映画『ダンサーインザダーク』レビュー
こんにちは、私立の幼稚園に通っていたのですが、久しぶりに見た学芸会の劇でジャックと豆の木をした時のビデオにはジャックとお母さんが8人ずつ登場しており私立っぽさを生生と感じました。ちなみに私はお母さん役でした。
5本目の映画は2000年公開の『ダンサーインザダーク』です。自分が生まれた年の映画ってなんとなく特別に感じませんか?
歌詞で『ダンサーインザダーク』という言葉たまに出てくるけどなんなんだろうと思っており、最近になってこの映画の存在を知りました。歌詞の理解が深まるかもというやや不純な動機から鑑賞、胸糞映画と聞いていたので身構えていました。
結論から言ってしまうと私はそんなに胸糞悪さは感じませんでした。後味は良くなかったです。
内容
※ネタバレです
チェコからの移民であるセルマは息子のジーンと2人でトレーラーハウスを借りて暮らしています。セルマは先天性の目の病気を患っており、視力が低下し一年以内に失明してしまいます。またその病気は息子のジーンにも遺伝しており、13歳までに手術を受けなければなりません。また精神的なショックが視力に直接的に影響してしまうのでセルマはジーンに病気のことを話していません。セルマは工場で生活費を稼ぎながら内緒でジーンの手術費用も貯金しており、生活は貧しいのですがトレーラーハウスの持ち主の夫婦や工場の同僚のキャシーに支えられ大好きなミュージカルにも参加しながら楽しい日々を送ります。
ある日の夜、トレーラーハウスの持ち主であるビルがセルマのもとにやってきます。ビルは疲れた様子で妻のリンダの浪費グセのためお金が足りないと話します。セルマはビルに自分も秘密を教えると言って、ジーンの手術費用がもうすぐ貯まることを話します。2人はこのことを誰にも口外しないと約束しビルは自宅に帰ります。
セルマの視力は日に日に低下し、工場でのミスも増え、解雇されてしまいます。家に帰ったセルマはジーンの手術費用が盗まれていることに気づき、ビルの家向かいます。ビルはセルマが自分のお金を盗んだので警察を呼ぶように妻のリンダに伝え、セルマにはお金を返して欲しければ自分を殺すように言います。セルマは拳銃をビルに向けて発砲して殺害し、その後急いで病院に行き医師にお金を渡します。
逮捕され裁判にかけられてもセルマはビルとの秘密を口外しない約束を守り、最終的にはビルのお金を盗み殺害したとして死刑を宣告されます。そして死刑執行前に、友人のキャシーがセルマにジーンのメガネを渡し、手術が成功したことを知らせます。死刑執行を嫌がり生きたいと願うセルマですが、最後には刑が執行され映画は終わります。
色彩表現、感想
映画の冒頭から引っかかっていたのが画面の色でした。
20年前の映画ってこんなに色あせていたっけ?と疑問に思っていたのですが、中盤セルマが大好きなミュージカルの世界に入り込む際に画面は一気に色鮮やかになります。こちらが普段の色彩↓
そしてこれがミュージカルシーンです↓
全体的に寒色が強くなり、色もはっきりと見えてスッキリした印象になります。セルマの心がミュージカルによって晴れる様子が目に見えてわかる素敵な表現です。
どんなに生活が苦しくてもそのことを考えただけで心が晴れるくらい大好きなことがあるのはとても良いこと、羨ましいです。好きなことが気づいたらやらなきゃいけないことに変わっていることってありませんか?『これしたい』『やってみようかな』と思っている間は楽しいのに、いつの間にか『やらなきゃ』という義務感に変わってしまっていて、その時にはもう楽しめなくなっていることが時々あるので、セルマのようにずっとミュージカルを好きでい続けられるのってある種才能だと思います。
ビルにお金を盗まれたあたりからセルマの致命的すぎる純粋さが目立ち始めるのですが、私は終始この純粋さにイライラしていました。自分が貯めたお金を盗むような人との約束を守る必要なんて微塵もないのに、なぜ裁判では本当のことを話さなかったのか疑問です。自分だったら絶対に喋ってしまう。病気のことを息子に知られたくないのなら『これは息子に知られたくないので絶対に話さないでください』から始めればいいじゃないですか。正直死刑になってしまう結末は周りの人間というよりもセルマ自身に原因があったように感じます。きっとちょっとずる賢いくらいが人としてちょうどいいんだなと思いました。
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