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イギリスのお菓子

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実際に作ってみたイギリスの伝統的なお菓子を、成り立ちや歴史的背景と共に紹介していきます。
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記事一覧

イギリスのお菓子vol.14「自家製ベリーベリー・スムージー」

小さい子というのは、見たまま聞いたままをすぐに真似したがるもので、とりわけわが家の下の子は、テレビや本を見てはすぐさま“創作活動”に勤しみます。やれ「布をくれ」だの「厚紙がいる」、「ビーズが欲しい」云々・・無限の要求が続き、こちらも材料を揃えるのに難儀します。 もう全然「小さい子」でもない娘は、ほかの子供たち同様、イギリスの国民的アニメ『ペパ・ピッグ(Peppa Pig)』(関連記事)がお気に入りでした。特に登場動物たちがスムージーを作っているのは、何度も繰り返し観るほど。

イギリスのお菓子vol.13「ウェールズの伝統菓子ウェルシュ・ケーキ」

イギリスのウェールズ(関連記事)という地域の伝統菓子、ウェルシュ・ケーキ(Welsh Cakes)については、以前より雑誌やレシピ本など、いろんなところで見かけてはいました。が、見た感じ、レーズン入りの小型パンケーキといった様子で「ようは小さいホットケーキでしょ。レーズン好きじゃないし」と思い、スルーしていました。 ところが、イギリスの現地校に通うわが子が「聖デービッド・デー(St David's Day)」なるものを習ってきました。なんでもウェールズ(Wales)では、守

イギリスのお菓子vol.12「アップルパイで世界パーティーの日」

世界にはいろんな記念日があるもので、今月はイギリスの雑誌を開くなり「世界パーティーの日(World Party Day)」なるものが取り上げられていました。またの名をP-Dayとも言われるこちらの記念日、いったいどんな日なんでしょう。 4月3日はパーティーの日!世界の記念日について解説、まとめているウェブサイト「National Today」によると、「食べたり飲んだり友人と遊んだり、あるいはただただリラックスしたり」と、思い思いのスタイルで楽しむ日なんだそうです。 これ

イギリスのお菓子vol.11「アップル・クランブル」

この「イギリスのお菓子」シリーズを始めてからというもの、以前と比べるとイギリスの伝統的なお菓子についてかなり知識が深まってきた気がします。「イギリスのお菓子なんて、バリエーションなさすぎてたいしたことないでしょ」と、はじめは正直ナメていたのですが、調べれば調べるほど各菓子の歴史や作りなどに感心し、愛着が深まりました。 特にイギリス菓子の好きなところは、名前がユニークな点です。名前を聞くだけではお菓子だとわからないものもかなり多いですが、その点今回トライした「アップル・クラン

イギリスのお菓子vol.10「イギリス式マカロン、マカルーン」

「今日はマカルンを作りました⭐️ マカルンとは、卵白に砂糖とアーモンドプードルを混ぜてクッキーの形にして焼いた、イギリスのお菓子です♪」 という、始まり方を想定していたのですが、ちょっとマズいことに気がつきました。英語のレシピにある菓子名は Macaroons どうやって発音するんだろう、と思い念のために辞書で調べたら発音は「マカルーン」でした。まぁ、まぁ、そうだよね。けど、え?え?意味は・・ マカロン⁉︎ ・・えー、ということで、私が本日作り上げた菓子は、単なる

イギリスのお菓子vol.9「パイ週間に作る深皿りんごパイ」

アップルパイを作るいちばん簡単な方法は、鍋やレンジなどでジャム状にしたりんごにパイ生地で蓋をすることだと思いますが、今週3月1日から7日まではBritish Pie Weekことイギリスのパイ週間だそうなので、今回は少し手をかけて「深皿りんごパイ(Deep-Dish Apple Pie)」なるものを選びました。 イギリス人の大好物:パイコメディアンでアナウンサー、女優に作家と幅広い肩書きを持つイギリス人、スー・パーキンズ(Sue Perkins)もBBC放送のJapan w

イギリスのお菓子vol.8「告解の火曜日に作るパンケーキ」

今日2021年2月16日は、イギリスで「パンケーキ・デー」こと告解の火曜日です。例年ですと、わが子が通う現地校では授業でパンケーキを実際に焼いたり、家でも作ってもらうよう促したりします。 それも今年は全国一斉学校閉鎖で叶わず、せめてもの慰めで子供たちにパンケーキをふる舞うことにしました。 イースター関連の祭日パンケーキ・デーはいつも火曜日 パンケーキ・デーはキリスト教に関係した伝統的な祭日で、レント(Lent)というイースターの断食期間が始まる初日「灰の水曜日(Ash W

イギリスのお菓子vol.7「リンゴの三角スコーン」

「あ、パンがない......」 と気づいてなにかかわりになるものを、といつもの愛用レシピ本をひらいて最初にそれらしきものを見つけたのがこのお菓子「リンゴのスコーン(Apple scone round)」。スコーンといえば言わずもがなイギリスの代表的な伝統菓子で、スタンダードな形状は小ぶりの丸型です。 同じく伝統的なお菓子でショート・ブレッドもありますが、こちらは棒状のほかに丸型や円盤、ハート、四角などさまざまな形に変化したものをよく見かけます。けれどそういえばスコーンはも

イギリスのお菓子vol.6「デーツのスティッキー・トフィー・プディング」

今回子どもがレシピ本から選んだのはデーツが入ったケーキ、「Sticky Toffee Pudding」。ふむ。前回選ばれたパイ生地タルト(参考記事)よりかは断然ラクそうなので、快諾。 デーツとはナツメヤシの実でモロッコで大量にはかり売りされていたので、中東のようなイスラム圏の特産物かなと認識していましたが、どうやらイギリスでもよく食べられているよう。ドライフルーツになったものが定番で、味は干し柿のようです。 プディングの歴史「プディング」となっていますが、日本人としてはド

イギリスのお菓子vol.5「ブラックベリーとりんごのパイ包み」

vol.2で「イギリスはバターが安い」と書きましたが、 puff pastry パイシート もお安いんです。イギリスに来た当初は「pie sheetはどこかな・・?」と思い浮かべながらスーパー店内を探し回っていたので、どうりでなかなか見つけられないわけでした。日本のものですとご丁寧にカットされたものがお上品な量で入っているだけですが、イギリスのはまるでサランラップのようにロール状に巻かれており、安いので使いたい放題! 普段の料理にも日頃から使いますが、とくに夏はわが家の

イギリスのお菓子vol.4ウィスキーいりフルーツタルト『ホープトン・ディライト』

庭のブラックベリーがリンゴとともに盛況です。どちらも毎日収穫して(リンゴは落ちてるものだけ拾う)さっさとなんとかしないと、消費が追いつきません。そのまま食べるかほとんどは砂糖といっしょにジャムにしますが、なにかほかに使い道はないかとレシピ本をめくると、ありました。 「ホープトン・ディライト(Hopetoun Delight)」というフルーツタルトが。写真はラズベリーですが、ラズベリーもブラックベリーも同じでしょ、というこじつけで早速作ってみることにしました。 スコットラン

イギリスのお菓子vol.3『ルバーブのバニラロースト・コンポート』

ピンクがかった鮮やかな赤い茎が特徴的なルバーブ(rhubarb)は、ヨーロッパや北アメリカといった欧米でよく食べられている「野菜」です。日本でも長野県や北海道といった寒冷地では栽培されていますが、そのほかの地域ではあまり出回っていないので知らない人も多いのではないでしょうか。 わたしもイギリスに来るまではハーブの本にのっているのを写真で見ただけで、実物は見たことがありませんでした。なので、こちらのスーパーではじめてルバーブが売られているのを目にしたときは感動しました。ルバー

イギリスのお菓子vol.2初夏にたべたい『マデイラ・ケーキ』

物価の高いイギリスにおいて比較的やすいものといえば、バターにヨーグルト、チーズといった乳製品があります。日本ではなぜだかここ数年、もうずっとバター不足。わたしがイギリスにくる2017年の時点でスーパーには「おひとり様1点まで」なんて注意書きがありました。それがこんどはコロナウイルスの影響で、お菓子作りなどによる内食需要が高まり、ふたたびバターが手に入りにくくなっているとか。 かくいうわたしも、以前より格段にお菓子を作る機会がふえ「内食需要」をしっかり高めている一因です。幸い

イギリスのお菓子vol.1「ビクトリア・サンドイッチ」

イギリスのお菓子は食事や城と同様、「さすがイギリス」という実直、屈強、(地味で写真映えしなくて華やかさに欠ける・・⁈)素材(のみ)を活かした素朴なものだ。 イギリスの人たちはケーキといえば日本人には不評のバターケーキで、それももはや食べ物に見えない、粘土のようなアイシング生地(マジパン)をグルグルにガムテープで巻きつけたような、完全装備の「デコレーション」ケーキが主流。たいていの在英日本人は、アイシングだけ密かに外しながら食べるか、内心「外したい・・」と思いながら食している