総合格闘技とアダルト業界との相性の良さ & 超RIZIN2メインカードの朝倉未来敗北をみて自分も頑張ろうと思った話(#64)
超RIZIN2は様々なアクシデントに見舞われながらも7月30日無事開催されました。
当初のカードは選手の怪我などの影響で大きく変わったものの思惑通りに進まない、驚きと衝撃など見どころがあったのではないか、というのが率直な感想です。
今回はベラトールMMAとの共催でもあり、いわゆる“本格路線”に加え、ライト層を取り込もうというマーケティングの観点が随所に散りばめられていました。
取り分け、U-NEXTという配信型のプラットフォームでのPPV販売をしていたこともあり、FALENOという同社のアダルトコンテンツで活躍する女性陣、またFALENOとの直接的な関係は分かりませんが、アダルト系に縁のあるの女優や元女優が多く起用されていましたのが印象的です。
メインカードのケラモフvs朝倉未来にて際どい衣装で花束贈呈した深田えいみさんも然り、こちらはケラモフ選手の母国、アゼルバイジャンで国営放送するのに如何なものかという多くの批判とともに、11月にはアゼルバイジャンで大会が開催されます。
アゼルバイジャン大会で主催者はRIZINガール含め、どういった対応をするのかが気になるところです。
アゼルバイジャンはイスラム教国だからで、アゼルバイジャンでの格闘技イベントも初めてだという話もあります。
なぜ“セクシー系”が多く採用されたか、について考える
解説席には三上悠亜さんという元SKE48アイドルもしていたAV女優、今風にいえばセクシー女優の方がいました。
格闘技に無知なのはご愛嬌としても、やや意図したセクシーな物言いが何故か“場違い”な感じを与えていたのは否めません。
加えて冒頭に登場した深田えいみさんの衣装をみた反響からも「彼女たちは不要だ」というファンの声もわかる気がします。
しかし、どうして彼女がRIZINに起用されたのでしょうか。
唐突な印象ではありますが、先の冠スポンサーであるU-NEXTの意向以外にも彼女たちが起用された背景には“ライト層”の取り込みたいというRIZINサイドの思惑が隠されているように感じます。
彼女たちが起用された理由は2つ。
①“インフルエンサー”としてのセクシー女優
かつてAV女優という肩書は「隠したいもの」でした。
その時代に浸っていると到底考えの及ばないくらい現在ではあっけらかんと披露しているようでさえあります。
その中で三上さん、深田さんはデレビに出演する俳優・女優陣とも遜色ないあるいはそれ以上にSNS上で名が知られた存在です。
これまで男性層から支持によって成り立っていた業界も、現代では女性からの支持も多く集めています。
少し脱線しますが、インターネットの普及を背景に、“むっつりスケベ”の性差はなくなりました。
それどころか女性を解放した側面が強いかもしれません。
インターネットから簡単にエントリーできるといったようにハードルが少しずつ下がっていき、実際AVで披露する女性の妖艶な姿に憧れて、業界に飛び込む女性も増えているようです。
アイドルでくすぶるよりAVで有名になった方が…という考え方など、経済的な理由とトレードオフしていた時代にはない発想かもしれません。
それゆえ競争は激化し、ますます出演者の容姿は端麗になっているのが現在です。
つまり三上さん、深田さんはそんな激化した競争の中で、いわば“AVドリーム”を掴み取った数少ない存在でもあります。
そんなドリーマーを起用することで、RIZINひいては格闘技を知ってもらおうとしたのではないでしょうか。
② 格闘技とAV業界との相性の良さ
次に三上さん、深田さんほど有名でないにせよ多く登場した理由は格闘技との相性の良さです。
相当とも「裸一貫」をベースにして成立しています。
格闘技はわかりやすく表現するとしたら「競技化した喧嘩」で、
競技化とはルール化とも言い換えられますので、その範疇で公平性を担保し、競い合うものとなるのです。
その公平性を最大限に担保するのが「階級」、つまり体重です。
特に格闘技の場合、スポーツというには死の危険性を強く帯びています。
精神分析学の祖、ジグムンド・フロイトは生の情動を「エロス」と表しているのですが、彼は人間の生きる源の論理を「エロス」を通じて打ち立てました。
フロイト理論に基づくと根源で格闘技とアダルトの世界が「エロい」という次元で共通するのです。
裸一貫でたとえ演技であろうと真剣勝負であろうと「己の身体を呈して何かを表現している」という点は同じではないでしょうか。
また、その身体を駆使して表現したいことは視覚的部分に留まらず、その場面に存在する内面性(その当事者の“気持ちいい”や“愛している”、“勝ちたい”、“負けたくない”等等)が発露しているともいえます。
そう考えると格闘技とアダルトの世界で表現したいものは意外と近いところにあるのかもしれません。
ラウンドガールあるいはレースクイーンなども、競技や展示をメインとしたら別に必要な存在ではありませんが、見る人達の内面性を誘導するための象徴的な存在なのでしょうね。
メインカードの朝倉未来選手の負けを受けて
朝倉未来選手は1Rわずか2分足らずでこれまで見たことのないようなタップアウト負けを喫しました。
これを受けて「朝倉は弱い」といった声をネット上で散々見かけました。
何もできなかったというのは本人談でもあり、観戦した側も多くが同じ感想を抱いたかもしれません。
「虚無感」「落胆」−−、当人の心境を表現する様々な言葉が飛び交っています。
しかし裸一貫であれだけ有名になり、経済的な成功を収めたとしても、「自分がちっぽけな存在に感じた」というYouTube上のコメントは印象的でした。
当然この先、選手を続けて、さらに厳しい練習を続けたとしてもケラモフ選手やクレベル選手に勝てる約束がされているわけではありません。
しかしもし次戦があった場合、今回の負けとどのように向き合ってきたかは見る側に必ず伝えてくれます。
「負けや挫折の時こそ、その人自身が試されている」
たとえ、勝てずボロボロになって引退したとしても評価を落とすことはないと思いますし、むしろ尊くもあります。
勝ちは誰かの負けの上に成り立っている以上、勝ち以上に負けと向き合う姿勢がどんな瞬間にも問われているのではないでしょうか。
勝者は“兜の緒を締めよ”ですが、負けても死ななければ負けではありません。
自分自身に対する虚無感、落胆などに真摯に向き合っていけば敗北は決してない気がしています。
それは当然我々にもいえることで、格闘技、そして今回のメインカードをみて、思った率直な感想で、私も頑張ろうと思ったのでした。
頂いたものは知識として還元したいので、アマゾンで書籍購入に費やすつもりです。😄