〜絶対売らない100枚〜 No.1

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Tell God I'm Here / Hurrah!

個人的に昔から暑苦しいマッチョな感じの音楽がどうも苦手である。体育会系みたい手合いが好かないからなのか、そういう男らしさ全開な何かには昔から惹かれない。まぁとは言っても例外は常にあるもので、ボストン、モーターヘッド、ポール・ウェスターバーグ辺りは暑苦しいが聴く、一部ではあるがハードコアも。表面的なだけの激しさは空回りする勇ましさなようで何か虚しく聴こえてしまう。つまり、ただ単にシャウトすることやギターを歪ませることが、音楽における熱量の全てではない、ということだ。制作の背景や歌われている内容がよく分からなくともそこに込められている何かに自分の中の意識もしない何かがどれだけ共鳴するか、結局はそこに行き着く。

そんな私にとってフラー!は本来の意味で激しく、聴くたびにビリビリと響き真に打たれる音楽である。音がデカいとか、叫んでるとか、テンポがテクニックがどうとかそういうことではない。繰り返しにはなるが、このアルバムの中に込められた思い、情熱、焦燥、歌うこと奏でること、愚直さ直向きさ、そうした様々なものが塊となって私の中の何かと共鳴するのだ。

1982年にデビューして、1991年に活動を停止したこのバンドは、そのそれなりに根気のある音楽活動の割にはその甲斐もなく消えた不遇のバンドである。しかしキッチンウェアから出たこのデビューアルバム、これは本当に、本当に凄い。ジャンルも関係なく心のこもった何かを欲している人は何はなくとも本作を聴くべきである。内容に関して、何の権威も実積も無いことは百も承知の上で私に保証させて欲しい。

余談ではあるが、本作のレコーディング時はプリファブ・スプラウトのパディが機材等を無償で貸したとか、それもまた良い話だよねえ。




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