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「ふかえり」の日 9月-Vol.2

中央線の車内で天吾は、ふかえりにいう。


「新しい人に会うのが怖いのかもしれない。とりわけ日曜日の朝に」。


少し不安げな天吾の手を、ふかえりはやさしく握る。

 
そして、「のりかえる」と突然言い、手を引っ張って、青梅線に乗り換える。

「てをにぎっていていい」とふかえりは天吾に尋ねた。
電車に乗ってからも、ふかえりはまだ天吾の手を放していなかった。 「いいよ、もちろん」と天吾は言った。

残念ながら、今日、僕の手を握ってくれる人なんていない。

そして、ふかえりが隣の席に座る日が、自分の人生に来るとも思えない。

ふかえりという不思議な女の子に出会う人生と、自分の人生の違いを電車に揺られながら考えてみる。


さて今日、僕は、なんど、この「残念ながら・・・」と思うのだろう。



そんな風にして、たどり着いたのは、ふかえりが住んでいる、二俣尾の駅だった。

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