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「天吾」の日 8月-Vol.2

天吾のアパートのイメージを探す。

実際にまわってみると、高円寺にはアパートがたくさんあった。高円寺にこんなにアパートがあるなんて知らなかった。自由が丘とは大違いだ。
たくさんの候補の中で、1984年当時の昭和のイメージのアパートを探してみる。

ここで、重要なのは平日の午後、毎週、人妻が訪れてくれそうなアパートということ。それはそれで、なかなか難しい問題だった。

テレビすら持たない、予備校の数学講師、小説家の卵で、料理を作るのが得意な独身男。
そして、毎週一度、人妻と午後いっぱいセックスを楽しむ。
そんな30歳の男性が住んでいるようなアパートメントを探す。

自分でも、なんかおかしくなってきた。
こんなへんてこなプロファイリングで物件を探して、真夏の高円寺を歩き回っているのは、自分しかいないだろう。
人生の不思議としかいいようがない。


なんとか、自分のイメージに合致するアパートを見つけた。

物件そのものよりも、イメージの中の天吾らしさを、写真で収めてみた。


ここで、小説「空気さなぎ」は完成された。

そしてたぶん、ここで天吾によって小説「1Q84」も書かれたはずだ。それは村上春樹ではなく、創造主・天吾が書き上げたものだ。
我々の世界では、なんの因果か知らないが、村上春樹名で新潮社から出版されることになっただけだ。

この説に基づけば、「空気さなぎ」同様、小説「1Q84」もゴーストライティングされていることになる。これはこれで興味をそそられる仮説だ。
*この解釈については「1Q84読解 村上春樹変奏曲」をご参照ください。





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