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セレクト

180枚の作品の中から、ここからダイレクションをしなければならない。
過去にも何度も同じようなことはやってきたけれど、どうも同じような飛行機本位の写真ばかりに偏ってしまった。JAAP日本航空写真家協会(個展開催前の23年に準会員を退会)の写真展には14年度から毎年参画していたので、9作品のセレクトの度に必ず振り返りはあった。しかしだ。個展となればすべて一人の作品で会場の壁を埋め尽くさねばならない。まずはメインビジュアルを決めようとしていた。これは大きな機体の飛翔感いっぱいのものと決めていた。となるとBoeing747かAirbus A380か。入口はキャッチーな一枚を入れていき。…PowerPointで配置図を描き、上下の2パターンで4面の壁に写真を置いてみることにした。その間も空港に通った。4月の終わりから9月まで半年でLighroomのFolderにはありえない数の写真が並ぶことになった。何度も繰り返し、4つの壁をそのまま文字どうりのコーナーにして、それぞれに暗にテーマを持たせた。新しさ/煌びやか、クラシカル、スペクタクル、静かさ という具合。そのうちの2面の真ん中に全倍作品を1点ずつ入れてみようと考えたのだ。直球勝負の飛行機本位作品を中心に置きながらも、そればかりではなく、飛行機がどこにどのように飛んでいるかすら危ういような余韻を残す作品も配置していった。中には花火の作品も。(この作品は後で3回の焼き直しを経験することになる)頭の中にあったのは、あの"仕掛け”の言葉だった。自分の中ではひと月ごとにスケジュールを組んでいた。1.見積 2.点数 3.方向性意図 4.撮影 5.編集 6.セレクト(1,2,3次) 7.配置 8.プリント 9.再配置と確定 4-7くらいは並行し、かつループして昇華させていった。(同じ狙った作品を5か月追い続けというものも)
私的には詰めが甘い性格なので、最後の最後までを気を抜かずに、それでも1カ月前の9月にはすべてを終えようと強く考えた。最後に迷い、疲れて、個展自体の大事な目的を見失うことが結構怖いと自身では思えていたからだ。
空港に毎日通った時も必然となる。ここまで熱中、没頭し頑張った月日はなかったように思う。そのなかで、まだ見ぬ世界に何度も出会うことになる。


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