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【note版】タイタニック記念館がベルファストにあるよ

バレンタインですねぇ・・🌹すっかりなにもしなくなって久しいですが、恋愛もの映画といえば、世代的にコチラ!当時の同級生はわざわざ映画館で6回も観て、そのたんびに(いちいち!?)泣いたという名作👇

「タイタニック」と聞くと、1997年にレオナルド・ディカプリオが主演して世界的に大ヒットした、ハリウッド映画を思い出す人が多いのではないでしょうか。以前は私もそのうちのひとりでしたが、イギリスで暮らすようになると、子供が学校でタイタニック号の沈没事故について習ってきたり、テレビで特番が組まれるなど単なる物語としてではなく、生涯忘れ去られることのない歴史上のできごととして、イギリスの日々の生活に、なんとなく結びついているように感じます。

イングランド北西部の町、リバプール(関連記事)を訪れた際はタイタニック号のレプリカが展示されている海洋博物館(Merseyside Martime Museum)を見学したので、そのほかの都市とタイタニックが関係しているとは思いもよらず、北アイルランドのベルファスト市と深いつながりがあることもまったく知りませんでした。

※以下は他媒体に掲載中の記事から転載(自著)した、過去のものです。noteには私の個人的な記録として一部割愛、再編集(くだけた文調や写真のキャプション、絵文字など)したものをお届けします。フルバージョンの原文はこちらを参照ください(2022年2月7日執筆分)。

「タイタニック・ベルファスト(Titanic Belfast)」は9つのギャラリーから成る体験型アトラクションで視覚、聴覚、嗅覚を使ってタイタニック号の造船から悲劇の沈没までの物語、そしてベルファストの職人から町の成り立ちまで知ることができます。

タイタニック号の生まれ故郷ベルファスト

リバプールにもタイタニック関連の博物館があるのは、タイタニック号を所有していた海運会社、「ホワイト・スター・ライン社」の創業地だったからです。

マージー川沿いに建つ海洋博物館の一角に、関連した展示コーナーがありますが、北アイルランドの首府であるベルファストは船が造られた場所であり、2012年に地元の期待を一身に背負い、その名を冠したタイタニック専門の施設がオープンしました。

入館すると、まずはこのベルファストの成り立ちについて学べるようになっています。鐘のベルが名前の由来かと思いきや、ベルファストとはアイルランド語のBéal Feirste「ファーセットの口」が語源で、ベルファストがファーセット川のほとりに建設されたことからきています。

イギリスに暮らし始めたばかりの頃、胡麻を手に入れるのに苦労したのですが、代わりにflax seedという似たような見かけのものがスーパーに並んでいました。flaxとは亜麻のことで、その種は日本でも近年健康的とはやっているアマニ油の原料となりますが、その繊維は糸になり、麻布のリネン製品を作る材料となります。リネン工場があったベルファストは、その昔「リネノポリス(Linenopolis)」と呼ばれるほど繊維業が盛んで、その後の工業化の礎となりました。

アイルランド一の工業都市

2021年時のアイルランド島では、共和国の首都ダブリンの人口が約120万人であるのに対し、北アイルランドの首府ベルファストは約63万人。同島で2番目に大きな都市となっていますが、イギリスで産業革命が起きた18〜19世紀頃はほかにロープやタバコ、ウイスキーといった複数の主要産業を持ち、タイタニック・ベルファストのパネルでも紹介されているように、当時はアイルランド島一の工業都市でした。

黄色いのがそう

なかでも、同館にとって特に重要で関係があるのは造船業。タイタニック号は20世紀初頭に建造され、ホワイト・スター・ライン社が保有していた豪華客船ですが、それを作ったのがベルファストにあるハーランド・アンド・ウルフ造船所でした。

アトラクション型造船所見学

館内のガラス窓からは、同造船所の黄色い巨大クレーンがいまでも拝めますが、当時はほかにも姉妹船の「オリンピック」と「ブリタニック」を建造し、1900年までに1万人の雇用を創出、世界最大の造船会社として君臨していました。

同社の社史や、タイタニック号が作られることになった経緯などについて書かれたコーナーを見たあとは、ひとつ上の階に上がります。‘The shipyard ride’はトロッコ車輌に乗って、当時の様子を再現した造船所内部を見て回れるツアーです。

照明を落とした暗闇のなかに赤く浮かび上がる鍛冶場、顔をすすだらけにして必死で火花が散る工具を操る工員たちが映し出される映像など、いかにも過酷そうな現場がリアルに迫ってきます。アイリッシュなまりの英語を音声で流すなど雰囲気も満点で、まるで当時の世界にタイムスリップしたかのような気分を味わえます。

いざ、出航!

このトロッコから降りると、隣には船の造り方を写真や図解で仔細に紹介するコーナーがあり、そこを抜けると一転、自然光が差し込むガラス張りの明るい部屋に出ます。

天井にはタイタニックの進水式が行われた1911年、5月31日の午後12時13分を指す大きな時計が備えつけられ、1912年4月10日の初航海を控え、希望に満ちあふれた雰囲気が充満しています。

次のコーナーには寝台や洗面シンクなどを置き、各等級ごとの客室を復元した展示や、食堂で使われたテーブル・クロス、食器、カーペットの材質サンプルまで、船内のありとあらゆるものが紹介され、個人的にはもっとも興味深かったです。

また、バーチャル映像のコーナーでは動く3D画像がリアルで、女性ならため息を漏らしそうな豪華なダイニング・ルームや、映画の中で主役のひとり、ローズが降りてくる階段が目の前に現れたときはあっと息を呑みました。

切ない終えん、旅の終わり

それまでの華やかで明るい空気に包まれた展示コーナーとは対照的に、真っ暗に照明を落とした「沈没」エリアでは、スピーカーで乗客のさいごの声を流しながら船が沈んでいくさまが、幻想的なアニメーションで描かれています。タイタニック号の事故については、あまりにも有名な話なのではじめから結末はわかっていましたが、ここでは私も予想どおり沈痛な思いになりました。

亡くなった方の写真入りプロフィールなどを見ながら、今度は別のエリアにつながる階下へまたしても降ります。そこでは事故検証や各種裁判の内容、死者と生存者の統計などが紹介されており、沈没後に待ち受けていたさまざまな混乱の様子が伝わってきます。

自分でデータを検索できる機械があり、数字好きのわが子が2等客船の乗客に、日本人がいたことを発見しました。役人だったその人は、なんと幸いなことに生存者のひとりでした!

ほかに、この事故を扱った歴代映画の紹介や、いまも海底に沈んだままの船体や、遺品を撮影した動画を大型スクリーンで鑑賞できるなど、タイタニックのすべてを余すことなく伝えています。

出口手前では、現在のベルファストは海洋観光産業で特に注目を浴びていること、北アイルランドのなかでも高い教育施設が整っていることなどを、明日を担う学生の声とともに紹介しています。

遭難事故から100年を迎え、船体と氷河をイメージしたモダンな装いで2012年にオープンしたタイタニック・ベルファストは、タイタニック号だけでなくベルファストの成り立ちについても学べる貴重な資料館です。

◼️タイタニック・ベルファスト(Titanic Belfast)
・住所: Titanic Belfast, 1 Olympic Way, Queen's Road, Titanic Quarter, Belfast BT3 9EP
・URL: https://www.titanicbelfast.com


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