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あなたの言葉が部下に届かない。その本当の理由は?

光と影の構造。自分が光であり続けることで、周囲に影をつくっているというお話を、前回・前々回とさせていただきました。そして、その構造について、1人で気づくのはとても困難なので、コーチの支援が役にたつと。

一方で、コーチという職業について、クライアントと接しているときにも、自分の言葉が相手に届かない、受け止めていただけないという経験をすることがあります。コーチングセッションの中で起きていることにも、これまでお話してきたビジネス現場で起きていることのシンプルな構造がそのまま当てはまります。

セッション中に訪れた私自身の気づきについてお話します。

クライアントも、その部下も、コーチの私も、実はみんな同じ

ある企業のエグゼクティブの方へコーチングセッションをしていたときのことです。
その方は3回にわたるセッションで、ずっと一人の部下の困った振舞いについての話を続けていました。その部下はいつも、周囲の人たちを非難・否定しているとのこと。

《どうして自分の周りにはあんな無能な人ばかりなのか》
《自分はこんなにやっているのに、こんなにできているのに、なぜあの人達はやらないのか・できないのか》

というふうに。

「いつもそんな否定のエネルギーでいるので、周りが疲弊してしまって、そのせいでみんな余計にパフォーマンスが落ちているんですよ。それでプロジェクトが停滞してしまっています。でも本人は、そのことに気づいていないんですよ。気づいてもらいたくて何度かフィードバックしたり、一対一の話し合いを試みたりしたのですが、全く取り付くしまがなくて」。
クライアントさんはそう嘆きながら、延々とその部下についての批判を繰り返していたのです。

私は、感じたままをフィードバックしました。
「その部下が周囲にやっていることと、あなたがその部下にしていること、同じじゃないでしょうか? 相手を否定しているエネルギーが共通しているように見えます。」と伝えました。
しかし、クライアントさんは私の言葉を軽く受け流しました。そして、「そうですかね。でも……」と、また部下への批判を繰り返し始めたのです。

私は直観的に「あれ? 何かが足りないんだな。私に何か問題がある気がする。この状況は、私自身が何かに気づく必要があって起きているはずだ」と感じました。

すると、とんでもないことが分かったんです。

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