水星の魔女はテンペストではなかった話
さて、漸く本論に行ける。この話をする際に前提となる知識が必要だから以下の話を書いたのだが……
シリーズ脚本書いた大河内がガバもガバガバの阿呆なんで気付いてなさげだが、キリスト教ベースの倫理観や文化フォーマットの上で成立するシェイクスピアのテンペストでは、演劇の最後にプロスペローがゆるされるか否かを観客に問う。当然物語は良い感じに終わるのでプロスペローはゆるされるのであるが、先にも書いた通りここでの「ゆるし」とは赦しだ。
そして赦しを得る為には自らが誤っていた事を認め(改悛)、正しく神に向き直る「回心」をしなきゃいけないのだが、水星の魔女ではこの「改悛と回心」をしていないのである!
言ってしまえば「すまんな」「ええんやで」の精神である。この世に罪無き人は居ないのだから、罪は罪として償いつつも後は「ええんやで」と赦さねば我々は互いに赦しあえない。テンペストではプロスペローが娘と王子の愛を許容し、自らの復讐を止めることで他者からの赦しを得るって話なんだよ。
しかしバカ田大学卒業疑惑のある大河内はこの「改悛と回心、そして赦し」と言う西洋の基本フォーマットに気付かず「なんかええ感じにしとけば良かろ」と雑に処理した。やはりバカである。
先にちゃんと書いてやったのになぁ。
ちゃんと改悛と回心して、その上でスレッタがお互い様や、ええんやでの精神発揮してるだろ? ワイは中世ヨーロッパ警察するぐらい西洋文化には詳しい(特に中世) こういう展開ならテンペスト的になるよって書いておいたのに理解できない(読んでない可能性もあるが、テンペスト引用するならこの程度のキリスト教知識は調べておけ)
水星の魔女最終回がなんやよー分からん展開になってるのは、本来そこにあるべき「改悛と回心」が描写されず、有耶無耶にされてしまったからだ。プロスペラは一言でもスレッタに謝ったか? クワイエットゼロやエアリアルで人を殺した事を懺悔したか? 何もしていない、なーんにもしていないのである! プロスペラは最後の最後まで狂った母親のままにされ、事もあろうにスレッタは変われなかった母親を肯定した!
ここが水星の魔女の最終話最大の失敗である。
大河内、お前もう作家辞めろ。そこまでの能無しだとは思わなかった。これについては小林監督も同罪だ。
何故「これで良いと思った」のか。初見時「いい大人が揃いも揃ってキリスト教理解しないままテンペスト使いやがった」と心底驚き落胆した。はっきり言ってガンド天狗以下ですわ。ハーメルンの野良作家に負けるとかお前ら正気か。頭に八丁味噌でも詰めてるのか?
最終的な結論として、私の「水星の魔女」評点は40/100ぐらいだ。絵は綺麗だった。良く動いてた。正直23話で感じた絵コンテの問題も24話では緩急付けて「ほう、23話より更に描写上げてきたか」と感動したし、声優さんたちの演技も良かった。メカデザインもいい。キャラデザも今考えれば秀逸だ。
だが、話が壊滅的にダメ
正直に申し上げて、俺がプロット組んで脚本家に各話脚本書かせた方がマシであろう。ネット工作員でもない限り、本作サイコーとかガンダム史上最良とか言ってる奴は「かなり頭がおかしい」
何も考えず雰囲気だけで見てるなら、多少引っかかる部分はあるが面白かったぐらいの評をするであろうが、野良作家のワタクシ的には「ハーメルンなら星与えずスルー」クラスの駄作としか言えない。思慮が足りないよ、思慮が!
この歌を各位に捧げる。
In the greenest of our valleys
By good angels tenanted,
Once a fair and stately palace—
Radiant palace—reared its head.
In the monarch Thought’s dominion,
It stood there!
Never seraph spread a pinion
Over fabric half so fair!
Banners yellow, glorious, golden,
On its roof did float and flow
(This—all this—was in the olden
Time long ago)
And every gentle air that dallied,
In that sweet day,
Along the ramparts plumed and pallid,
A wingèd odor went away.
Wanderers in that happy valley,
Through two luminous windows, saw
Spirits moving musically
To a lute’s well-tunèd law,
Round about a throne where, sitting,
Porphyrogene!
In state his glory well befitting,
The ruler of the realm was seen.
And all with pearl and ruby glowing
Was the fair palace door,
Through which came flowing, flowing, flowing
And sparkling evermore,
A troop of Echoes, whose sweet duty
Was but to sing,
In voices of surpassing beauty,
The wit and wisdom of their king.
But evil things, in robes of sorrow,
Assailed the monarch’s high estate;
(Ah, let us mourn!—for never morrow
Shall dawn upon him, desolate!)
And round about his home the glory
That blushed and bloomed
Is but a dim-remembered story
Of the old time entombed.
And travellers, now, within that valley,
Through the red-litten windows see
Vast forms that move fantastically
To a discordant melody;
While, like a ghastly rapid river,
Through the pale door
A hideous throng rush out forever,
And laugh—but smile no more.
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