見出し画像

朝鮮学校でただ、飯を食う

 秋になると朝鮮大学校から郵便物が届く。この時期公開セミナーをやるのだ。今年はオンライン中心だったけど、合法的に朝鮮大学校に入れる数少ないチャンスである。

 鷹の台駅からてくてく歩いて約15分行くと大学に着く。なお、顔見知りの職員が門番を兼ねて正面玄関近くの事務所にいるが、彼はボクシング部。一度聞いてみたことがある。パンチをどうしてかわせるの?と聞くとにやりと笑い、コツがあるんですという。そのコツを教えてもらいたいのだけどかなわないままになっている。

 だいたい朝鮮大学校の施設は見尽くした感がある。教官の部屋は入った。食堂も行った。図書館も入った。食堂でご飯も食べた。残すは寄宿舎と理髪店くらいになって来た。

「私たちはいつでも来てもらって構わないのですよ。隠すことなんてないのだから」。ヘイトスピーチに悩まされる朝鮮学校の教職員にある日そう言われた。学園祭やセミナーなど公開日もあるが、あれはいわばハレの日。ならフツーの日に行ってやろうと思ったのだ。

 ほんまかいな?とアポを取ったら「どうぞどうぞ」という。「朝鮮学校でただ、飯食いに行って帰りませんか」と週刊金曜日の編集者を誘いふたりでいった。校長先生自ら施設を案内してくれた。校庭では女子生徒がソフトボールをやっていて、ボールがこっちに転がって来た。「受け取れー!」と投げると「カムサハムニダー」と返ってきた。

 昼食はマーボー丼。唐揚げ付き。お金は払った。

 部活も満喫して返って来たのだが、いつか記事にしたいと言ったまま。

 朝鮮大学校では冷やし中華を食べた。これも知り合いの教員が「いつでも来てくれて構いませんよ」というから「じゃ、そっち行くから学食で飯食わせて。金は払う」と頼んだ。もちろん金は払った。顔見知りの教員が食堂に何人かいて「お、おい!どしたの今日は?」と笑うので「ただ、飯を食いに来ました」と言った。「それだけ?」「はい。フツーに飯を食いに来ました」

 朝鮮学校で普通に飯だけ食って帰る日本人なんてまずいない。学長に挨拶もせず、実りある交流もせず、冷やし中華を食べた。

 いつかここで講義がやれたらなぁと思う。日本人の教員や、英語の外国語教員はいるみたいだけど、特別講師やってみたいなぁ。

 朝鮮大学校には売店がある。ここのおばちゃんは結構ノリがよい。南のロッテの雪見だいふくがある。だが残念なことに朝鮮大学校グッズは数がない。ルーズリーフとボールペンくらいしかない。

 売店の上に理髪店がある。昔ハングル検定を受けに東京外大の旧キャンパスに行ったことがあるが理髪店があった。うわっ、大学に理髪店?切りてぇと思ったが休業中。韓国に留学中は延世大学の理髪店で髪を切った。1回500円。シャンプーはセルフ。ぼくの通った梨花女子大にはなかった。

 朝鮮大学校の理髪店で髪を切りたいといったが、これは断られた。何でも利用しているのは教職員がほとんどで、学生は余り使わないという。学生も余りその存在を知らないという。

 朝鮮大学校で髪を切った日本人が何人いるか。逆に理髪師のおじさんも、日本人の髪を切ることなんてあるまい。せっかくの機会なのだが、これはかなわないまま。いつかチャレンジしたい。前髪があるうちに。

■ 北のHow to その133
 産経新聞社が「朝鮮大学校研究」という本を出していますが、同じテーマでぼくも書いてみたいと思っているのです。
 文化祭やキャンパスでの焼肉は何回でも楽しいですが、同じ経験ばかりでちょっとと思う。そうなると、一日朝鮮大学校学生体験あるいは、講師体験をやってみたい。朝から大学行って、授業して、学食行って、髪を切る。そして、帰る。寄宿舎で泊まるのはなしでも構いません。

#朝鮮大学校  #在日コリアン #北朝鮮 #朝鮮学校 #理髪店 #韓国 #学食 #編集者さんと繋がりたい #北のHowto #隣人 #小平 #売店 #焼肉 #東京外国語大学 #キャンパス  #冷やし中華 #マーボー丼  #エッセイ #コラム

サポートいただけたら、また現地に行って面白い小ネタを拾ってこようと思います。よろしくお願いいたします。