見出し画像

【コラム】言葉は1語で3度おいしい。

(今回のコラムは約1300文字です)

 言葉は「1語で3度おいしい」という気持ちで勉強することがポイントです。
 3度というのはすなわち、「意味を学ぶ」「用法を学ぶ」「関連語を学ぶ」の3つを指します。
 例を1つ挙げてみましょう。
 例えば、「困惑」という言葉が出てきたとします。意味は「困って、どうしてよいかわからないこと」ですので、まずこれを覚えることになります。しかし、それだけでは完全に自分のものにはなりません。人間は「忘れる生き物」ですので(眠ればその日にあったことの7割は忘れてしまうとされています)、言葉を完全に自分の血肉にするところまで行きたいところです。
 最も有効なのは、やはり「使うこと」でしょう。これが「用法を学ぶ」に当たるわけですが、今回の場合であれば「困惑」を使って文を作るのが効果的です。

《例1》
意味のわからない文章を読まされて困惑する。
突然知らない人に話しかけられて困惑する。

 といった調子で短いものを考えてもいいですし、

《例2》
困惑した目で太郎君が僕のことを見てくるので、何か間違ったことを言ってしまったのだろうかと不安になる。

 というように少し長めのものを試作すると、さらに練習になります。時間があれば、さらに100文字くらいの作文を書くというのもいいかもしれません。

《例3》
僕は昨日、学校で廊下を歩いていたら隣のクラスの男の子に突然話しかけられた。彼は学校に文芸クラブを作りたいと考えていて、メンバーを募集するためにチラシを配っていたらしい。どうして僕に声をかけようと思ったのだろうと困惑したが、彼の熱意に負けてついチラシを受け取ってしまった。(135文字)

 ひたすら言葉をいじり回し、料理人が包丁を使いこなすように言葉を自分の「手」に馴染ませることを意識して下さい。
 ここまで来たら、次は「関連語を学ぶ」にも進んでみましょう。昨今は便利なツールがたくさんありますので、類語辞典やインターネットも活用して関連語を見つけ出し、取り込んでいくようにすると語彙はどんどん広がりと厚みが増していきます。
 関連語の学び方としては、「対義語を確認する」「同意語や似た意味で使う言葉を確認する」「言葉に含まれる漢字の意味をチェックする」「言葉に含まれる漢字で他にも熟語が作れないか確かめる」等があります。
 試しに「同意語や似た意味で使う言葉を確認する」を実行してみると、「困惑」であれば「当惑」「混迷」「混乱」等が出てきます。さらに熟語に限らなければ「惑う」「戸惑う」「迷う」等を挙げていってもいいでしょう。「言葉に含まれる漢字で他にも熟語が作れないか確かめる」であれば、「困」を使うと「困苦」「困難」「困窮」「貧困」等が作れるとわかり、言葉の知識がもっと広がります。
 余力があれば調べた言葉を使ってさらに「1語で3度おいしい」を実践すると、語彙は果てしなく拡大します。もちろん、凝り始めると際限がないのでどこかで区切りをつける必要はありますが、時間の許す範囲で色々と調べて「面白がる姿勢」を身に着けられると語彙の学習サイクルは加速するでしょう。1週間の中で30分だけでもこういう時間を確保して、言葉に対する意識を変える機会を作ってみて下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?