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第95回アカデミー賞 雑感

3月13日の映画の祭典アメリカアカデミー賞発表からだいぶたっちゃいましたが、自分の受賞予想の振り返りと雑感を書いていきたいと思います。

作品賞
西部戦線異状なし
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
○イニシェリン島の精霊
エルヴィス
◎エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
フェイブルマンズ
TAR/ター
トップガン マーヴェリック
逆転のトライアングル
ウーマン・トーキング 私たちの選択

他の部門でもそうですが、終わってみれば「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」強し!でしたね。
受賞できないとすればやはり作品の品格というかアカデミー賞作品賞としてふさわしいかと考えた際に、それがネックになる要素があることでした。
ジャンルがマルチバースアクションであることや、ちょいちょい下品なネタが出てくることがマイナスになることを懸念していましたが、取り越し苦労でした。

本作はマルチバースアクションではありますが、根底で描いているのは、「あのとき、ああしていれば・・・」という誰もが抱いたことのある気持ちであり、人はその状況や選択によっては何者にでもなれるという可能性であり、そうした可能性を通じて相手を思いやる心だったりします。
書きたいことは山ほどあるので、こちらは時間があればいずれ別記事で書きたいと思います。
ともあれ、関係者の皆様、受賞おめでとうございます。

「イニシェリン島の精霊」は残念でしたが、作品のインパクトという点ではやや劣っていたのかもしれません。ただしこちらも他愛もない喧嘩をベースにした戦争批判の映画でもあり、その構造はかなり緻密な作品になっています。年一で決定するアカデミー賞なだけに涙をのんだ形になりますが、年が違えば圧倒的な本命視された可能性もあったのではないかと思います。

今年より作品賞ノミネート数が10本に増えて、うち7本は鑑賞済ですがそれぞれ違うベクトルの作品ながらどれも素晴らしい作品になっています。受賞したしないにかかわらずぜひ御覧いただきたいと常々思っております。

監督賞
▲マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
○ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
スティーヴン・スピルバーグ『フェイブルマンズ』
◎トッド・フィールド『TAR/ター』
リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

ここも「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のダニエルズこと、ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナートが受賞しました。監督賞はキャリア重視というかこれまでの実績を考慮されることが多い印象だったのですが、そんな傾向すらぶち破る勢いがあったということでしょう。
マルチバースアクションという体ではありながら、舞台のほとんどはコインランドリーと税金の監査局という極めて限定的な空間で繰り広げられているというのがまた映画ならではのイマジネーションで、それを実現したということは評価に値するのでしょう。
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルに次ぐ若さで、それもこの名義では「スイス・アーミー・マン」に次ぐキャリア2作目での受賞ということで、あらゆる面で規格外の受賞になりましたね。

主演男優賞
◎オースティン・バトラー『エルヴィス』
コリン・ファレル『イニシェリン島の精霊』
○ブレンダン・フレイザー『ザ・ホエール』
ポール・メスカル『aftersun/アフターサン』
ビル・ナイ『生きる LIVING』

こちらは「ザ・ホエール」のブレンダン・フレイザーに軍配。
前哨戦でも互角だっただけに驚きの結果というわけではありませんが、「エルヴィス」のいオースティン・バトラーの方がどうしても華があるといった印象だったので受賞しやすいのではないかという予想でしたが・・・。
ブレンダン・フレイザーは「ハムナプトラ」シリーズなどで人気俳優で演技が評価されるタイプの人ではなかったかと思うのですが、スキャンダルで事実上干された状況になってからのカムバックということもあり受賞につながったのかもしれません。
「ザ・ホエール」は4月公開なのでこれから見るのが楽しみです。

主演女優賞
◎ケイト・ブランシェット『TAR/ター』
アナ・デ・アルマス『ブロンド』
アンドレア・ライズボロー『トゥ・レスリー(原題) / To Leslie』
ミシェル・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』
○ミシェル・ヨー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

こちらも「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」のミシェル・ヨー。
主人公ではありますが突発的な状況に振り回されるという印象が強いので受賞まで突き抜けるかは未知数でしたが、突き抜けましたねえ・・・。
カンフーアクションもこなしつつ、前半の疲れた中年女性から世界の救世主、世界的な大女優、料理人、指がソーセージの人、岩など、様々な顔を見せてくれたところも評価しやすいポイントだったかもしれません。
ケイト・ブランシェットはすでに2度受賞していてまたいつでも受賞しそう感があるので3度目はお預けということでしょう。

助演男優賞
ブレンダン・グリーソン『イニシェリン島の精霊』
ブライアン・タイリー・ヘンリー『その道の向こうに』
ジャド・ハーシュ『フェイブルマンズ』
○バリー・コーガン『イニシェリン島の精霊』
◎キー・ホイ・クァン『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

仮に「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が受賞から全く見放されたとしてもここは確実と思っていたキー・ホイ・クァンの受賞でした。
「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」や「グーニーズ」のあの子役が再び映画界の第一線で日の目を見るなんてそれだけでもうドラマチックですからね。
本作でも優しいけど頼りない夫でありながら主人公がマルチバースの救世主であることを知らせる重要な役どころですが、その両面の姿を切り替えて見せてくれたのはさすがのキャリアといったところ。映画に出演していない頃にアクション・コーディネートなどをしていたことあり、カンフーアクションも見どころたっぷりでした。受賞のコメントも素直に喜びを爆発させながらも感動的で素晴らしかったです。
余談ですが、本作は最初はジャッキー・チェンを主演に想定して脚本が書かれていたそうですが、途中で母親の方を主人公にして、主演にミシェル・ヨーを迎えてその夫役に・・・という流れらしいので、このifがなかったら受賞もなかったかと思うとまさに映画のような結果でした。

助演女優賞
◎アンジェラ・バセット『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
ホン・チャウ『ザ・ホエール』
○ケリー・コンドン『イニシェリン島の精霊』
▲ジェイミー・リー・カーティス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ステファニー・スー『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

キャストの賞ではここが「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」の正念場かとも思っていましたが、ジェイミー・リー・カーティスが見事受賞しました。本作では堅物の税金監査員でありながらマルチバースでは宿敵でもあり、あと指がソーセーj以下略・・・ということで主演のミシェル・ヨーほどではなくても様々な顔を見せてくれています。
それでも同作からはステファニー・スーもノミネートされているし、アンジェラ・バセットにも一定の票が集まりそうだし、「イニシェリン島の精霊」もキャスト部門ではここが一番可能性がありそうだし・・・などいろいろ不安要素があったかと思いますがそれを跳ね除けての受賞となりました。
ジェイミー・リー・カーティスと言えばホラー映画の「ハロウィン」シリーズやアーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トゥルーライズ」などの印象が強くて、ブレンダン・フレイザー同様に演技が評価されるといったタイプではない印象もあっただけに悲願の初受賞となったことは喜ばしいことでしょう。

脚本賞
◎マーティン・マクドナー『イニシェリン島の精霊』
○ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
スティーヴン・スピルバーグ&トニー・クシュナー『フェイブルマンズ』
トッド・フィールド『TAR/ター』
リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』

もし仮に「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」旋風が吹き荒れたとしてもここは「イニシェリン島の精霊」が受賞するのではないかと思っていましたが、ここでも「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」強し、の結果でした。
純粋に脚本のみとなった場合に「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は配役や設定、映像などのインパクトが総合的に評価されても骨子の物語部分ではどうかとは思っていましたが、そうですか~。
「イニシェリン島の精霊」はまさに本ありき、という作品だと思うのでここは受賞してほしかったというのが本音ではあります。どちらも大好きな映画ではあるんだけど・・・。

脚色賞
▲エドワード・ベルガー、レスリー・パターソン、イアン・ストーケル『西部戦線異状なし』
○ライアン・ジョンソン『ナイブズ・アウト:グラス・オニオン』
カズオ・イシグロ『生きる LIVING』
アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー、原案ピーター・クレイグ、ジャスティン・マークス『トップガン マーヴェリック』
◎サラ・ポーリー『ウーマン・トーキング 私たちの選択』

ここは前評判通りの「ウーマン・トーキング 私たちの選択」のサラ・ポーリーが受賞しました。
サラ・ポーリーは「スイート・ヒアアフター」や「死ぬまでにしたい10のこと」などでは女優として活躍していたのですが、すっかり今は監督、脚本の人になっていますね。
日本では6月公開とのことですが、札幌でもやってくださいね・・・。

編集賞
ミッケル・E・G・ニルソン『イニシェリン島の精霊』
マット・ヴィラ、ジョナサン・レドモンド『エルヴィス』
◎ポール・ロジャーズ『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
モニカ・ヴィッリ『TAR/ター』
エディ・ハミルトン『トップガン マーヴェリック』

ここは「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」鉄板でしたね。
目まぐるしく移り変わるマルチバースの数々を画面に映し出して一つに繋いでいるというのはまさに編集のなせる技。可視できないレベルのコマにもこだわった編集がしっかり評価されました。

撮影賞
○ジェームズ・フレンド『西部戦線異状なし』
ダリウス・コンジ『バルド、偽りの記録と一握りの真実』
◎マンディ・ウォーカー『エルヴィス』
▲ロジャー・ディーキンス『エンパイア・オブ・ライト』
フロリアン・ホーフマイスター『TAR/ター』

ここは今もなお「トップガン マーヴェリック」でしょう???と言いたい気持ちはあるのですが、受賞したのは「西部戦線異状なし」のジェームズ・フレンド。Netflixの作品ということで劇場ではなくテレビやパソコンの画面で見ることを想定されていそうなのですが、そんな規格など関係なしに受賞しました。「エルヴィス」もライブシーンなどは目を見張るものがあるのですが、ここでも受賞を逃してしまいました。

美術賞
『西部戦線異状なし』
▲『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
◎『バビロン』
○『エルヴィス』
『フェイブルマンズ』

ここでついに予想では無印にしていた「西部戦線異状なし」が受賞しました。
作品の評価から考えるとうなずける結果ではありますが、他の部門では完全にシャットアウトされてしまった「バビロン」や、これまた当時のエルヴィス・プレスリーの舞台を徹底再現した「エルヴィス」か前作も受賞している「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」と強敵を抑えての受賞となりました。「西部戦線異状なし」だけ見ていないのでぜひ見たいと思いますので、どこか映画館で公開して下さいー!

音響賞
○『西部戦線異状なし』
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
▲『エルヴィス』
◎『トップガン マーヴェリック』

ここは本命の「トップガン マーヴェリック」が受賞しました。
いや本来なら撮影賞も・・・(ブツブツ)
戦闘機の飛行シーンの迫力には音響効果が一役も二役も買っています。

視覚効果賞
『西部戦線異状なし』
◎『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
『トップガン マーヴェリック』

さすがにこの部門では強かったのが「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」。
前作で広げた世界観をさらにスケールアップしていて、まさに映画=体験を実感させてくれます。

歌曲賞
「Applause」『私たちの声』
▲「Hold My Hand」『トップガン マーヴェリック』
○「Lift Me Up」『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
◎「Naatu Naatu」『RRR』
「This Is A Life」『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

ついに世界が「ナートゥーをご存知」になりました!
「RRR」の「Naatu Naatu」が見事受賞しました。
映画ではダンス対決のシーンで使われているというだけでなく、支配者-被支配者の関係性をひっくり返す一つの要素ともなっているので、単に楽曲の良さを超えた評価をされているのではないでしょうか。

作曲賞
◎フォルカー・バーテルマン『西部戦線異状なし』
○ジャスティン・ハーウィッツ『バビロン』
カーター・バーウェル『イニシェリン島の精霊』
サン・ラックス『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ジョン・ウィリアムズ『フェイブルマンズ』

「西部戦線異状なし」のフォルカー・バーテルマンが受賞しました。
戦場の雰囲気を演出するような音楽が効果的に使われているとの評判はその通りだったわけですね。
「バビロン」はこれで無冠となってしまったのは残念ですが、「西部戦線異状なし」はとにかく見たいので映画館上映を切望します(2回目)。

衣装デザイン賞
メアリー・ゾフレス『バビロン』
○ルース・E・カーター『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
◎キャサリン・マーティン『エルヴィス』
シャーリー・クラタ『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
ジェニー・ビーヴァン『ミセス・ハリス、パリへ行く』

受賞したのは、「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」のルース・E・カーターでした。
またしても「エルヴィス」は受賞ならず。
ルース・E・カーターは前作の「ブラックパンサー」でも受賞しているので、続編での受賞はないかなという考えでの対抗評価でしたが受賞しましたねー。
「エルヴィス」の衣装も当時の再現性が高そうなので受賞はあるかと思ったのですが、衣装デザイン賞という考え方では主人公単体に対するものより出演者総合的なものへの評価が大きくなるのかもしれませんね。

メイク・ヘアスタイリング賞
『西部戦線異状なし』
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』
『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』
○『エルヴィス』
◎『ザ・ホエール』

ここはブレンダン・フレイザーを大巨漢に変身させた「ザ・ホエール」が受賞。
おそらくはブレンダン・フレイザーの主演男優賞にも拍車をかけたのではないでしょうか。
これで「エルヴィス」も無冠ということになりました。

国際長編映画賞
◎『西部戦線異状なし』(ドイツ)
『アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~』(アルゼンチン)
『CLOSE/クロース』(ベルギー)
『EO イーオー』(ポーランド)
『ザ・クワイエット・ガール(原題) / The Quiet Girl』(アイルランド)

唯一作品賞にもノミネートされているとあれば、ここで受賞は逃すはずがない「西部戦線異状なし」が受賞しました。
今年は「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」に次ぐ4部門の受賞となりました。
なのでぜひ劇場公開を!(3回目)

短編実写映画賞
『アイリッシュ・グッバイ』
『イヴァル(原題) / Ivalu』
◎『無垢の瞳』
『真冬のトラム運転手』
○『ザ・レッド・スーツケース(原題) / The Red Suitcase』

ここも無印にしていた「アイリッシュ・グッバイ」が受賞しました。
一応ネットで見られるものは全部見た上での予想でしたが意外な結果でした。
候補作の中ではかなりコミカルなタッチの方ですが、逆にそれが印象的だったのかもしれません。

長編アニメ映画賞
◎『ギレルモ・デル・トロのピノッキオ』
『マーセル・ザ・シェル・ウィズ・シュー・オン(原題) / Marcel the Shell With Shoes On』
『ジェイコブと海の怪物』
『長ぐつをはいたネコと9つの命』
○『私ときどきレッサーパンダ』

ここも予想通り「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」でした。
誰しもが知る「ピノキオ」をギレルモ・デル・トロらしいちょっぴりブラック・ユーモアのある作風にしつつ、それでいて本来の作品の持つ感動的な部分も残しつつといった絶妙なバランスでした。
予想のときは見てなかったんで特に印もつけていないのですが、「長ぐつをはいたネコと9つの命」もかなり良かったことをお伝えしておきます。

短編アニメ映画賞
▲『ぼく モグラ キツネ 馬』
『ザ・フライング・セーラー(原題) / The Flying Sailor』
◎『氷を売る親子』
『マイ・イヤー・オブ・ディックス(原題) / My Year of Dicks』
○『アン・オストリッチ・トールド・ミー・ザ・ワールド・イズ・フェイク・アンド・アイ・シンク・アイ・ビリーブ・イット(原題) / An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It』

ここは「ぼく モグラ キツネ 馬」が受賞しました。人気の絵本が原作でそれを忠実にアニメ化しているというところが評価されたということでしょう。3番手評価にした理由としては、全編34分というのが短編としては長めな印象なんですよね(定義上は40分以内ならばOKらしいです)。そのあたりが敬遠されるかとは思ったのですが、作品の出来に時間は関係ないようです。

長編ドキュメンタリー賞
『オール・ザット・ブリーズ』
◎『オール・ザ・ビューティー・アンド・ザ・ブラッドシェッド(原題) / All the Beauty and the Bloodshed』
▲『ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦』
『ア・ハウス・メイド・オブ・スプリンターズ(英題)/ A House Made of Splinters』
○『ナワリヌイ』

ここは「ナワリヌイ」でした。
プーチン大統領の対抗候補とも言われながら、毒殺未遂されたナワリヌイと、その事件の真相に迫るドキュメンタリーで、ナワリヌイ自身、現在も拘束状態にあるということで、あらゆる面での衝撃作でした。

短編ドキュメンタリー賞
◎『エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆』
『ホールアウト(原題) / Haulout』
○『ハウ・ドゥ・ユー・メジャー・ア・イヤー?(原題) / How Do You Measure a Year?』
『マーサ・ミッチェル -誰も信じなかった告発-』
『ストレンジャー・アット・ザ・ゲート(原題) / Stranger at the Gate』

ここも前哨戦通りの評判で「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」が受賞しました。
南インドで撮影されているということで、歌曲賞といい今年のオスカーはインドが熱かったですね。

ということで全部門予想振り返りでした。

予想を振り返ると、
本命的中(◎) ・・・ 12
的中(○、▲) ・・・ 9
ハズレ ・・・ 2
ということでまずまずの的中ではないでしょうか?

全体の雑感としては、まずは一にも二にも「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」強しですね。
ノミネート11部門中7部門で受賞、その中に主要賞である作品賞、監督賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞が含まれているのだからまさにその通りの結果でしょう。
こういう類の作品はあまりアカデミー賞とは縁がなかっただけに、今後はこうした作品にも凱歌が上がる可能性はあるということを示した意味でも重要な結果と言えるでしょう。

対抗視されていた「イニシェリン島の精霊」は結局無冠に終わってしまいました。
「エルヴィス」も同様に無冠で、最近はなんとなく賞を分け合うイメージがあったアカデミー賞がそうはならなかったのが意外でした。

アジア系の躍進は言われ続けていましたが、ミシェル・ヨーが主演女優賞を受賞したことで初のアジア系の女性が受賞したということになったそうです。
まさに多様性が受け入れられてきたとも捉えられますが「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」がアジア系の俳優を起用していたというだけで終わることのないように今後も続いていってほしいです。

映画ってほんとに良いものですねー!

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