのかは、物理的には説明が付きませんが、これは無形のブランドだからです。

説明が付かないことが、日本人のブランドづくりがうまくならない理由の根幹だと思ったりします。


壁に正面からいくな。


今日のテーマは「壁を乗り越えるには」です。

日本人はとにかく正攻法が好きです。アメリカの政治の世界でロビー活動という言葉があります。これは政治家の近くにいって自分の主張を強く訴えることです。法律をつくったり曲げたりする権限のある人が、その主張をある程度引き入れて、有利にというか、ひいきにしてくれることが結構あったりするのです。

これはどっちに賛成反対かを抜きに、例として聞いてほしい。

日本と韓国の間に慰安婦問題に関しては、例えば韓国がアメリカの議員のところに行って、「日本はこんな悪いことをしているんですよ」というロビー活動をやるとします。

どっちが正しいか間違っているかを抜きにして、その情報を知った人は最初、「こんなひどいことを日本はやったんですか」「つきましては慰安婦像を建てさせてもらいます」みたいなことになります。

慰安婦像が建った時点で、それを見たアメリカの方たちは、自分で歴史を全部ひもといて確認するわけでもないので、「何か悪いことをやったらしいな、日本は」みたいになることがあります。

でも、日本人は真面目だから正攻法でも何でもやろうとするわけです。それで壁の乗り越え方のときも、正攻法でやろうとする人が多いと思っているわけ。

さっきの政治的な話は、自分がどっちのスタンスかということを皆さまと議論を巻き起こしたいわけではないので誤解なきように。

日本人は、自分たちが正しいと思っていることをやっていれば、いつか届くみたいな感じですが、そういう影響力ある人のところに突っ込んでいってアピールするやり方は、政治の世界では当たり前だったりするのです。

「壁を乗り越えるには」というときに、正攻法でどうやってこの大きな壁を乗り越えようか。やっぱり努力だな、工夫だなみたいな人が多いと思いますが、別に正攻法じゃなくてもいいんです。どんなことにも必ず裏ルートがあるからです。

裏ルートというと、「法に触れるようなことをやれということですか」と誤解する人がいて、読解力のない方が急に誤解して、「コテツがダークなことをやれと言っていた」みたいになると困るので補足します。

法に触れるようなことをやることではありません。正攻法で正当な手順で、正当な窓口以外に、自分の壁を乗り越えるためのドアが、横とか後ろとか回り込んだら、結構開いていたりするということです。

壁を乗り越えるのではなく、すり抜けられるようなルートが、横や裏を回ってみたらあるわけです。


壁を努力で乗り越えなくてもいい。


例えばご自身のブランドやビジネスを拡大したいと思って、大手と取引したら自分のビジネスにすごくいいかなと考えるとします。

そんな方は、今だったらWebで検索して取引の窓口を探して、法人の方のお問い合わせ先にメールを送るかフォームを埋めて送信します。

すると法人のお取引担当からメールが来て、「お問い合わせありがとうございます」から始まります。

それは列に並ぶことですが、列に並ばなくていい方法は、やっぱりあって、それには社長や決裁者と友達になってしまえばいいわけ。

そこの社長がゴルフが好きなのか、サウナが好きなのか、マージャンが好きなのか、釣りが好きなのか知って、その仲間に入り込めばいい。

社長といきなり仲良くなっていったときに、「実はこんな仕事をやっているんです。誰々さんの会社でも、こういうことをやったらいいと思っているんですよね」と友達として話せるようになって、「そうかい、コテツさん。それなら、うちの担当役員に言っておくよ」となればいいわけです。

ですから、列に並ばなければいけないわけではないのです。

世の中はインナーサークルで決まっているから、そのインナーサークルに入り込めばいいということです。

ルールはありますが、ルールの外側が必ずあるのです。

これはオレの例ですが、1つめの会社を経営していたときにそこには100人以上いて、十数年経営していて新卒も採っていました。

新卒の面接手順では、書類が送られてきて書類選考があって、1次面接、集団面接、2次面接、集団面接、役員面接、社長面接という順番がある。厳密に言えば、集団面接で時間内に面接官の質問に答えたところで評価されます。

これは実際にあった話ですが、オレの会社で集団面接が終わった数日後だったと思います。

当時はすごく遅くまで仕事をしていたので、遅めに会社を出たら、スーツを着た学生っぽい人が立っていました。集団面接では、あまり印象に残らなかった方でした。

「先日、集団面接を受けました何々大学の何々です。面接でうまく説明できなかったのでお手紙を書いてきたんですが、いいでしょうか」と言って手紙を渡されました。

面接の受け答えで選ぶから、厳密なルール上ではダメです。でも同等ぐらいの印象の評価になっていた場合、それをやったほうが、壁の乗り越え方としては受かる可能性は高くなるわけです。こういうことは結構あります。


目的達成のためにできること。


ほかにも自分がその場にいたケースですが、あるレコード会社でイベント企画の打ち合わせを、そのレコード会社の本社の小さめの打ち合わせ室で、5人ぐらいでやっていました。

打ち合わせが長くなったので、休憩になって飲み物を買いに行こうと思って廊下を歩いていたら、きょろきょろしている金髪の人がいます。

「あのー」と言ってきて、とにかく怪しい。そこのフロアにいないような感じの人でした。「音源を持ってきたんですが、聞いてもらえますか」というボーカリストでした。

ビル丸ごと1棟そのレコード会社なので、受付が1階にあります。受付は結構厳密で、訪問先を言って入るので、受付が来客を管理しているのです。

でも、その方はデビューしたいのか、どう考えても受付をすり抜けてきて勝手に廊下を歩き回っているわけ。もしオレがレコード会社の人だったら、「君、受付したのか。誰宛なんだ」と怒ったでしょう。

「何の要件ですか」と言ったら、「自分は音楽をやっていて、聞いてもらいたくて」ということでした。

オレはそのレコード会社の人ではないので、どこかに通すこともできません。一緒に会議をしていたその会社のプロデューサーに、「音源を持ってきた人と今廊下で会いましたが、どうしたらいいですか」と聞いたら、結局、その人は音源を預かっていましたからね。

登竜門として、オーディションという形式があります。でも結局入ってきてしまう人は、入ってきちゃうんだよね。

その人がどうなったかオレはわからないけれど、その音源を聞いてもらうという目的は達成されているわけ。とにかくルールの外があるのを理解すると、壁は壁じゃないと思えてきます。


孫正義もルールの外からやっていた。


これは本に載っている有名な話です。新宿にあったマクドナルドの本社に、藤田 田というマクドナルド・ジャパンをつくった伝説の経営者がいました。

そこに大学生の孫正義さんが連絡をして会ってくれと言ったら、藤田さんから「アメリカに行くならコンピューターの勉強をしなさい」と言われたそうです。

これもはっきり言ってめちゃくちゃで、「何だそれ?」という話です。そのときは数千億までいっていたマクドナルドに一介の大学生が連絡して、「アドバイスが欲しい」と言うのはルール違反。

マクドナルドだって当時、新卒採用しています。「なんだ君。社長面接まで上がってきて質問しなさい」というのが、正当な方法でしょう。

このように本気で取りに行こうと思ったら、壁やルールの外に絶対裏ルートがあるのです。

ですから、
目の前の壁は本当に壁なのか。
壁なんてよけていけばいい。
どこかにすり抜けられるドアがあるはずだ。

そんな発想でいたほうが、
トータルで考えるとうまくいくというお話です。

以上、久々野智小哲津でした。

本文は
コテツがVoicyの「ブランディングと商売の話」で語った内容を
文章化し加筆したものです。
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