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表面の行動や言動だけで人を判断してはいけないぞという話

#思い込みが変わったこと の参加記事です。

保守的な50代男子に困っていました

 ここ数年、業務システムの運用保守のマネージャーなんぞをしているわけですが、わりとここって「ほかで持てあまされた人」とか「ルーティンしかできない人」なんかがいましてですね。

すぐ「俺には無理だ」とか「やりたくない」なんて言っちゃう。
本人も「俺は保守的だ」なんて言い放っていて、みんな敬遠しちゃう。

常にガード張ってる感じ。こんな人にもの頼みたくない

以前の上司に相談してみた

 まあお年もお年なので、上司からも「無理にやらせなくていいよ」なんて言われていたわけですが、お互いなんとなく距離感を覚えていたわけで。
 もう役職引退された私の前任の方に、世間話とあわせて彼についての話を振ってみました。

「ああ、彼はねえ、妙に真面目で、できないのが怖いんだよ。やる気がまったくないわけじゃないの。損してるよね」

 なるほど。

極小タスクを思い切って任せてみた

 しばらく新しいことはお願いしていなかったのですが、小規模な開発案件があって、思い切って任せてみたのです。

「俺、Webアプリなんてやったことないです。理屈もわからんです」
「〇〇でやってもらっている案件と基本は同じですよ。ユーザからもらった資料をベンダーと読み合わせて、困ったことは会議で出してください」
「会議進行はユーザ側でやってくれますから、課長も同席しますし」
「進捗報告だけはお願いします」

 ぶっちゃけ、資料の受け渡し+αくらいの仕事。

 そのうえで 進捗報告をさせて、少しずつほめていったら変わっていったというのが、この話。

本人との面談で見えてきたもの

 少し本人の態度も軟化してきたので、面談で仕掛けてみました。これまでは私から話すことが多かったのですが(本人話さないので)、今回はちょっと話す気配がありそうだぞ。

「最近どうですか?」
「いやあ、わからないままいろいろやっています。これでよいのか不安なんですけど、いろいろと」
なんて話しているうちに饒舌になってきた。

自分から話すようになるまでに一苦労の人っていますよね

「俺、このままでいいんでしょうか?」
「何か私、注意とかしましたっけ?」
「いや、いろいろできてなかったりするじゃないですか」
「人なんだから、そりゃできることとできないことはあるじゃないですか。ただ、やり方を聞いたり、やろうとする姿勢があると違いますよね」
「迷惑かけちゃうんじゃないかと思って。。。」
「うーん、やってくれないほうが困りますね(笑)。担当会議とか、相談したりしてるじゃないですか、みんな」
「逆に、このビルのこととか、新しく入ってきた人は知らないので、それは教えてくださるとうれしいです」
「それならできます!」
「あと、今変革期なんで、領域外でも細かいことでお願いすることはあると思います。」
「それは、そう言ってくれれば大丈夫です」

 まあ、そんなこと言ってもあまり期待してなかったんですけど。
 ぶっちゃけ。

誠実で優しい人だった

 その後、異動してきたメンバーと話していくうちに彼の話になりまして。

「〇〇さんとか、あまり話す機会ないですよね」
「あ、この間わからないことがあって(手続き面のこと)、〇〇さんに聞いたらすごく丁寧に教えてくれましたよ。わざわざ調べてくれたりして」
「それはよかったですね」
「先日なんか、後になってからわざわざ「こうするといいかも」って教えてくれたんです。優しいですよね。俺〇〇さん好きになりましたよ」

 まあ、よく聞くと「〇〇さんに聞くといいぞ」みたいなことなんですけど、社歴が長い分、そういった人間関係的なことだったり、手続き的なところとかはよく抑えているんですよね。
 それを一生懸命説明してくれて、ありがたかったと。

 あとから本人に話を聞くと

「だって困りますよね。俺も最初わからなかったし、わからない人の気持ちはわかるんですよ、俺」

 なるほど。

 それから後も「こういうことをお願いするかも」的なプッシュをしておくと、それなりにやってくれるということがわかりました。
 それなりにですけどね。

全部解決するわけじゃないけど、解決の糸口がわかるだけで
助かることってありますよね

変わるには、時間が必要なこともある

 このやり取りをするときに、ずーっと山本五十六の言葉を思い出していました。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

 まあ、教育の基本ですよね。

 ここで大事なのは「時間をかける」ということでした。

 一つアプローチして、時間を置く。
 次のアプローチをして、しばらくしてから様子を見る。
 ちょっとでもできたことがあれば、気づいてほめる。
 そしてしばらく様子を見る。
 はらはらしても、見守る。

 2年くらいかかってます…

 面倒だなとか嫌だなとかたくさんあったのですけど、一気にやるとこっちもイライラしちゃうので、ルーティンを任せながら、少しずつ、少しずつという感じで。

 まあ、その人に一人でお願いできることって多くないんですけど、「人となり」を知ることで「あ、これならこの人にお願いしたいな」と思う瞬間がそれなりに出てくると、その人は「戦力の一人」になってきます。

 コーポレートSEの人材育成は簡単ではありませんので、今のメンバーの戦力力アップも少しずつ図っていきたいと思っています。

 しかし、こういった視点や考え方は、一人でいても出てこない。いわゆる名言とか、割と好きです。

 共感できないこともあるけど、共感することがあれば、読み返す。
 千田さんの本もそう。

 会社の考え方とか、流儀とか、そういったものも共感するものがあります。トヨタの考え方とかを読むと、やっぱり大企業になる会社はよく考えているなって思いますね。

おしまい。

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