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オールインとダブスタ

 統一教会が予想以上に自民党に食い込んでいることが明らかになって、慌てて内閣改造をしたもののそこにもまた、という岸田内閣。

 そもそも統一教会は勝共をスローガンとしていて、それで手を握ったのではなかったか?だまされた!と思うかもしれないが、それは明らかな誤謬である。北朝鮮に関していうならダブスタは当たり前なのだ。

 北朝鮮の国産自動車メーカー「平和自動車」は統一教会がからんでいた。ぼくの平壌の定宿「普通江ホテル」も統一教会がからんでいた。当然北側も統一教会と「勝共」というスローガンに関していては理解していたはずである。「勝共とはなにか!けしからん!おととい来やがれ!」とならないのが北朝鮮のしたたかなところ。

 これは統一教会に限らない。アメリカとの関係もそうである。ぼくには平壌で出会ったアメリカ人の友だちがいる。普通江ホテルのバーで彼と会った。「え?アメリカ人なの」と聞くと、友人Bは「そうだ。ぼくは結核のプラント工事のためここに来た」と教えてくれた。彼は共和党支持者、かなり熱意のある共和党支持、トランプ支持者である。

 彼の友だちの女性Cも複数回の訪朝経験がある。先日ぼくはある大きな仕事が決まったのだが、このことをBに報告するとCも喜んでくれた。

 北朝鮮に平壌科学技術大学という大学がある。オール英語でITのエリート教育をするという大学だ。ここに米国人の教員が多くいるという。教育内容から考えて、将来の北朝鮮社会の中核を担う、いわばエリートたち。彼らの青田刈りをアメリカはしているわけだ。

 他にも台湾人のビジネスマンとエレベーターで何回かいっしょになった。いわゆる訪朝団、北朝鮮の主義主張を支持する団体の人たちではない。ビジネスマンである。

 そもそも普通江ホテル自体が長くビジネスマンの長期滞在向けに作られた経緯がある。ここにはエジプトのオラスコムテレコムのオフィスがある。ワンフロア借り切っていて、外交官ナンバー(あるいは外国人ナンバー?)のBMWが複数台用意されている。この会社は北朝鮮の逓信省と組み、高麗リンクという会社を設立。約600万人のユーザーがいるとされる北朝鮮の携帯電話産業を一手に握っている。

 このホテルには隠されていることが多い。宿泊者たちの背景が本当に謎。欧州圏の短期旅行者も多く利用するホテルなのだが、特に常駐者たちの背景が本当にわからない。わかるにしても時間が足りなさすぎるのだ。ホテルのバーでつたない英語と、接待員を呼び朝鮮語⇔英語で話しているだけでも世界のダブスタ複雑さを感じる。ここに常駐することが出来たら想像以上の情報を拾える気がする。

 繰り返すが北朝鮮もダブスタなのである。勝共というスローガンを唱える統一教会を敢えて受け入れ、自動車産業やホテル経営という実を与え取り込む。また自国の利益を引き出す。アメリカもそう。世界はダブスタで動いている。

 むしろ日本の方が珍しい。拉致問題解決(断っておくが、ぼくは拉致問題の解決を心から祈っている)を旗印に、制裁一辺倒というのは世界的に見るとむしろ珍しく思える。ギャンブルでもオールインというのは、実にリスキーだ。

 予想以上に自民党が統一教会に操られていたことが明らかになりつつある。連立を組む公明党も創価学会じゃないか、宗教団体ではないかという話があるが、外国の宗教団体というところがより問題。明らかな外憂である。

 今回統一教会との関係が切れても、またぞろ他の団体が浸透し干渉してくることは間違いない。

 統一教会やその他団体と絡んでいる方が面白いかも知れないと思えてきた。100パーセントクリーンは無理。むしろその団体と関係を持ちながらも逆に操っている、情報を引っ張って来るそんなダブスタ、デュアルに動ける政治家は出てこないだろうかと。

■ 北のHow to その152 
 平壌で会う外国人と話すのは本当に面白いです。ホテルに入ったら必ずホテルのバーに顔を出してください。彼らを通して北朝鮮の思わぬ姿が見えるだけではなく、逆に彼らに日本人のイメージを焼き付ける意味でも。
 ぼったくりは大丈夫です。コーヒー一杯飲んで300円くらい。スタバよりも安い一杯で、ひりひりするような話が出来ます。

サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。