「滑り台の世界」の日 12月-Vol.4
高円寺をあとにして、1Q84フォトトリップの最終地点にむかった。
「滑り台の世界」で再び手を握った青豆と天吾はタクシーでここに着く。
首都高三号線、三軒茶屋の非常階段。
ここは1Q84フォトトリップ旅立ちの地点でもある。
夏の盛りに訪れた今やおなじみの場所。
季節は巡り、いまは脱出の冬だ。
ここを再訪して、長い旅が終わった気がした。
それはコロナの2020年に始まったフォトトリップだけでなく、十年前に始まった「1Q84読解」という謎解き作業でもない。
村上春樹という作家のデビューから始まった「長い約束の旅」が終わった気がしたのだ。
その時、今年再び「1Q84」を読まなければならなかった理由が、突然わかった。
この旅の最初に書いた。
村上春樹の「1Q84 BOOK3」が2010年に発刊されて十年。
その当時に書いた自分の書評「1Q84読解 村上春樹変奏曲」のことが、どうしても気になった。
僕たちは、今こそ、「1Q84」を読むべきなのだ。
理由は簡単だ。
今年は、あるべき「TOKYO2020」がなくなってしまったからだ。
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