傘_20240621
しっかりした雨だった。
私はいつも折り畳み傘を持ち歩いている。晴雨兼用で、どちらに対してもわりと強い。毎日持ち歩くための小さめサイズ。今日は小さいそれをかばんに入れっぱなしにして、普通の雨傘をさして出かけた。
屋内で用事を終えて外に出ると、晴れていた。マジ晴れ。すごい晴れ。太陽のパワー。あんなにたまってた水はどこへ。もう雨が降っていた痕跡もほとんどわからないくらい晴れていた。
理科で天気の単元を習ったとき、晴れってけっこう雲少ないんだな、と驚いた記憶がある。そういうちゃんとした定義上の晴れかどうかはわからない、雲はあったし。でもこれで晴れって言わないほうが難しいから。なんか海水浴とか連想するタイプの晴れだから。
そんな日差しのもとを雨傘を持って歩くのは強い違和感があった。
単純にちぐはぐで天気を読み間違えた人みたいだし、日傘をさしている通行人もかなりいる中で手に傘を持ちながらさしていないのも変。
私もできればさしたいところだがこの傘はしっかりした雨のときに使っていて……いや、たしかこの傘も雨晴兼用と書かれていた。買うときに「晴雨兼用」と「雨晴兼用」があるんだな~と思ったし、そのとき検討したものは兼用の表記がないほうが珍しかったはすだ。きっとこれも、晴れの日も使える傘だ。
ばさっと傘を広げる。やはり自分の中では雨用の傘という認識があったのか、ついたままだった雨水を乾かしています、という顔で歩き始めた。
そうするとまあ傘の中は多少なりとも涼しいというか、ザ!直射日光!みたいなのから逃れられている感じがあった。たしかに兼用できているかも。
しかし私の傘は特に太陽のもとでは明るく見える薄い色で、雨傘寄りな形もあいまって、これは日傘ではないだろうという雰囲気が出ている。
結果として私は、「日差しが強いあまり雨用の傘を日傘にしている人」になってしまった。えっ合ってる。なんかもうどう転んでもなんか変なんじゃないか。
ちなみに、雨傘を手に持ったまま折り畳みの日傘をさすという選択肢もあった。これも変だ。どう転んでも変だ。
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