【日記】高速バス

 高速で移動する電車に揺られてて、以前に高速バスで旅行に行ってた時のことを思い出した。本当に安価で済ませ、宿すら要らないから現地に行きたいとなれば高速バスは最高の手段だ。夜に出発して、未明に到着する。かつての寝台特急というものも、そんな感じだったんだろうか。ターミナル駅に向かい、点呼のようなことをしてバスに乗り込む。隣に他人が座っているかどうかがポイントだ。隣に誰かいると、ひどく気を使う。一回、窓際の席が取れたときに、消灯の時間が来るまで窓外の景色を見ていたことがあった。並み居るビルが、まるで特撮のようなパースで動いていく、大きなカーブを描いている首都高を眺めたりしていた。そっとカーテンを閉じて、青白い弱い光も落とされ、完全に暗闇になる。ここから眠れれば良いが、たいてい何かが気になって眠れない。視野に何もないので、安定しているとはいえ高速で揺れるバスの振動や音が、どこか不安を煽る。たまにグーグルマップを開いて、現在地が高速で動いていることを確認したりした。サービスエリアでトイレ休憩がある。そこでトイレを済ませて、戻ろうとすると、まるで同じ姿をしている高速バスがずらっと並んでいる。現実的ではないが、今まで乗っていたバスに戻ることが出来なかったり、他のバスに乗り込んでしまったりして、カツカツに組んだ旅行計画がお釈迦になる、など想像してしまったりする。深夜になればさすがに眠りに入るが、今度は四時か五時頃に目を覚ますこともよくある。いくら倒しても、結局は椅子の形である座席で眠るのはかなり難しい、姿勢を何度か変えて安定する姿勢を探すのだがそれでも腰が痛くなる。しかし、ふとした瞬間に目的地に着いており、まるで放り出されるように下ろされる。

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