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楽しい「裏」が、かなり好き!

「裏」という言葉には、良いイメージがあまりない。

「裏の顔」とか「裏表がある」とか「裏社会」などなど。
どれも、『密かなる悪』を表現する言葉だ。

でも私は「裏」が好きだ。だって「楽しい裏」もこの世には存在するのだから

例えば、一見ごく普通のトレンチコートなのに、実は裏地に美しい刺しゅうがほどこされているとか。

本のカバーの裏に、こっそり物語に関わる絵や地図が書いてあるとか。

どれも楽しくてうれしい「裏」だ。
そしてこれらを発見したときのワクワク感、自分だけの秘密感が、私は本当に大好きなのである。


ところでこれは、人に対しても言えること。
親しくなった相手の裏の顔を知った時、友情や愛情がぐんと深まったりしないだろうか。もちろんその裏が「悪」だったら、困るけれど。

では具体的な「裏顔」例をご紹介しよう。

友人Mは、世間的に「穏やかで落ち着いた大人の女性」と思われている。そのクールな物言いには、ファンも多い。しかし、そんな彼女の特技は、

キノコを発見することだ。


繁華街のすみに生息する小さなキノコ、山中の木陰に潜む明らかなる毒キノコ。
彼女のサーチアイから、逃れたキノコには未だ出会っていない。

そして、それを写真に撮り送ってくる。
結果、私のアルバムには日本のあちこちに散らばるキノコの写真が、かなりの枚数保管されていることに。全く望んでいないのだが。

でもMの目はいつだって「面白い事象」を発見するため(だけ)に動いているのだから、仕方ない。Mと付き合う必要経費だと私は考えている。

また友人Yは有能さと人当たりの良さから、順調に出世しているキャリアである。
しかし彼女は

絶対に昼寝を譲らない。


昼寝にかける情熱はどこまでも熱く強いため、例外は一切ない。
上司との外出においても実行された時、彼女への友情に尊敬が加わった。
私には欠けている勇気だから。

「ちょっとお手洗いへ」と昼食後に立ち上がったら、それはYの昼寝サイン。

私は彼女たちのそんな一面を知った時、自分の中の友情がグッと濃くなったことを、決して忘れはしないだろう。


さて他人の裏を明かした以上、私も自身の裏の顔を公表せねばなるまい。

実は私には、

真剣に尊敬している『漫画のキャラクター』


が一人だけいる。

「甲本ヒロトを、ロッカーとして心から尊敬している」
「片岡球子を、画家として心から尊敬している」

のと同じ重量で、ってこと。

「別に秘密にしなくていいのでは?」と、思う方もいるかもしれない。
もちろん私も漫画好きなことは、隠したりしない。

だけど、「私ね、二次元のキャラに真剣に敬意を抱いているのよ」とは、なかなか言えないものである。

なんというか、対外的には年相応の社会人として暮らしているので・・・
私にも見栄は存在するので・・・


ところで今日の夕方、私はスーパーへ買い出しに出かけた。

店内では様々な年齢層の人が、食材を眺めていた。私はそんな彼らを無意識に「普通の常識人」だと思っているわけだ。

駄菓子菓子!(from コニシ木の子さん)

友人にキノコを常に発見する人や昼寝命の人がいるのなら。
同じように「楽しい裏の顔」を持ちつつ、ほうれん草をカゴに入れている人もいるはず。

私はそう考えると、ウキウキが止まらない。
もしかしたらいつか、リアルでそういう人たちと知り合いになれるかも。

なんと夢のあることだろうか。夢ってこういう事を言うのじゃないか?
これからも私は楽しい「裏の顔」を探し続けるだろう。

リアルでも、このnoteでも。


<読まなくてもいいおまけ・・なぜ私が及川徹を尊敬するに至ったか>

私が尊敬しているキャラ「及川徹選手」は、バレーボール漫画「ハイキュー‼︎」の登場人物だ。

ハイキュー‼︎は、13年ほど前に少年ジャンプで連載していた。その後も人気が衰えず、数年おきに画集が発売されたり、キャラブックが発売されている。

つまり作者が「登場キャラの今現在」を、ちょいちょい描いてくれるのだ。

ちなみに及川徹選手は、アルゼンチンに帰化したプロのバレーボーラー。東京オリンピックでは、アルゼンチン代表選手として活躍しました。今年に入って、アルゼンチンプロリーグのチームを移籍しております(公式設定)。

さて・・・

及川徹は、主人公の一人の先輩であり、同じポジション(セッター)である。

そう、少年漫画によくありがちな「最初の壁として登場するも、序盤で敗退。後から見ると雑魚キャラなかませ犬」なのだ。

しかも天才である主人公に対して、及川徹は超有能だが凡人という設定。私はこの役割を当てはめられた及川徹に、心から同情した。

明るく軽薄を装いながら、バレーを、セッターを暑苦しいまでに愛する及川徹を、好ましいと感じたからこそ。

本当に人は、貴種(生まれ持っての貴族とか、特殊能力の血統とか、天分の才とか)が好きなんだから。
と、凡人である私は実に苦々しく思ったものだ。

そして勝手に及川さんの未来を決めつけて、彼にそんな役割を押し付けた作者をちょっぴり恨んでもいた。

でも作者の古舘春一さんは、いいえ及川徹選手は、それを完全にくつがえしてしまった。

通常の最初の壁キャラは、その後出てきても軽い扱いを受けるのが定番。
でも及川徹は、その後もバレーを続けに続け、ついには再びラストで、主人公の壁として、立ちはだかるに至ったのだ。

しかも漫画によくある「後付けチート設定(例:突然王族の子孫だと発覚する)」を使わずに。

泥臭い直球勝負で足掻いてもがいて、くつがえしたのだ。

ジャンプに高校卒業後の及川さんの人生が描かれた時は、朝イチでコンビニに走った。そして彼の選択と勇気に涙した。

10年後のハイキューが描かれた単発作品が掲載されたときも、朝イチでコンビニに走って、彼の元気な姿に、バレーボール愛に大笑いした。誇らしくて嬉しくて。

自分の一部が救われたから。
及川さんが全然報われず誰からも求められずとも、好きなことに向き合い戦い続け、ついに夢を叶えたことが、本気でうれしかったのだ。

「お前なんて**キャラだろ」と決めつけた愚か者を、鼻で笑ってくれたから。

ただし、漫画のキャラですけどね・・・・
ええ、この世に誕生した「人間」ではないのだが・・・

私の中で「及川徹」は生きていて、この先も歳をとっていく。
彼がバレーボールと共に幸福であることを、心から祈っている。
















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