見出し画像

クラファン寄贈プロジェクトー体験者インタビューVol 1ー

クラウドファンディング、クラファンって皆様ご存知でしょうか。
多数の方々から支援を募り、プロジェクトを成功させるというものですが、ここ近年で様々なプラットフォームが誕生し、成功事例も多く存在します。

実は、昨年弊社もクラウドファンディングに挑戦しました。
(このnoteをご覧頂いている方々にも支援者の方がいらっしゃると思います。ありがとうございました!)

結果はお陰様で大成功、二か月で目標金額を無事に調達し、プロジェクト進行が決まり、今そのプロジェクト&開発の真っ只中です。
プロジェクト内容はというと、皆様ご存知のWith My Eyesプロジェクトに採用されているカメラ型の網膜投影機器、RSC(仮称)のプロトタイプを製造し、盲学校に届け、児童生徒の皆さんに使ってもらいます。その後私たちは、RETISSA SUPER CAPTUREプロトタイプの使い心地を伺ってフィードバックし、より使いやすい製品RETISSA SUPER CAPTUREの開発につなげるというものでした。

詳しくは弊社のクラウドファンディングページをご覧ください。

皆様のご支援のお陰で集まった支援金で、早速横浜市立盲支援学校に一台寄贈させて頂き、吉木先生から体験者インタビューを聞かせて頂きました。
記念すべき第一弾、弊社の代表菅原がインタビューしておりますので、皆様是非ご一読下さい!

体験者インタビュー第24回

「実技の指導に活かせます。」

民生器RETISSAシリーズのレーザ網膜投影技術をご体験いただいた方に、そのご感想を伺うインタビューシリーズ。第24回は日本テレビの人気ドラマ「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」(2021年11月10日~12月15日)の監修をなさった、横浜市立盲支援学校の吉木功先生にRETISSA SUPER CAPTUREをお使いいただき、ご感想を伺いました。

画像1

2021年10月18日(月)放送
日本テレビ「イントロ」より

ご協力いただいた方
お名前:吉木様(50歳台)
ご職業:盲学校教諭
眼疾患:緑内障
視力 :右眼 0.02  
左眼 明るさを感じる程度
お試しいただいた機器:RETISSA SUPER CAPTURE(レティッサ スーパー キャプチャー)

―自己紹介をお願いします。
横山市立盲支援学校の教諭です。本校は昨年(2021年)日本テレビの「恋です!ヤンキー君と白杖ガール」の撮影場所となりました。私も監修として、役者さんの演技指導をしました。視覚障害を知って欲しかったので良い機会だと思って協力しました。
学校では、主にあんま・マッサージ・指圧・鍼灸の授業を担当しています。生徒の年齢は20代前半から50代までと様々です。

―眼のことについて聞かせて下さい。
私の眼の原因疾患は緑内障で、15歳の頃に発症しました。眼圧がとても高くて、点眼薬が効きませんでした。左眼は20歳までに3回手術しましたが改善していません。
自分の意志で高校から盲学校に進学しました。当時から中心を含む視野欠損があったので、縦書きの文字を読むと途中が途切れてしまいます。そのため、盲学校でも縦書きの国語の教科書は読みづらくて、苦労しました。
現在、左眼は視野の一部分で光を感じる程度の見え方です。右眼はランドルト環視力が0.02です。眼鏡の有無で視力に差はありませんが、眼鏡をかけると、ぼやけ方が抑えられて締まっているように見えるので歩きやすくなります。
両眼とも眼圧はこの30年ほど変わっていません。年に3回ほど眼圧測定をしてもらっていますが、自分でも頻繁に眼球をまぶたの上から触って眼圧をチェックしています。眼圧がとても高くなると、眼球が水のたくさん入ったゴムまりのように固くなり、少し前に飛び出した感じになります。私は、点眼薬よりも首のリンパのマッサージの方が眼圧の安定には効果があると実感しています。
視野の中央を通る光の横線と斜めの線が視界を遮っています。視界の上と下に見える場所がある感じです。例えば人の顔を見ようとしたとき、相手の眼の部分を見たら口と鼻は光の線が邪魔で見えず、顎が見えるという見え方です。眼科での視野測定では視野10パーセントといわれていますが、測定の時に見続けていなければならない指標がそもそも見えないので、視線を固定することは難しく、視野検査計での測定がうまくできません。ですから、測定値も大体の値です。

画像2

RSCを覗く吉木先生。横浜市立盲支援学校にて。

―RETISSA SUPER CAPTURE(以下RSCと略す)を使ったご感想を聞かせて下さい。
授業のときに使ってみました。鍼管を使って鍼の柄の部分を軽くとんとんと叩く微妙な動きや、指圧するときの拇指の角度など生徒の手元を、RSCを使ってはっきりと見られたので、その場で、口頭で指導することができました。
いつもは必要に応じて、生徒の手に触れたり、私の身体を指圧させたりして指導しているのですが、それでは生徒の自然な動きを確認できませんし、すぐに手の動きや指の向きを直してあげることができません。正直、即座に対応できる晴眼の先生をうらやましいと思っていました。
RSCを使うと、生徒の手技を見て、必要があれば手の部分を拡大して、リアルタイムで指導することができたので、私にはいいなと思いました。
よく見えて面白いので、手の動きを拡大してずっと見ていました。少し酔ってしまったほどです。慣れも必要かもしれません。屋上に上がって、景色も見ました。その時は長く眺めていても酔ったりしませんでした。横浜のランドマークタワーが見えましたし、近くの建物の窓枠も見えました。

―タブレットやほかの視覚支援機器との違いは感じましたか?
感じました。タブレットも見たい部分を拡大することは出来ますが、とても大きくして、さらに画面に顔を近づける必要があるので、全体像をつかみづらいです。また、表示された画像は自分の眼の視力で見なければならないので、どうしてもぼやけて見えます。RSCはピントがあった画像が網膜に描かれるので、それほど大きく拡大せずに、全体の様子が分かります。そして必要なところを選んで拡大して見ることもできるので、私のような眼にはとても見やすかったです。
単眼鏡は、筒を覗くような狭い視野なので、目標物を見失いやすい上に、私はピントを合わせるのが苦手になってきています。RSCはオートフォーカスなので、ピントを合わせなくていいですし、単眼鏡よりも広い視野を見ることができるので、看板などを見つけて読むことができて便利だと思いました。
質問ですが、私の視界に常にある横線と斜め線はRSCで物を見るとき、少し薄くなって、線に重なった部分も少し見えるようになります。これはなぜなのでしょうか。

(菅原)網膜の端にまでピントの合った画像を走査しているからだと考えられます。普通私たちの眼球は、構造上網膜の端の部分(周辺部分)にピントを合わせることができません。レーザ網膜投影技術を使うと、網膜の端にまでピントの合った画像を描くので、視神経を通って得られる視覚情報が多くなります。それで、光の線に重なった部分も少し見えるようになっているのだと考えられます。

―児童生徒の皆さんの視覚体験を増やすということに、RSCは有効だと思われますか?
とても有効だと思います。地面の草や砂利が見えてはいても、細かい様子まではつかめていません。タブレットなどを使って拡大してみても、自分の眼ではピントが合わないので、ぼんやりしていることに変わりはありません。機器を使ってはっきりものを見て、感動したり驚いたりすることがとても大切です。RSCで草の生え方、砂利の様子などを見られたら児童にとっては重要な経験になると思います。
RSCは小学生には少し重いですが、固定するなどの工夫をして、児童生徒にいろいろなものを見る体験をしてもらいたいと思います。こんな機械があるのだということを知らせるのもいいことだと考えています。

(菅原)視野測定のお話が出ましたが、現在私たちは大学と連携して、被験者の眼の動きを観察しながら視野を測る装置を開発しています。この装置を使えば、真正面を見続けなくても、また眼が始終動いていても視野を測定でき、さらに視野が欠けているのがどの部分なのかを客観的に知ることができます。

それは興味深いです。私のように中央部分が見えない子供や、見える部分を探して眼を常に動かしている子供の視野は、現状の視野検査計では正確に測れていなのが現状ですが、私たちが子供たちの見え方を把握することはとても大切です。視野や視力に応じて、適切な補助具、教材を用意したり勧めたりしますし、眼の動かし方について適切にアドバイスすることによって見やすくなることがあるからです。例えば「少し視線をずらしてみてごらん」などという声がけが有効なことがあります。見やすい見方で見るということに気づいていない子供もいるのです。子供たちの見え方を正確に把握するという取り組みは、今後もっと力を入れていかなければならないと考えています。
 先ほどもお話ししたように、私は視野の中央部に欠損があります。縦書きの文章は練習しても読めるようにならず、高校生の頃、国語の勉強が遅れてしまいました。横書きなら読めたので、母親が国語の教科書を横書きに手書きしてくれたのですが、当時の盲学校の国語の先生に「国語は縦書きだよ」と言われてしまいました。折に触れて思い出します。本校の校長である長尾一先生は国語担当で、教育委員会に働きかけて、採用試験などの小論文の原稿用紙を、縦書き横書き選べるようにしました。40年前にはそういうことはありませんでした。これから、子供たちひとりひとりの見え方を把握して適切に対応する取り組みをもっとしなければならないと思っています。

―ありがとうございました。

*このインタビューは2022年5月17日に行いました。
*個人の感想です。見え方には個人差があります。
*RETISSA SUPER CAPTUREは医療機器ではありません。特定の疾患の治療や補助・視覚補正を意図するものではありません。
*網膜投影技術の詳しい仕組みはこちらをご参照下さい。
https://www.qdlaser.com/applications/eyewear/


体験者インタビューは引き続きnoteで公開していきますので、QDLのnoteページのフォローとスキ♡をよろしくお願い致します。