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これからの結婚式の在り方を考える

ウエディングプランナーになってから20年になります。
私は現在47歳なのですが、結婚式の記憶というのはかなり前のころからあります。
いとこがほとんど年上の女性だったこともあり、小学生のころから結婚式にはよく参列していました。私が小学生ということは、昭和60年とかの話です。そのころの結婚式といえば、みんな同じようなウエディングドレスとメイク(ほんとにリップの色は3色からしか選べなかったと聞いたこともあります)、延々と続く知らない人のスピーチ、お色直しだらけでまるで着せ替え人形みたいな新郎新婦様、そして肝心の新郎新婦様がその場にいないにも関わらず繰り広げられるご友人の余興。。。

冷めたお料理と誰も聞いていないだろう祝電披露。子どもながらに「なんて面白くないんだ」とうんざりしておりました。

それでもまあ、経済絶好調時、それが日本の「披露宴」で、「そういうもの」だと捉えて長く私たちはそういう結婚式を挙げてきていました。

バブル崩壊後、沈みゆく景気のなか、現れたのが「ゲストハウス」という形態でした。

これまでの結婚式といえば「景色の見えないホテルの箱」で次から次へと金太郎あめみたいに押し出される美容室でみんな並んで支度をし、あれよあれよという間にはじまって、親の知り合いや会社の知らない人の話とお酌だけであっという間に終わっていく。。。

感謝もなにも伝える暇もない。自分たちのことを祝福しに来てくれた友達とゆっくり写真をとることも遠慮してしまう。お偉い会社のかたの祝辞が長すぎてどんどん時間が過ぎゆく。やたらガチガチに決められた進行で画一的な内容。こんな結婚式、高いお金を払ってまでやる必要ある??それにお金だけではなく、その価値自体に「なんか違う、なんかダサい」と感じ始めた若い結婚世代の心をわしづかみにしたのが「ゲストハウス」だったのです。

かなえたい3

だいたい2000年ごろに台頭してきたこのスタイルは、結婚式の概念を

変えていきました。「窓からみえる開放的な景色」「金太郎あめではなく

ひとりひとりの個を大切にしたおもてなし」「ホテルの結婚式みたいに同じような花嫁とすれ違うことなどない、たった一組の貸し切り感」「貸し切りの邸宅についているガーデンで繰り広げられるデザートビュッフェ」

当時のキメフレーズは「まるで海外の映画みたいな世界」「まるでハリウッドのパーティーみたい」、こんな感じでした。

とまあこんなふうに、結婚世代の花嫁さんの「素敵!!」を見事勝ち取り、そこから約10年くらいは、ゲストハウスの黄金期だったといえます。

でも。それだけ華やかな演出をするにはそれだけの費用もかかるし、何よりも結婚式は外から見ているのと中に入って調整仲介しながら進めていくのとでは、180度近いギャップがあります。

いっときのゲストハウス人気は少しずつですが翳りはじめたところに、東日本大震災、そしてさらなる不景気、それでもどうにか持ちこたえてきたものの、2020年のコロナでついに「来るべきときがきた」という局面になりました。

なんでもそうですが、その行いや儀式の本質をおいてきぼりにして見た目だけまねたものって限界がありますよね。海外のパーティーがどうしてあんなに楽しそうに見えるのかっていう「本質」は、建物や料理の提供方法をまねただけでは実現されにくいんです。そこには日本人と欧米人の「気質の違い」もありますし。だからといって昭和バブル期のあの画一的な結婚式が良いとは、私は決して言わないし思っていませんが。

お客様の価値観が、ここ数年確実に変化してきているのは感じます。

それは、誤解を恐れずにいえば「コロナがきっかけとなって、結婚式をあげるかあげないかの意味を真剣に考えるようになった」その結果「これまでなんとなく行ってきた結婚式の内容に疑問をもつ人たちが増えた」

古いしきたりとかそういうものだって、時代とともに意味は薄れます。

日本の婚礼業界はそのビジネス構造上、やたらと高額であることもネットやSNSで簡単にばれる時代です。

雇用状態の多様化や働き方改革や、結婚そのものに関する価値観だって多種多様の今、お仕着せの概念で結婚式を行うのはあまりにも時代錯誤なのです。もっといえば、日本の「ご祝儀制」は、もはや化石のごとく古い考え方だとすら、私は個人的には思っています。

じゃあ結婚式はなしにするか?といえば、そうではなく。

人は、大切な人の幸せを「祝いたい」気持ちと、幸せだということを「伝えたい」気持ちはあると思うのです。そこに「ありがとう」が生まれる空気感は無条件に「愛」です。

人の間と書いて「人間」ですから。人は一人で生きてはいけないから。

慶びごとは祝い合う。そこで「ありがとう」のエネルギーがあふれる。

人と人が愛し合ってともに生きていくことは素晴らしいことです。それをただ祝い、みんなで楽しく語らい、飲んだり食べたり。。

「愛」それが「結婚式」の本質なのではないかなと思います。

必要なのは、新郎新婦と、そこに集う人たちと、お祝いするための美味しいごはんと飲み物。あとは「気持ち」これさえあれば究極、結婚式は成立するのです。

でもそれだけじゃ日常と変わり映えがしないので。ハレの日とは昔からいいますが。ほんのちょっとの「特別な装い感」として、花嫁衣裳やきれいな祝福の花や、おめかしのメイクなどなど。

で。ここからがこれからの結婚式の価値観かなと思っているのですが。

場所もどこでもいい。カフェやレンタルスペースでもできるよね。式場である必要はない。

お金もそんなにかけることない。無駄を徹底的に省いて賢くネットで探して自分たちで工夫すればいい。

どうせこの先付き合うからもわらかない会社の人は呼ばない。これからの時代は「氣の合う者同士のつながりが大事」

本当に大切な家族や友人だけに囲まれたい。大切な1日だからこそ。

お互い気兼ねなく参加しあえるように会費制とか、飲食は持込み制とか、

色々方法はある。(つまりご祝儀制以外のもっと手軽な参加方法)


結婚式はもはや「一生にいちどの」なんていうフレーズではなくて。

もちろん一生にいちどではあるのだけど。

結婚式は「ふだんのくらしの先に続く、そしてこれからも続く毎日のなかの

ちょっと特別な楽しい素敵な日」

そんな感じではないでしょうか。

そんなふうにライトにとらえることができて、参加者にも負担がなくて、新郎新婦が目立つことも特になくて、それが高額にならず現実的なお値段でできて、さらに式場に縛られたルール上でガチガチした進行ではなく、本当に好きなようにフリーにワイワイ楽しめる空間であったら。

そんな結婚式も悪くないのではないでしょうか。









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