「語りたい」曲たち
俺にだって語らせろ!という気持ちで書こうと思った。上半期によく聴いた曲を見てみたら、本当にめちゃくちゃな並びで面白かった。
よく聴いているからといって、それに大きく影響を受けたかは、また別だから、ここでは、いやあこれは語りたい!話させろ!という曲を選んでいこうかと思う。
毎日なにか音楽を聴いてるし。思えば、苦手なジャンルもあるけれど、バラバラに音楽と触れ合っているなあ、と。
プレイリストはApple MusicとSpotifyで公開しているので、良かったら!
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Ted Carson - Cravan
キャラバンはスタンダード・ナンバーだけど、こんなに変な、というか奇妙、だけどフリーじゃないような、変な演奏は聴いたことがなかった。この録音は、すごく短くて、カーソンの奇妙だけど面白いソロが、うれしい。なんというか、フリーやモーダルを通ってのソロというより、パーカーとモンクがくっついてトランペット奏者になったような、バップさが心地いい!
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SBTRKT - New Drop. New York
ポスト・ダブステップと括られるジャンルは、かれこれ聴いてきたけど、この曲こそ、それにふさわしいのでは!と感動した覚えがある。音数と音のデザイン、それに強く前に出ているダブの要素が心地いい。ベースも、盛り上がったところのビートも、何もかも最高。
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電気グルーヴ - エンジのソファー
再結成後の電グルは、安定したテクノで、アルバムでは人間と動物が好きなんだけど(全アルバムではVOXXX)この曲は、トラックの、昭和な歌謡曲をおちょくったような雰囲気が面白い。そしてとんでもない歌詞、初めて聴いたとき爆笑した。一応、ルビーの指輪みたいな曲を作ろう、みたいなノリだったらしいけど、ほんとうに、ひどい(褒め言葉)。
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Seth Graham - My Desire for you is to Stop Being a Fuck Wad
のっけからヘテロフォニーな始まり方だけど、室内楽曲じゃないことが後からわかると、ドローンのような響きに感じる。鳴っている楽器がそのジャンルを決定するわけじゃないんだな、と思った。はっきり言いますが、僕はこのアルバムからめちゃくちゃ影響受けています。
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三上寛 - 青森県北津軽郡東京村
灰野敬二からの流れで、このアーティストは聴かなきゃな、と何年も思ってたけど、どうにもこの歌い方が合わなかった。でも、この曲は、その歌い方が、おかしな歌詞と相まって、コミックソングに聴こえなくもなくて、すっごく好きだ。途中で入る太鼓も、民謡への愛着のようなものを感じる。
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愚 - あかりが消えたら
伝説すぎる。と思うフォークソング。鳥肌がすっごい立つ。フォークは歌詞がちゃんとしていないと、何にも面白くないし、ギター一本じゃないなら、編曲もまた難しい。歌声にも、メロディーにも、最新の注意を払わないと、成立しないと思ってる。この曲は、全部が揃ってて、この曲はすごい。歌詞が!と思うけど、この音楽、編曲だからいいんだよな!とも思う。一聴して、歌声好きだなー、と思った方は、秘密結社〇〇団の、あくまのお話し、も聴いてほしい。69年で萌声やってるから、この人。
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サザンオールスターズ - エロティカ・セブン
正直、この曲を聴いたとき、音楽を辞めようと思った。音楽性全然違うから、すぐ復帰したけど。本当に、打ちのめされた。イントロから、もう、惹かれる。でも本当にすごいのは、歌のメロディに、その言葉や、拍で歌っちゃうのか、というところ。わかりやすい構成の曲だし、ノリがいいので、ボカロ曲に親しんでる人々に聴いてほしい、という思いもある。それにしても、このメロディとリズムは、ヤバすぎる。
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ぽんぽこ - Bokeh
ぽんぽこの歌声の唯一無二なところが、出まくってる。この簡素なトラックで、それをやってるっていうのが、ボイスをフィーチャーしてる…と思った。歌詞はピーナッツくんが書いたみたいだけど、ピーナッツくんの化け物な才能が炸裂してる。すごい。
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Area - li bandito del deserto
おれさまが口を酸っぱくして、このバンドが大好きなんだ!とずっと言っているArea。この曲では、ボーカルの異質さもわかるし、演奏のテクニカルさ、構成の妙が、完全にポップに仕上がっていて、たまらない。Areaの曲は、基本ジャズみたいに、テーマが最初にきて、それがすごくキャッチーなので、そこだけでもいいので、聴いてください。変態さんは、ボーカルはもちろん、主にドラムの意味不明な刻み、どういう和音の積み方をしてるんだというピアノも、動きまくるベース、とにかく全部聴いてほしい。変、なのに気持ちよくて、ポップだから。
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新藤千尋(ef) - 空の夢
一昨年に出会ったナンバーワンの曲はこれだった。自分の曲は、音数が多いと、ずっと嘆いているんだけど、この曲を聴くたびに、音数は多くてもいい、しかし、それらの処理が大事なのだ!と喝を打たれる。自分は強烈に感動すると、目をかっぴらいて口を手で覆ってしまうのだけど、これはそうだった。シューマンとかフォーレが好きな人、どうぞ。
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薄塩指数 - あは↑↑
羽累が使われている曲を聴きたくて、なんとなくクリックしたら、あれ?この曲はガチでやばいんじゃないか?と思い、全部聴いたら、それが確信に変わった曲。イントロ1秒で惹き込まれて、11秒でもう最高!となった。いって仕舞えば、ポスト・パンク、ノー・ウェーブな曲なんだけど、作者がその暗さを逆手にとって、病み、よりも、暗黒さを出しているのが好きだ。48秒あたりに挿入されるギターで、ニヤニヤした。ギャング・オブ・フォーじゃんかよ、と。
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Don Cherry - Brilliant Action
この曲に憧れて、高校の時に小学の頃やっていたトランペットを買い直した。文化祭でぶっ壊したり、うったりもしたけど、今もトランペットが好きなのは、この曲に出会えたからだと思う。フリー・ジャズとはいうけれど、その、ユートピア的なフリーを感じる。何をやってもいい、ではなくて、何をやっているのだろう、という感覚。
そして、それが衝撃や感動になること。ドラムとトランペットの曲だけど、それがまたいい。Duoだと、スティーブ・レイシーと、冨樫雅彦のアルバムも好きだけど、このMuは異常に好きだ。
あと、サブスク縛りにしたかったんだけど、どうしても好きなトランペッターがいて…アルバート・アイラーの、Spiritsというアルバムに参加している、Norman Howard。このトランペッターは、なぜだか、本当になぜだか!あまり音源が出回っていなくて、悲しい。自分は、ドン・チェリーのフリーも大好きだけど、ノーマン・ハワードのフリーさ、大好きです。こうなりたい。
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Dohonanyi - Quintet in C minor / Op.1
美しすぎて、涙。ブラームスなロマン派だけど、各所に、新しい音が感じられる。その息遣いが、荒々しくも気品があって、すてき。ドホナーニは良いですよ。
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Donut Dodo - Ferris Wheel Frenzy
ハッピーなのに、あやうくて、かわいらしい。その二音の音程で、楽曲全体が変わった!というのが、ああっ、と感涙。偶然Spotifyで流れてきて、感動のあまりゲームも購入しました。最高です。
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Mahala Rai Banda - Mahalageasca
聴いてください。マジで。ここ数年間で最も感動した曲です。
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Yacoub Shaheen - Shou Elfkrah
アラブ・ポップをよく聴いていた時期、この曲に出会った。素晴らしいな、と思った。ミックスとマスタリングのバランスが完璧すぎる。
自分が本当に感心したのが、アラブ圏の歌は、拍子の感覚が日本の演歌のように、揺れるんだけど、その揺れにバック・ビートが融和しているというところ。だから、サラッと聴いてると、あれ?拍ずれた?変拍子?となるところが、いい。そしてこの歌い上げる、高らかな声。盛り上がるサビではないし、わかりやすいビートでもないのに、ちゃんとダンサブルで、かっこいい。楽器の粒立ちだって半端ない。素晴らしい曲です。サビのコーラスが高橋幸宏にしか聴こえないので、そこだけでもどうぞ。
[Spotifyではアラビア文字表記になっています]
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The Brian Setzr Orchestra- Americano
かっけー!となる。ただのロカビリーじゃない。固定されたジャンルの、それっぽさというのを、うまく劇場化しているなあと思った。あの頃の、熱狂を!その悲哀を!という気持ちになる。いやあ、かっこいいですよ。
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Gülşen - Bangır Bangır
去年出会ってナンバーワン(同率一位もあるけど)だった曲、本当に引き込まれる。シンプルに、あー!たまらない!みたいな感想もある。でも、この編曲に、その音や楽器を使って仕上げてるのに、世界レベルを感じた。トルコ語なので、適当外国語でも発音がしにくいのに、一回聞けば、絶対に歌いたくなる。
アダルティで扇情的な雰囲気に、このアレンジを入れてくるなんて素晴らしすぎます。ライブだと、アコースティック・アレンジもされていたりして、それもヤバいです。もしこれを聴いて、俗っぽいなーとか思っちゃった人は、ぜひ、アコースティック版を!
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T-SQUARE - ROMANTIC CITY
ドラムどうなってんのこれ、とイントロで思った曲。次に気持ち良すぎるギターが入るけど、裏でベース、どうなってるんだこれ、とか、すっごくキャッチーなのに、とんでもなくテクニカル。この頃のスクエアは変態的すぎるけど、この変態さを隠してる感じがいい。最高ですよ。
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Giuseppi Logan - Over the Rainbow
ジュゼッピ・ローガン、知ってますか? フリージャズが好きな人は知ってると思うけど、ローガンがのちに発表した、アルバムがね、素晴らしいんですよ。
このオーバー・ザ・レインボーを聴いた時、この曲はローガンに吹かれるために作られたんじゃないのか?とも思いました。ヘロヘロの音が、なんとも言えない、哀愁でもないし、憧憬でもないし、いまここにある!という気持ちにさせてくれる、そんな幸福な演奏。
Youtubeには彼がストリートで、ソロで演奏している映像もあるので、そちらも!
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鈴木雅之 - 今夜だけひとりになれない
猫 シ Corp.か?と思うくらい、その、当時のサウンドが全開の曲。それが鈴木雅之の声とマッチしてるのが、やっぱ、この人はすごいな…と痛感する。
シャネルズや、ラッツ・アンド・スターのドゥーワップとも、大型アニソン歌手としての豪華なオーケストラとも違う、そのデジタルなカッコよさが、良い。それにしても声のリバーブがデカすぎる。
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Official髭男dism - 異端なスター
このあいだ東京に行ったときに、初聴きしてたアルバムに入ってた曲。こんな歌詞の曲をやってたのか、と驚愕した。
暗めな歌詞に、底抜けに明るいサウンドがついてる曲は、浮かぶのは桑田佳祐のSoul コブラツイストとかで、それも大好きだけど、この曲は構成がおもしろくて、歌も、ライブか?と思うほど、歌い上げてるのが、本当に気持ちいい。それにしてもいい歌詞すぎる。
星野源の「君の声を聞かせて」も、グッとくるものがあるけど、これは、「歌って どうか歌って」それだけで、俺たちに訴えかけてくる。胸にくるものがあるよね。
上手いのが、暗めな歌詞のところが、社会ってこういうもんだし、という三人称な歌詞じゃなくて、時々、一人称的な苦しみや、やりきれない悲痛な気持ちを歌っているところ。そこが、またじんわりくる。
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Jackie Mclean - Sweet Love of Mine
僕の一番好きなサックス勝者、ジャッキー・マクリーンです。この曲は有名で、名曲だ名曲だ、と言われてきていたけど、激動の60sを超えて、甘い曲にでも落ち着いてるのかな、などと、ジャズ好きのタワゴトだと思っていました。
ジャズのいい曲に出会うと、感動で膝から崩れ落ちるんですけど、崩れ落ちました、冒頭1秒で。メロディはもちろん、激動の60sを抜けてきた、ピアノ・ワークにも泣きたくなるほどです。マクリーンの、いつもやる、定番の手癖もあるし、素晴らしいです。ベースも色々遊んでて、大好きです。
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Gentle Giant - Knot
何度も、なんどもなんども、この曲に憧れた。というか、これに憧れすぎた曲を作って、一度ライブで披露したこともある。明らかに、変すぎる。このバンドはポップなのに、全部が変。何か、変。リズムが崩されに、崩されまくる。ノると奇妙な踊りになる。
他にも、On reflectionという、合唱メインの曲もあってそっちは、気持ちいいんだけど、こっちは、おかしい。おかしくて、何が起こるかわからない。奇妙すぎる。段々とこの奇妙さが、気持ちよくなってくる。
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HiM - A Verdict Of Science
個人的に、この曲(というかアルバム)は、DTMをやる人はみんな聴いた方がいいのでは、と思っている。
リズムもそうだけど、微妙にかかってるエフェクト類が、DTMでは比較的簡単にかけられるから。たぶん、拍子もちゃんとは決めて作ってないんだと思う。曲構成の妙。
一応、プログレでもジャズでもないけど、それがあって、できた音楽なんだろうなと思う。色々なジャンルが入り混じって、エフェクトで、異空間を作る。まさにいま行われてるDTMの原型じゃないのか、と。KAIRUIやsepiarecodersが好きな人は、さらに、ぜひ。
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ザ・ドリフターズ - ドリフのツーレロ節
これは過小評価されてる曲だと思う。この曲はズゴイんだ。イントロのベースラインから、激しすぎる。そして、4拍子と3拍子を行ったりきたりして、ところどころ拍が追加されたりする。コミックソングのていで、かなり凄いことをやってる。
それにしても、録音が良すぎるし、豪華すぎる。正直、ドリフの曲は中学のときに赤盤・青盤と、2枚組のベスト・アルバムを死ぬほど聴いていたので、語るにも語りきれない。この豪華な編曲で、ふざけたことをやっているのが、本当に素晴らしい。
語りたいから語るけど、ドリフのズンドコ節は、全員が歌い終わった後に、いかりや長介が「元歌!」と叫ぶのは、そう、元のズンドコ節の歌詞を歌うから。氷川きよしのが流行ったけど、自分はこっちだな…といつも思う。
語るぞ。会津磐梯山は、一部歌詞は違うけど、やはり豪華で、ストリングスとブラスで厚みが出ていて、ずっとシェイカーがなっている。元歌の宴会会場で聞くような会津磐梯山とは、全く違う雰囲気で素晴らしい。それにしても凄い、民謡の歌詞だよね。
語らせろ。八木節は全部カトちゃんが歌っていて、歌の表情の付け方が本当に上手い。ふざけて歌っているのはいかりや長介で、その後にめちゃくちゃかっこいいピッコロが入る。こんな八木節あるか?と思う。
八木節は、松下耕が編曲して合唱曲の定番曲にもなっている。
あと、Youtubeにある、森昌子と石川さゆりが歌って、太鼓叩いてる演奏もあるけど、それも本当に素晴らしい! アラブの曲やトルコの曲も紹介したけど、日本も民謡とかをベースに強い世界レベルの音楽が出てほしいなあ。
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語り足りない……続くでしょう。ほんとうに、素晴らしい曲ばかりです。
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