0424「薄味がわかる編集者」

東京の仕事をやっており、かつそれはGW進行になってしまうので、そこそこ働いてはいるのだが、一応まだイースターホリデーだ。子どもたちの学校は休みで、ちょうど日本のゴールデンウィークが始まると入れ替わるようにみんな働き始める。私も日本が動いていないうちにガーッとアメリカでの事業を進めて、ちゃんとやっている感を出して行きたいと思う。しかしまだ休みだ。昨日はF士Y中湖ホテルの伝説について書いてしまったが、また書評書き溜めモードに戻りたいと思う。

今日は「筋トレが最強のソリューションである」だ。これは、Twitterで話題の筋トレアカウントによる筋トレ関係のツイート集みたいな本だ。詳述するのはちゃんと筋力がついてからにしようと思っているが、最近すごく筋トレをやっているので、日本に行ったときに、蔦屋の桜新町駅前店で見かけて、そのままKindleに入れて読んでみた。もうかれこれずっと、蔦屋にケンカを売るスタイルで本を購入している。日本に帰る→書店に行って良さそうな本を探す→何か見つけたらKindeストアで探す→あったら入れる。

で、この「筋トレが最強のソリューションである」もそういうプロセスでジャケ買いしたのだが、日本の出版の行き詰まりみたいなものを感じさせる微妙な本だった。Twitter→書籍の流れというのは、いろんな形でトライされてきたと思うのだが、ものすごい相性が悪いのではないかと思う。Twitterのツイートというのは、そもそもの成り立ち(その人の「いま何してる?」=ステータスを表現するところから始まっている)からして、別に何かを説明するために発信されがちなものではないし、自分の意見や感情なりを受け手の受け方に投げっぱなしつつ、「読むなら読め!」とばかりに良くも悪くも垂れ流すのがTwitterなのだろうけれど、書籍となると、どうしても長い付き合いにもなるので、読み手とのインタラクションというか、キャッチボールが発生しないと、書いてある内容がどんどん遠くに行ってしまうことになる。

つまり、Twitterであるならば、その人の言葉に引っかかったら「フォロー」することでついていけば良いし、「うるせーな」と思ったらアンフォローすれば良い。ところが、書籍の場合は、最初に金を取ってしまうので、「気に入らなかったらアンフォローしてくれ=読むな」というのはどうしてもストレートに言いづらい。どうしても「この本を手にとってくれてありがとうございます。なるべく有益な情報を提供できるようにがんばります。」みたいには実際に思っていなくても、やっぱりTwitterのアカウントとフォロワーの関係とは違ってくるように思う。

しかし、この手のTwitter書籍化みたいなやつは、多くの場合本当にTwitterをそのまま書籍化していたりするので、読者を全然待ってくれない。

で、この「筋トレが最強のソリューションである」は、Twitterという、他の人のツイートに混じって希薄化されてちょこちょこツイートされる分には「たまにこういうのが混じっていても良いかな」とか思えるような感じではあるが、書籍化されて希薄化なしに原液で来られると濃すぎて相当つらいハイテンションで筋トレの効用なり精神論を投げかけられるので、私はすぐに辛くなってしまった。どんどん筆者が遠くに行ってしまう。しかしこれはこの筆者が悪いのではなくて、Twitterをそのまま書籍化しているのが悪いのであって、これは仕方ない。TwitterにはTwitterのバランスがあるし、内容によってはこの書籍のようにまとめた瞬間に壊れてしまうようなものもあるのだ。Twitterは、基本的に希薄化が行われる場所なので、ちょっと濃い味付けでもたぶん良いのだ。

しかし、じゃあこの自分の日記がどうなのかというと、これは当初から言っているが、かなりTwitter感の高いタイプの文章で、「気に入らなかったらアンフォローしてくれ=読むな」的なテンションで読者とのインタラクションを放棄しているところがあって、ゆえに見直し等も行わず、ダダ流しているだけになっている。

とはいえそこの違いを技術的に調整して書籍化しても飛んでいってしまわない文章に再編集することは、何らかの方法でできるような気がするので、それがちゃんとできる、どぎつい味を希薄化しても旨味を残せる、薄味がわかる編集者が出てくると面白いのになと思う。もういるのかもわからないけど。

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