楽しい「裏の顔」が好き。
「裏」という言葉には、良いイメージがあまりない。
「裏の顔」とか「裏表がある」とか「裏社会」などなど。
どれも、『密かなる悪』を表現する言葉だ。
でも私は「裏」が好きだ。だって「楽しい裏」もこの世には存在するのだから
例えば、よくあるトレンチコートに見えるけど、実は裏地に美しい刺しゅうがほどこされているとか。
本のカバーを取ると、その裏にも絵や地図が書いてあるとか。
どれも楽しくてうれしい「裏」だ。そして私は楽しい「裏の顔」を発見するのが大好きだ。
これは人にも言える。
親しくなった相手の裏の顔を知った時、相手への気持ちがぐんと深まったりしないだろうか。もちろん「悪の裏」は困るけれど。
例えば友人Mは、世間的に「穏やかで落ち着いた大人の女性」で通っている。
しかし、彼女の特技はキノコを発見することだ。
繁華街のすみに生えた小さなキノコを見つける手腕ときたら。
道に落ちた片手だけの軍手を発見するのも、すごく上手い。
Mの目はいつだって「面白い事象」を発見するため(だけ)に動いている。
また友人Fは有能さと人当たりの良さから、順調に出世しているキャリアである。
しかし絶対に昼寝を譲らない。どこでも、いつでも確実に昼寝時間を確保する。
例え上司と外出した場合でも、昼寝をあきらめるという選択肢は存在しない。
彼女の最優先事項が昼寝だと知るものは、ごくわずかだ。
さて、他人の裏を明かした以上、私も自身の裏の顔を1つは公表せねばなるまい。
私には真剣に尊敬している『漫画のキャラクター』がいる。
しかもそのキャラは「この地球に生きている」と思っている。
「別に秘密にしなくていーじゃん?」と、思う方もいるかもしれない。
もちろん私も自分が漫画好きなことは、隠したりしない。
だけど、
「村上春樹に人として、真剣に深く敬意を抱いている(事実)」
「甲本ヒロトにロッカーとして、真剣に深く敬意を抱いている(事実)」
と同じレベルで、
「ハイキュー!!の及川徹に、真剣に深く敬意を抱いている(事実!!)」
とは、なかなか言えない。
なんというか、対外的には年相応の社会人として暮らしているので・・・
ハイキュー!!とは、少年ジャンプに連載されていたバレーボール漫画である。
連載自体は10年ほど前に終了したけれど、数年おきに画集が発売されたり、キャラブックが発売されている。
しかもその中で、作者が「今現在」のキャラたちをちょいちょい描いてくれるという、素晴らしいサービス付きだ。
みなさん、ぜひ、ぜひ読んでみてください!!!(ずれた・・・)
私はこのハイキューを最初は「面白いスポーツ漫画の1つ」として最初は読んでいた。
しかしそのうち、
「夢を追うとは、具体的にはどういうことか」
「夢を実現するとは、何を意味するのか」
「夢に見切りをつけることは、つまらないか」
「叶わないと思われる夢を追うことは、無駄なのか」
「誰からも求められないのに、夢を諦めないのは愚かか」
などの視点から、じっくり見つめるようになった。
私にはかつて夢を追い、挫折し、己の夢の正体を見て愕然とした、という過去があるので(いつかnoteにも書きます。よくある話ですけどね)、そのような視点になったのだろう。
その中で私は、図々しくも及川徹選手に自分を重ねていた。
(ほんと図々しいんですけど。だって及川さんのが、はるかに能力も努力、本気度が高いのだから。並べたら彼に申し訳ない←狂ってる)。
そして勝手に及川さんの未来を決めつけて、彼にそんな役割を押し付けた作者を恨んでもいた。
でも作者の古舘春一さんは、いいえ及川徹選手は、それを完全にくつがえしてしまった。
しかも漫画によくある「現実にはありえない設定」だの「後付けチート設定」だのを使わずに、泥臭い直球勝負で、足掻いてもがいて苦しんで、くつがえしたのだ。
ジャンプに高校卒業後の及川さんの人生が描かれた時は、朝イチでコンビニに走った。そして彼の選択と勇気に涙した。
10年後のハイキューが描かれた単発作品が掲載されたときも、朝イチでコンビニに走って、彼の姿に大笑いした。誇らしくて嬉しくて。
自分の一部が救われたから。
及川さんが報われず求められずとも、向き合い戦い続け、夢を叶えたことが、本気でうれしかったのだ。
「お前なんて**キャラだろ」と決めつけた愚か者(わたしを含む)を、鼻で笑ってくれたから。奇跡は自力で起こすんだと教えてくれたから。
ただし、漫画のキャラなのだが・・・・
ええ、この世に誕生した「人間」じゃないのだが・・・
私の中で「及川徹」は生きていて、この先も歳をとっていく。
その未来を私が知ることはないけれど、それでいい。
彼が幸福であることを、心から祈っている。
漫画のキャラだが・・・肉体を持っていない二次元界の人だが・・・
ああ、これを読んでくれた人が引きませんように!!
っていうか、裏の顔の話よりハイキューのこと語っちゃった・・・ごめんなさい。
もちろんこの「裏の顔」は、友人MもFも知っている。やはり「裏の顔」はお互い見せ合うのが醍醐味だから。
内心どう思っているかは知らないけれど、受け止めてはもらっているようだ。
今日の夕方、私はスーパーへ買い出しに出かけた。
店内では様々な年齢層の人が、食材を眺めている。私は彼らを「普通の人」だと、無意識に思っている。
つまり「昼寝命の人」だの「キノコ発見が特技の人」は想定しないということだ。
もちろん「漫画のキャラを実在の人物として敬意を持つ人」も。
でも実際に上記の人々は存在するし、ごく普通の一般人として暮らしている。
ということは、同じように「楽しい裏の顔」を持ちつつ、ほうれん草をカゴに入れている人もいるはず。
もしかしたらその中には、noteでコミカルな記事を書く人や、Twitterでハイセンスなつぶやきをする人がいるかもしれない。
そう考えると、ウキウキが止まらない。
これからも私は楽しい「裏の顔」を探し続けるだろう。
現実でも、このnoteでも。
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