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0815「ホリブル」

日本のアプリやウェブサービスのUIを酷評して「これだから日本は・・・怒」とか言う人がいて、まあ実際問題そこで槍玉に上がっているUIというのはかなりひどい。私の場合、日本に帰ってくるたびに、モバイルSuicaアプリの再設定に失敗して二重課金みたくなって、叫びだしたくなったことは二度や三度ではない。あれはまじでひどい。

ところが、そういった事例をもって「これだから日本は・・・怒」となって、「それに引き換えアメリカは・・・」とアメリカのUIに夢を持ってはいけない。アメリカのサービスのUIも、クソなものは本当にクソだ。システムがぐっちゃぐちゃになってるんだろうな、と推測できるようなものもたくさんある。UIだけではなくて、体験全体が荒廃しているようなものもある。

たとえば、VerizonにはGizmoという子供用のウォッチ型GPS搭載電話というものがあって、うちの場合子供にスマートフォンをまだ持たせたくないので、それを持たせているのだが、これは本当にひどい。親のスマホのアプリから子供のGPSの位置が確認できるのだが、なぜか、GPSの位置が表示されるまでに、アプリを立ち上げてから2分くらいかかる。2分ってすごい。最初のうちは、「こわれたのかな?」と思って何度もアプリを再起動したが、どうやら2分かかるのが仕様らしい。Amazonのレビューを見たら、「GPSおせーよ!」という酷評に満ちていた。アメリカ人の酷評レビューは、「It’s Horrible Experience!」みたいので始まる。ホリブル・エクスペリエンス。「恐ろしい体験だったよ!」みたいなことだ。

技術者として見た時に、よほど変なつくりをしていない限り2分かかることはないように思うのだが、実際問題、こういう謎の待ち時間や謎のたらい回しに遭うアプリやサービスは全然ある。日本の一部のサービスのUIに引き換え、アメリカのUI/UXは良い、なんていうことは決してなく、アメリカのUI/UXもクソなものはまじでクソだ。

今日などは、ニューヨークのオフィスに届いている荷物をFedExで日本に送ろうと思って送り状をオンラインで作成していた。、錦糸町のコメダ珈琲でこの作業をしていたが、ちゃんとアメリカ版で作業しているのに、利用するクレジットカードの請求住所にアメリカの住所を選べない。謎すぎるので何回か違う情報でトライしていたら、ハッキングを疑われて、情報が登録できなくなった。錦糸町のコメダ珈琲で思わず声を上げてしまった。

「もういいよ! ニューヨーク帰って自分で送るよ! アホ! バカ! ホリブル!」と思った。Horrible Experienceだ。

1ヶ月超、ニューヨークの自宅を空けているが、ずーっと工事していたアパートのロビーとラウンジスペースが完成したらしい。本当は5月に完成すると聞いていたが、先月家を出る段階で全然できていなかった。

で、我々がいない間に完成したらしいのだが、アパートの住民のメーリングリストで、「Horrible Experience」とか「Devastated」「Disgusting」などの怨嗟の声が飛び始めていて怖い。要するに、完成したロビー・ラウンジスペースの出来が超ひどいらしい。帰るのが怖い。いやむしろ、どのくらいひどいのか楽しみでもある。

アメリカといったら合理化されたUIとUXに満ちた素敵な国だという勘違いをされがちかも知れないがそんなことは全くなく、正直世界中がHorribleなUI/UXに満ちているという現実があるだけのような気もする。

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