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背水の陣の覚悟はあるか? ―カタールW杯アジア最終予選―

映画も音楽も好きですが、実はサッカーも好きなので書かせていただきます。
いまさら感もありますが、途中まで書いてて更新するのを忘れていたとかなんとか・・・。

カタールW杯アジア最終予選がスタートし、日本(FIFAランク24位)は、グループBで、オーストラリア(同35位)、サウジアラビア(同61位)、中国(同71位)、オマーン(同79位)、ベトナム(同92位)ホーム&アウェイで対戦し、2位以内に入れば本戦出場が確定し、3位の場合はプレーオフに進むレギュレーションになっています。

FIFAランクをモノサシとして考えると、日本はグループ最上位であり、こと日本戦となると目の色を変えてくる韓国がいないこともあり順当ならば手堅く予選突破できる組み合わせとも言えます。

しかし初戦のオマーンにホームで0-1で破れ、2戦目の中国にはアウェイ(と言いつつも試合はドーハで行われたので実質中立地)で1-0の辛勝という形で、やはりW杯への道は平坦ではないと痛感させられてしまう結果となりました。


今回は放映権をDAZNが持っていることもあり2試合ともフルタイム観戦ができましたので、自分なりの所感を書いていきたいと思います。

まずは各選手寸評から。

GK:権田
オマーン戦の失点は相手のシュートがダイレクトでかつ芯に当たらなかった結果予想しづらいところに転がってきたということもあるので、あれを確実に止めるというのは難しいでしょう。他には相手の攻撃を石崎くんさながら顔面ブロックしたところなどガッツあふれるプレーもありましたが、逆に言えばそれ以外に見せ場がなかったのがそこまで攻め込まれなかったということでもあると思いますので、無難に合格点といった評価でしょうか。

DF(センターバック):吉田
オリンピックからの連戦も目立った疲れは見せず、しっかりとラインを統率しつつ相手の攻撃を封じていた印象です。他のベテラン勢が衰えを感じさせるような評価を受けている中、一人気を吐いているといったところでしょうか。現時点では富安とのコンビが最善と思わせるのも納得です。

DF(センターバック):植田 ※オマーン戦のみ出場
試合を通じてミスが多かった印象。そこまで前掛かりに来ていたわけじゃない相手に対してのものだから悪目立ちしてしまいました。ただ失点シーンは酒井がマークしている相手が進入してきてのものなのでそこで責められるのはちょっとかわいそう。

DF(センターバック):富安 ※中国戦のみ出場
中国が前半は5バックとかなり引いて守っていたことで良くも悪くも見せ場はそこまではなかった。ただ最終ラインから前線へのパスの供給もでき、視野も広く、守備も無難にこなしている印象でした。ぜひともアーセナルでさらなる飛躍を遂げてほしい。

DF(左サイドバック):長友
攻撃参加で随所に目立つところはあったが、やはり守備面が気になるのとこの時点でチーム未所属(現在は古巣のFC東京に戻ることが決定)という状況での試合勘、そして何よりスタミナの問題が気がかり。

DF(右サイドバック):酒井 ※オマーン戦のみ出場
オーバーエイジで参加したオリンピックと比べると攻撃面、守備面どちらをとっても今ひとつ。オマーン戦の終盤の失点は酒井のマークしていた相手に抜け出されたのをマークしきれなかったのも痛い。疲労顕著ということで代表からも外れたように明らかに本調子ではありませんでした。

DF(右サイドバック):室屋 ※中国戦のみ出場
終始スピード感もあり動きは良かった。ただ伊東も言っていたように高い位置を取ることはあっても中に入るといった動きの変化が少なく、結果として伊東のスペースを消すような形になってしまっているところもありました。そのあたりのバランス感は修正してもらいたいところです。

MF(ボランチ):遠藤
ボール奪取やデュエルの強さなどの持ち味はそれなりに発揮していましたが、やはりオーバーエイジで参加していたオリンピックやドイツの自チームでの活躍を考えると、明らかにトーンダウンしている印象でした。特にオマーン戦ではボランチからのボール供給を完全にブロックされていただけに、そこに打開策を見出だせなかったのは課題でしょう。

MF(ボランチ):柴崎
ボールタッチや攻撃参加はそれなりにありましたが、以前と比べるとやはり安定感に欠ける印象です。オマーン戦では遠藤同様パスコースをしっかり抑え込まれてしまった印象。中国戦では前半はそこまで相手のマークが厳しくなかったけれど、決定的な仕事はできませんでした。

MF(左サイド):原口
ボールロストも多くここからの攻撃の展開が見られませんでした。引き気味の相手にはどこかで仕掛けていく必要がありますが、そういった場面は少なく、かといって効果的なクロスを上げるでもなくプレーの方向性がわかりにくかったです。オマーン戦では前半で交代、中国戦も途中出場というのも致し方ないのでしょう。

MF(左サイド):古橋
慣れないポジションながらなんとかクロスを上げたり突破を見せたり、ゴール前に迫ったりと奮闘していた印象です。ただ左サイドバックの長友とのコンビネーションもイマイチで効果的な攻撃展開にはつながりませんでした。負傷交代も気になるところ。

MF(中央):鎌田
これまでの活躍を考えるとショッキングなまでに見せ場がなかった印象。スタメン出場のオマーン戦では鎌田-大迫のラインはかなりケアされていた印象はあるけれど、それだけであっさり手詰まりになっていたのが案外でした。自分が前に上がっていく、サイドに流れるなどもう少しバリエーションを見せてほしかったですね。

MF(中央):久保
スタメンの中国戦ではトップ下の位置で自らシュートまで持ち込んだり、右サイドに流れて展開したりと攻撃の活性化において最も重要な存在となっていました。シュートもポストに阻まれるなど極めて惜しいものが多く、今後の核となる存在でしょう。

MF(右サイド):伊東
この2試合で言えば一番活躍したと思います。右サイドでドリブル突破を何度も見せ、クロスをあげたり自らシュートを打ったりと攻撃を活性化していた印象です。この2試合で唯一の得点は伊東がサイドを突破して上げたクロスを大迫が合わせたもの。やはりアジア予選のように相手がしっかり守ってくるチームではこういう変化をつけられる選手は貴重なだけに、次のサウジアラビア戦の出場停止が痛いですね。

MF(右サイド):堂安 ※オマーン戦のみ出場
オマーン戦のみのそれも途中出場でしたが、オリンピックでも一緒だった久保とのコンビネーションで攻撃を展開するなどの見せ場はそれなりにあった印象です。

FW:大迫
ワントップとして前線に張るもなかなか効果的なパスをもらえずオマーン戦は消化不良。中国戦こそ虎の子の1点を取るもそれ以外の部分では特に目立ったところは感じられませんでした。また「大迫ハンパない!」と言わせてくれるような活躍を期待します。


こうした結果になったことで改めて選手層の問題や森保監督の進退論などが取り沙汰されてしまっていますが、選手層としてはやはりサイドバックが一番のウィーク・ポイントではないでしょうか?

長友、酒井がファーストチョイスとなっていてもちろん2人の実力が折り紙付きなことは承知なのですが、全盛期と比較するとどうしても衰えを感じざるをえません。
ただ、彼らに代わる選手というとなかなか難しいのもまた現状なのかも知れません。

中国戦に出場した室屋やメンバー入りしている山根、中山、佐々木あたりが有力でしょうし、個人的には名古屋の成瀬や浦和の明本、鹿島の常本あたりも試してほしいとは思っていますが・・・。
代表歴のない選手をアジア予選とはいえいきなり本番に呼ぶというのはそれなりにリスクを伴うことなのでしょうが、うまくいっていない状況を打破するためにはある程度リスクをおかすことも必要なのではないかと思います。

森保監督への批判も色々ありますが、やはり一番気になるのが戦術の幅の少なさですね。
日本代表だけではなくオリンピック代表でもそうですが、4-2-3-1を基本としたスタイルをここ数年維持しており、フル代表では1トップに大迫を置くというシステムもずっと不動です。まさに戦術大迫とはよく言ったものです。
馴染みのあるスタイルのほうが良いというのはわかりますが、結果としてオマーンにはしっかりと対策をされてしまったことで貴重な試合を落としてしまうことになったのも事実です。
またこのシステムを重要視しすぎるあまり、古橋(オリンピックでは前田もそうでしたが)を不向きなサイドで起用という形になってしまったのも決して良い判断とは言えなかったでしょう。

一時、3バックなど別のシステムも模索していたように感じたのですが、結局は肌にあった4-2-3-1に固執しすぎるのは今後のアジア予選を戦っていく上で大きな問題となってくるかもしれません。
すでにオマーンの成功例を見せてしまっているので、このまま何の対策も用意しないで今後の試合に臨むのは不安でしかありません。
例えば中国戦では大迫のワントップではなく古橋をシャドーの位置においた4-4-2の陣形などを試すことはできなかったのかというのは誰もが疑問に思ったことでしょう。この点でも極力リスクをおかさないような選択をしていると言わざるをえません。

などと書いておいて更新を忘れていたら10月のオーストラリア戦、サウジアラビア戦に向けての代表メンバーが発表されましたね。

▽GK
川島永嗣(ストラスブール/フランス)
権田修一(清水エスパルス)
谷晃生(湘南ベルマーレ)

▽DF
長友佑都(FC東京)
吉田麻也(サンプドリア/イタリア)
酒井宏樹(浦和レッズ)
室屋成(ハノーファー/ドイツ)
植田直通(ニーム/フランス)
板倉滉(シャルケ/ドイツ)
中山雄太(ズヴォレ/オランダ)
冨安健洋(アーセナル/イングランド)
橋岡大樹(シント=トロイデン/ベルギー)

▽MF
原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)
柴崎岳(レガネス/スペイン)
遠藤航(シュトゥットガルト/ドイツ)
伊東純也(ヘンク/ベルギー)
浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)
南野拓実(リヴァプール/イングランド)
守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)
鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)
三好康児(アントワープ/ベルギー)
堂安律(PSV/オランダ)
田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)

▽FW
大迫勇也(ヴィッセル神戸)
オナイウ阿道(トゥールーズ/フランス)

怪我で久保と古橋がアウト、他にも昌子、山根、佐々木が外れて、代わりに酒井宏樹が復帰、橋岡、板倉、浅野、南野が入った形ですね。

どう起用するかはともかく真新しさは感じないような・・・。

ともあれ泣いても笑っても最終予選。しっかり結果を出して本戦出場を決めてもらいたいです。

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