独立記念日とETF分配金捻出売り日米複合アノマリー分析
はじめに
日経平均が4万円を超え、周りにも投資をしている人が増えているかもしれません。このような状況で、初めてのボーナスを使って株式投資を始める方も多いでしょう。株式投資を始めるにあたり、投資時期のパフォーマンスに関するいくつかの重要なポイントを知っておくことは非常に重要です。今回は、特に6月以降のパフォーマンスが優れない理由とそのデータを検証し、投資の参考になる情報を提供します。
独立記念日のアノマリー:S&P 500のリターン分析
まず、アメリカの株式市場における「独立記念日のアノマリー」について説明します。独立記念日(7月4日)はアメリカの重要な祝日であり、株式市場においても特定のパターンが見られることが知られています。以下のグラフは、S&P 500の6月27日から7月15日までの平均累積リターンを示しています。
このグラフから、独立記念日直前にS&P 500のリターンが上昇する傾向が見られることがわかります。独立記念日のアノマリーは7/4に向けて6月の後半から株価が上昇しやすいというものですが、独立記念日直後もリターンがプラスを維持しており、特に7月11日頃に大きなリターンのピークが見られます。
日本株の検証:米独立記念日&ETF分配金捻出売り複合分析
次に、この独立記念日のアノマリーが日本株にどのような影響を与えるかを検証します。日本株には独自の要因も存在し、その一つが7月に行われるETF分配金捻出売りです。このイベントが独立記念日後の日本株のパフォーマンスにどのような影響を与えるのかを分析します。
ETF分配金捻出売りとは?
ETF分配金捻出売りとは、ETFが配当金を支払うために保有する株式を売却することを指します。日本では、7月に多くのETFが分配金を支払うため、これに伴い株式市場での売却圧力が高まります。この現象は、特に7月に日本株のパフォーマンスに影響を与える要因として注目されています。
日本株のデータ分析
以下に、Nikkei 225、Mothers ETF、TOPIXの各指数について、6月27日から7月15日までの平均累積リターンをプロットしたグラフを示します。
日本株における独立記念日のアノマリーとその後のパフォーマンス
Nikkei 225:
6月27日から7月4日にかけて、リターンが上昇する傾向が見られましたが、独立記念日を過ぎるとリターンが低下することが多く見られました。
これは、7月のETF分配金捻出売りによる売却圧力が影響していると考えられます。
グロース250(旧マザーズ):
独立記念日前に一時的なリターンの上昇が見られるものの、独立記念日後にはマイナスのリターンが多く見られました。
特に、ETF分配金捻出売りの影響を受けやすいことが分かります。
TOPIX:
6月27日から7月4日にかけて、リターンが上昇する傾向がありましたが、独立記念日後にはリターンが低下することが観察されました。
7月のETF分配金捻出売りの影響が大きいと考えられます。
最後に複合分析チャートです、日本株においても独立記念日前にリターンが上昇するアノマリーが見られる一方で、独立記念日後のパフォーマンスは低調であり、特に7月のETF分配金捻出売りの影響が顕著です。これに対し、S&P 500は比較的安定しており、独立記念日後もプラスのリターンを維持しています
12ヶ月平均リターンの比較
以下のグラフは、各月の12ヶ月平均リターンを示しています。このグラフを通じて、7月と8月に株を購入した場合のパフォーマンスが他の月と比較してどうなるかを見ていきます。
次に、TOPIX ETFの月別平均リターンを示すグラフです。これにより、特定の月におけるパフォーマンスの違いを確認できます。
このグラフから以下のことがわかります:
7月と8月に株を購入した場合の12ヶ月平均リターンは他の月に比べて低い。
特に、7月のリターンが顕著に低いことが観察されます。
これから投資をする人へのアドバイス
独立記念日のアノマリーは、アメリカ市場のみならず日本市場にも影響を及ぼす可能性があります。Nikkei 225、グロース250、TOPIXのデータ分析から、日本株における特定のパターンが観察されました。独立記念日前にリターンが上昇するアノマリーを活用し、独立記念日に利益を確定する戦略が有効であることを理解しておくことが重要です。市場の違いや短期的なリスクを考慮し、総合的な視点で市場を分析することが成功の鍵となるでしょう
独立記念日のアノマリーを日本株においても考慮することは、投資戦略の一部として有用です。ただし、以下の点に留意することが重要です:
利益確定のタイミング:
独立記念日前にリターンが上昇する傾向があるため、独立記念日に利益を確定する戦略が有効です。
ETF分配金捻出売りの影響:
7月のETF分配金捻出売りがリターンに悪影響を与えるため、独立記念日後に株を保有し続けることには注意が必要です。
長期的なパフォーマンス:
12ヶ月平均リターンの比較から、7月と8月に株を購入した場合のパフォーマンスが他の月に比べて低いことが分かります。
日本株を長期で持つなら10月末買いが良いでしょう
総合的な判断:
アノマリーに依存するのではなく、他のファンダメンタルズやテクニカル分析と組み合わせて総合的に判断することも重要です。あくまで一指標としてご判断ください
参考文献
S&P 500 Historical Data
Market Anomalies: Evidence from the S&P 500
Behavioral Finance and Investor Psychology
Nikkei 225 Historical Data
Mothers ETF Historical Data
TOPIX Historical Data