李光洙『愛か』

とんだホモ小説じゃねえか。

今回は李光洙の『愛か』の感想です。

授業で読んでヲタク心に響いたのでここに載っけようと思います。この小説、弱冠17歳の朝鮮人留学生が日本語で書いた小説ということで、若干日本語が面白いことになってたりするんですけど、非常に面白い。

青空文庫でも読めるので、気になる人は読んで欲しい。短いので数分で読めると思います。

で、最初に言った通りただのホモ小説じゃねーか!!っていうのが感想です。

朝鮮人留学生(貧乏の生まれだけど色々あって留学してる、ぼっち)の文吉と、留学先の学校に通う日本人の操の話なんですけど、操の情報はほぼほぼ無くてひたすら文吉の偶像崇拝、血書送り付けたりなかなかキモい。

ぼっちの文吉が運動会で操に一目惚れするんだけど、文章を見る限り最初にあった完全に友達を作りたいという感情から逸脱してる。

中盤の、自分が居ることを知って欲しいけど見られたくない、知られたくないとかなんとかみたいな所は普通に偶像崇拝のソレなんですよ。

友情を築きたいのであれば会って話をするシーンの一つや二つあってもいい所なんですが、この小説には一切ソレがない。たんたんとひたすら一方的な気持ち悪い劣情の具現化みたいな文章がつらつらと書かれている。気がする。

いや、友情と愛情、単なる崇拝感情と友情、愛情の区別がつかなくてよく分からない性愛に変化していく様ってヲタクは大好きなので、よくある話なんですよ。思春期特有のアイデンティティ形成の過程というか、なんというか。いわゆるBLものが流行ってる(流行ってる?)のってここを書きたい層が多いんじゃないかなと思います。単純にLGBTQのお話を書きたいんじゃなくて、成長する上の過程としてよく分からない恋愛感情を持て余す様みたいな、一般的な恋愛感情とは違って、自分自身の感情との戦いでもあるので、そこに純度の高い感情がある気がするから、それを書きたいだろうなと勝手に思っています。この話に関しては朝鮮と日本の関係もあるのでこんなぬるい話じゃないとは思いますが。

自分自身の感情を履き違えてしまって行動に出力するってのは割とモノガタリとしてはあるあるなんだよなと。

野島伸司で履修したからね。国民の必修科目だと思いますよ。見てください、『人間・失格〜たとえばぼくが死んだら〜』を。

いやーしかし1900年代にこれをやってのけたのは凄いなと思いますよ。アッパレ。




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