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スパイス屋さん、はじめます

夫がせっかく(?)インド人なのに、今まで全然生かせていなかった。

まぁたしかに我が家にはいろんなスパイスがあるし、うちのごはんはカレー率が高い(たぶん同居の父はウンザリしていることだろう…)。子どもの友達にもうちはいつもカレーのにおいがする、と言われるから、他の日本人よりもスパイスを多目に摂取して、認知症とかにはなりにくいかもしれない。家の中どころか私自身ももしかしたらカレー臭を漂わせているかもしれない。誰も教えてくれないけど。でも、そもそも私はそんなに料理が得意じゃないし、夫に作ってもらうカレーのほうが確実に美味い。

タミル語だって全然できない。昔義姉から新聞紙のような色をした、新聞紙のような紙質の文法書が送られてきたが、あのグルグル文字の説明がすべて英語で書かれており、全く読めなかった。

ところがある日、娘の学校の献立表に「ラッサム」の文字を見つけた。ラッサムとは南インドではよく食べられている料理で、和食でいう味噌汁のような、日本人のイメージするインドカレーとは全然違う、あっさりしたスープである。最早日本の公立小学校でラッサムが出る時代になったのか…!!!

衝撃だった。

早速娘に感想を聞き、私もそんなおいしいラッサムを自分で作ってみたいと思った。そして、初めて義姉に(夫に内緒で)作り方を聞いた。タミル語はもちろんできないので英語で。義姉は親切にも動画を添えて作り方を教えてくれた。速攻夫にタマリンドを用意するよう命じ、初めてサプライズでラッサムを作ってみた。タマリンドを用意させている時点でサプライズではなかっただろうが、初めてにしては上出来だった。

自分が作ったもので喜んでもらえるのは嬉しいなぁ。そして、何より上手に作れて嬉しいなぁ。

それが今思うとはじまりだったかもしれない。上手くできたので、調子に乗って他にもいろいろ作ってみたくなった。義姉にまた作り方を尋ねた。そして紆余曲折を経た結果の第一弾として、チャナダル(ひよこ豆の挽き割り)カレーが完成したのである。ズボラでもともと料理が得意でない私が一人で作れるのだから、大抵の人は上手く作れるはずだ。そして、「スパイスさえあれば自分でも南インド料理なるいかにもハードルが高そうな料理も作れるのか」と感動を覚えるはずだ。


保健所にも電話をし、許可が必要なのかいろいろ聞き、オンラインで届け出ができることを知り、早速届け出を済ませた。何かが形になっていくのって本当にワクワクする。あれこれ妄想がふくらむ。


余談だけれど、姉さんの料理動画は見ていて飽きない。YouTuberではないから何の編集もないし、手元しか映ってないんだけど、調理道具も日本のとデザインとか違うし、シズル音もいい感じに入ってるし、外のバイクのクラクションの音とか、テレビの音とか騒がしい感じも、風景まるごと南インドの家庭料理のレシピって感じで何度も見てしまう。

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