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「周りの目を気にするな」と言われましても…。

「周りの目を気にせずに、自分らしく生きればいいんだよ!」
と言われた経験のある方、少なくないのではないでしょうか。

別にこの言葉自体を否定するわけではないですし、なんなら「自分らしく生きること」については私も大いに推奨していきたいところではあります。

ただ、昨今こうしたことが言葉の表面だけすくい取られて多くの人を追い込んでいるようにも見えるので、今回は「周りの目が気になって悩んでる」という方に向けて書いてみたいと思います。



<周りの目を気にするのは悪いことなのか>

まず前提として、周りの目を全く気にせずに生きていくことはほとんど不可能です。

良くも悪くも人間は社会的な生き物なので、周りの目はどうしても気にしてしまいます。これは進化論や遺伝子学的な側面からも言われていることであり、あのリチャード・ドーキンス氏も、かの有名な『利己的な遺伝子』のなかでそういった主旨のこと述べています。

他人から自分がどう見られているか、自分が集団の中でどんな立ち位置にいるか、こういったことを意識するのは人間が生き延びていくために必要なことであり、ごく自然なことであると。

なので、「どうして私はこんなにも周りの目を気にしちゃうんだろう。。」と悩んでる人は、まずそれはきわめて普通のことなのでご安心ください。

人間として社会で生活を営んでいくことは、他者との関わり合いが前提となるので、基本的にはより良く生きたいと思えば周りの目は気にせざるを得ないんです。


<「中身」と「程度」が重要>

周りの目を気にすること、集団の中で他人との比較によって自分の立ち位置を認識すること、これらがごく自然なことであるとしたとき、大事になってくるのはその「中身」「程度」です。

要は、何でもかんでも、何をするにも極端に周りの目が気になってしまうという状況ではさすがに辛いものがありますよね。

そして「周りの目が気になる」と一言で言っても、その中身や程度は多岐に渡るはずです。

「自分がSNSで発信する内容がどう思われるだろうか」
「自分の勤めてる会社を友人たちはどう思うだろうか」
「着ている服が変だと思われてないだろうか」
「これをすると世間から笑われるんじゃないか」

人によっては「まぁ、別にそこについてはあんまり気になんないかな」というものでも「いや、どうしようもなく気になる」という人もいるでしょう。
ここは大いに個人差があり、単に「周りの目を気にするタイプか否か」などで括れないものです。

地道な作業にはなりますが、まずはこのあたりを丁寧に紐解いて整理していくことが重要です。


<目的から判断する>

自分はどんなことでどのくらい周りの目が気になるのかを整理したら、ここで「自分が人生において大事にしたいこと」に立ち返ります。ここを最終目的としたとき、周りの目を気にすることが目的の達成を遠ざけることになっていないかを判断します。

周りの目がどうしても気になるんだけど、気にしていると目的達成から遠ざかる、というものはなんとか克服しなければなりません。
逆に気にすることが人生の目的を達成するための手段となりうる、そこに貢献しうるというのであれば克服の必要はありません。

つまり何でもかんでも周りの目を気にするのが悪いというわけではないんです。まずはここを自分の中ではっきりさせておかねばなりません。

例えば私の場合だと、別の記事でも書きましたが「自分の言動によって、関係性のある相手を傷つけたり嫌な思いをさせること」に関してはすごく気にします。

これは私自身が人生で大事にしたいものが「無条件の信頼関係で結ばれた家族のような関係性を増やしていくこと」であるからで、相手を無頓着な言動で傷つけたりすることは、自分からその相手が離れていく原因となりうるためです。だからそうした自分の性質については変える必要はないと思っています。

逆に自分の発言や行動、発信した内容などが否定されたり、恥をかいたりすることを気にしてたら、私が取り組んでいる事業は前に進みません。正直言うと昔はこのあたりけっこう周りの目を気にしてました。元々SNSとかも全般苦手でしたし。だからこそ、ここに関しては「四の五の言ってらんねぇ」と勇気を出して稚拙な発信を始めました。

ここについては「嫌われる勇気」が必要です。

他人と比較するな、周りの目なんか気にするな、自分に正直に生きろ。

これは嫌われる勇気の中で強調されているメッセージですが、これ自体は「言うは易く行うは難し」で、わかっていてもすぐにできるものはありません。
けれど、自分が人生で一番大事にしたいものを軸にして生きていくためには、勇気を持って世間体や周りの目を気にしないという”覚悟”が必要になります。

もちろんそうは言ってもすぐには感情が追い付かないことは理解しています。というよりこれまで気になっていたことが、ある日突然、嘘のように全く気にならなくなるというケースはかなり稀です。

何かをきっかけにマインド面のパラダイムシフトが起こって、物事の捉え方や考え方が180度変わることもありますが、基本的には少しずつ少しずつ気にしないように訓練していくしか方法はありません。

最初は小さな一歩でもいいんです。
それこそ周りからみたら「え、そんなこと?」と笑われてしまうようなことだって構いません。笑わせておけばいいんです。
勇気が出なかったら中島みゆきさんの「ファイト!」でも聴きましょう。

ファイト! 闘う君の唄を
闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中を
ふるえながらのぼってゆけ

『ファイト!』 ー 中島みゆき


改めてになりますが、元来人間は周りの目を気にするように設計された生き物です。
そんななかで人生の目的地を定め、そこに向かって「嫌われる勇気」を持って地道な歩みを進めていけるかどうかが、人生の質を大きく左右する鍵となるのではないでしょうか。

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