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0067 リドリー・スコット監督『ブラック・レイン』聖地巡礼

2009年7月16日(木)にアメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市ブルックリン区とマンハッタン区で、2014年12月30日(火)~2015年1月2日(金)にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスで2022年2月10日(木)に日本の兵庫県神戸市中央区と大阪府大阪市淀川区で、2月11日(金)に大阪市住吉区、大正区、北区、中央区で、2月12日(土)に大阪市中央区、都島区、阿倍野区、北区でリドリー・スコット監督の『ブラック・レイン』(Black Rain)の聖地巡礼をしてきました。

という訳で、NYPD殺人課の汚職刑事ニック・コンクリン(演:マイケル・ダグラス)のバイカーな日常はイーストリバー脇のマンハッタン橋と
Manhattan Bridge - Wikipedia
ブルックリン橋との間の賭けレースからスタート。
Brooklyn Bridge - Wikipedia
ブルックリン橋は映画に良く登場する橋ですが、イーストリバーを挟んでマンハッタン島とクイーンズとブルックリンを結ぶ橋には美しい橋が多いので登場回数が分散してしまい、サンフランシスコ湾の金門橋には負けてるんじゃないでしょうか?←最終確認していないのでブルックリン橋の方が上回っているかもです。

奥に見えるのがマンハッタン橋
ブルックリン側から望むマンハッタン橋
左側がマンハッタン橋で右側がブルックリン橋
左側がブルックリン橋で右側がマンハッタン橋
奥に見えるのがブルックリン橋
ブルックリン側から望むブルックリン橋
セルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』聖地巡礼で訪問したマンハッタン橋

離婚して妻子と別居しているマイケル・ダグラスは部屋の窓からクイーンズボロ橋が眺めらるマンションに住んでます。けっこうイイところ住んでるじゃん。
Queensboro Bridge - Wikipedia
画像はウディ・アレンの『マンハッタン』聖地巡礼時のもの。この橋が出てくる他の有名な映画はジョン・カーペンターの『ニューヨーク1997』とかクリストファー・ノーランの『ダークナイトライジング』とか…。

ウディ・アレンの『マンハッタン』聖地巡礼で訪問したクイーンズボロ橋

でもって、マイケル・ダグラスと同僚のチャーリー・ビンセント(演:アンディ・ガルシア)は大阪まで今は無きノースウエスト航空で佐藤浩史(演:松田優作)を護送します。
Northwest Airlines - Wikipedia
伊丹空港で偽刑事の梨田(演:内田裕也)に松田優作を引き渡してしまった二人は大阪のカオスの真っ只中に取り残されます。←別に帰国しても良かったんじゃないかと…。2人は大阪府警阿倍野署(旧庁舎)で松本正博警部補(演:高倉健)に出会います。
早速、中央区(撮影当時は南区)の道頓堀は戎橋の袂にある「戎橋キリンプラザビル」のクラブみやこに手入れ。※キリンプラザ大阪は2007年に10月末閉館解体。跡地は商業ビルLuz Shinsaibashi(ラズ心斎橋⇒現住友商事心斎橋ビル)ちなみにここでの撮影は1988年11月21日~24日。
KPOキリンプラザ大阪 - Wikipedia
しかし道頓堀の戎橋のネオンは撮影当時も今もグリコを筆頭に雪印もアサヒビールも変わりませんね…。

リドリー・スコットの『ブラック・レイン』聖地巡礼で訪問した戎橋

クラブみやこのインテリアはLAのメルローズプレイスにあるパラマウント撮影所。
Paramount Pictures - Wikipedia
スタジオ・ツアーで見学できます。画像はその際に撮影したもの。
Paramount Studio Tour

パラマウント・スタジオの給水塔

手入れの後、マイケル・ダグラスとアンディ・ガルシアは宿のある淀川区十三(←ラブホが多いんだけどな…)に移動。栄町商店街(←第七藝術劇場があるところ)で暴走族に絡まれます。

翌日は都島区京橋(住所表記上は東野田町)のガサ入れに同行。出発地は大阪府警本庁舎の設定の中央区(撮影当時は東区)大手前の大阪府庁舎。
大阪府/大阪府庁本館 (osaka.lg.jp)
※実は大阪府警本部庁舎は府庁舎の一区画南に存在していてます。

京橋商店街のパチンコ屋に踏み込みます。画面奥に大阪環状線の懐かしきオレンジ色の電車が走ります。
京橋商店街 (kyobashi.com)
外観は京橋グランシャトービル。
グランシャトーへようこそ (kyo-bashi.com)
京橋グランシャトービル - Wikipedia

パチンコ屋内部は京一会館←現在は閉店して一階部分はファミマに。

店内奥の組事務所はリドリー・スコットの音声解説によると「ミリオンダラーシアターの向かいのビルだ」と英語でも「Opposite Million Dollar Theater」って話していて、
Million Dollar Theater - Wikipedia
ミリオン・ダラー・シアターの向かいってブラッドベリー・ビルディングの事になるんだけど…。
Bradbury Building - Wikipedia
「別の映画でも同じ建物を使った」「ブレードランナーだ」とあるのでふ~んそうなんだ…になるんですが、(ここから話はややこやしくなるのですが…)『ブレードランナー』のブライオン・ジェームズ演ずるレオン・コワルスキーが宿泊しているユーコン・ホテルは、ブラッドベリー・ビルディングの斜向かいに位置していて…つまりミリオン・ダラー・シアターの通りを挟んで反対側の現在モバイル会社が入居しているビルで室内内部を撮影してたりする(←デヴィッド・フィンチャーの『セブン』のロケ地でもある…)ので、正確なところは何とも…『ブレードランナー』なヒトとしてはブラッドベリー・ビルディングを信じたいですんですけどね…。このシーンではガッツ石松(片山役)が出ていて、リドリー・スコットも日本のマイク・タイソンだと称えて演技も上手いとリスペクトしているので、今度、ガッツさんに会ったら『ブラック・レイン』の組事務所でロケしたのはブラッドベリー・ビルディングですか?それとも斜向かいの建物ですか?と聞いてみようと思います。

大阪府警のガサ入れで体を張るガッツさん
通りの右側がミリオン・ダラー・シアター、通りの左側がブラッドベリー・ビルディング
一応、ブラッドベリー・ビルディングの入口ね
一応、ブラッドベリー・ビルディングの外観
一応、ミリオン・ダラー・シアターの入口ね
一応、ミリオン・ダラー・シアターの外観
ブラッドベリー・ビルディングかもしれないロケ地から出てくると
フィリピンショーの看板があって…
大阪府警のパトカーが停まっていて…
ホステスさん大募集の看板もあって…
やっぱり京橋でした!

ガッツ石松組員の事務所でドル紙幣をちょろまかしたマイケル・ダグラスは阿倍野区あべの筋の阪堺電車上町線天王寺駅前~阿倍野間の屋台でドル紙幣に火をつけて偽札だと見破ります。今回の聖地巡礼で最も難易度が高かったのがここ。背景に阪堺電車のトラムが走るタイミングで自分入りの画像を撮影するのに苦労しました。奇跡の一枚がご案内したもの。他の写真は一般人が映り込んだりトラムが信号で停車してしまったりで…。今や筋の向かい側はあべのキューズモールです。

阪堺電車だけが目印
健さんがカクテルを飲んでる!
パラマウント・スタジオのメルローズ門

阪急梅田駅(現阪急大阪梅田駅)の旧阪急うめだ(一階)コンコースでアンディ・ガルシアがパスポートが入ったコートをバイクに乗った吉本(演:國村隼)に奪われたので、追い駆けたら松田優作に首狩りされてしまいます。
相棒が首狩りされたマイケル・ダグラスは今はなき長堀川に1910年に2代目として架橋され、1964年に同川が埋め立てられ長堀橋筋となって以降1995年まで歩道橋として実在した(地名では無い本物の中央区(撮影当時は南区))心斎橋で打ちひしがれます。
心斎橋 - Wikipedia

マイケル・ダグラスと健さんは松田優作の恋人の小野みゆき(『トラック野郎・熱風5000キロ』のマドンナ)を尾行して神戸市中央区元町通り3丁目交差点までふたりで移動。
元町 (神戸市) - Wikipedia
なんとリドリー・スコットは音声解説で「京都で撮った」「京都かな?」と発言(笑)!何も知らない視聴者を大いに困惑させます。健さんが歩いているのは大丸神戸店。マイケル・ダグラスは通りの反対側を歩きます。服部メガネ店はまだありますね。尾行先は旧協和銀行元町支店で(協和銀行+埼玉銀行=協和埼玉銀行→あさひ銀行+大和銀行→りそな銀行)統廃合を繰り返して今やユニクロ。この交差点で尾行対象人物が内田裕也にスイッチ。

大丸神戸店の前を歩く健さん
大丸神戸店の前に立ってみた
「服部メガネ店」があります
「服部メガネ」があります

内田裕也を尾行して日本タクシーに乗り込んで到着した先は大正区中山製鋼所転炉工場(現在は解体されて物流倉庫に)。正確には1988年11月7日に堺市(現堺市堺区)の新日本製鉄・堺製鉄所(現在MOVIX堺のある辺り)で撮影を始めたものの追い出されて11月13日~19日に中山製鋼所で外観を撮影。
中山製鋼所|100周年サイト (nakayama-steel.co.jp)
のコラム3参照。「ハリウッドの大作映画『ブラック・レイン』の撮影が、1988(昭和63)年11月13日から19日まで、当時の転炉工場で行われた。最初は他社の製鐵所で撮影が開始されたが、回転しているベルトコンベアの上を俳優が走り回るのを目撃した同製鐵所長が激怒して即刻中止。第2候補として当社にロケハンに来たリドリー・スコット監督が、転炉工場(現在は解体)を一目で気に入り撮影がスタートした。撮影中も操業は続けており、背景に当社社員が映っていたはずなのに、上映された映画には当社社員は一人も登場していなかった」
聖地巡礼してみたら(私は違いますが)工場萌えには堪えられない配管具合にグッときます。
※溶鉱炉やベルトコンベアの上で銃撃戦を繰り広げるシーンは内田裕也、國村隼等をカリフォルニア州フォンタナに連れて行って撮影。エンドクレジットにカリフォルニア・スティール・インダストリー・インクへの謝辞があります。
California Steel Industries - Wikipedia
California Steel Industries
なお、ここはジェームズ・キャメロンの『ターミネーター2』のラストシーンが撮影されたところとして有名です。※エンドクレジットでもロケ地列挙のアタマにフォンタナが出てきます。

マイケル・ダグラスは松田優作を取り逃がしてしまい逆に大阪府警に拘束されて伊丹空港もどきのLAXロサンゼルス国際空港からアメリカへ追い返されられますが、まんまとセキュリティゆるゆるの伊丹を後にして、健さんちに家庭訪問します。
ここは全くの個人の家というか集合住宅で撮影。本篇画像から大阪市民だったら解っちゃう所まで言及しちゃうと住之江区ニュートラム(現大阪メトロ南港ポートタウン線)ポートタウン東駅近辺の集合住宅。
ポートタウン東駅 - Wikipedia
なお、リドリー・スコットの音声解説では「港町の住宅で横浜」で撮影したと明言しております(苦笑)。

マイケル・ダグラスが健さんの部屋のピンポンを押す
健さんの部屋のピンポンを押してみた

マイケル・ダグラスは松田優作の手打ち相手となる菅井国雄(演:若山富三郎:『極道』=島村清吉・『極悪坊主』=真海・『賞金稼ぎ』=錣市兵衛・『緋牡丹博徒』=熊坂虎吉)との面会を求めて、北区(撮影当時は大淀区)豊崎の「ゴルフシティ」の打ちっぱなしを突撃訪問。今は阪神高速道路建設中で「仁丹」の看板跡しか当時の面影はありません。場所は淀川南岸大阪市営地下鉄(現大阪メトロ)御堂筋線とJR西日本京都線(東海道線)の間で新大阪から大阪に向かって淀川を渡るとすぐにわかります。因みにリドリー・スコットはここも「横浜の郊外」で撮った(!)と発言していて、リドリー・スコットは横浜で何かイイ事があったのか?横浜が関西にあると思っているのか?でもって聖地巡礼した翌日が大阪を離れる日で、高速バスでの移動だったので、帰りも新御堂筋を走るバスから看板を撮っておこうと動画を撮影してみたら…なんと見事に撤去されてました(笑)!阪神高速の工事が進んでいるのでこのまま建造物ごと撤去なのか?単に契約期間満了で新たなスポンサーの看板が飾られるかは?です。

あれ?昨日あった筈の看板が撤去されてる!

トミーの用心棒の安岡力也に拉致られてマイケル・ダグラスは大阪市北区(撮影当時は大淀区)からLAのロス・フェリスにあるエニス・ブラウン・ハウスの若山富三郎のお宅に直行。
Ennis House - Wikipedia
DVD特典映像でトミーの子分の島木譲二はビバリーヒルズで撮影したと思い込んでいるけど、全く別の場所。ロス・フェリスはグリフィス天文台の麓から中腹辺りです。
画像は『ブレードランナー』聖地巡礼時のもの。アングルが本篇と全く一緒(笑)。消火栓の位置もバッチリですね!

エニス・ブラウン・ハウスの入口ね!

いや、しかしオーディオ・コメンタリーを通しで聴いていると、世界各地で映画を撮っている筈のリドリー・スコットの地理感覚があまりにいい加減で呆れるばかり(苦笑)…。

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©2009 2014 2015 2022 プッチー・ミンミン

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