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「心理試験」(江戸川乱歩)

あらすじ

 蕗屋清一郎は友人の斎藤勇との会話で、下宿先の大家が植木鉢に大金を貯めていることを知ります。それを知ってから、蕗屋は半年をかけて老婆が隠している現金を手に入れる方法を計画しました。お金に目がくらんだ蕗屋にとって、倫理観は問題ではありません。大事なことは自分の罪が発覚せずにしないことでした。

 計画を実行した翌日、斎藤が老婆殺しの嫌疑を受けました。魔が差して老婆が隠していたお金を盗んでしまっていたことが原因です。

 斎藤が疑わしいものの、一月たっても凶器が見つからない等不自然なことがあるので、判事は心理試験を行います。蕗屋は情報を手に入れて対策を講じました。心理試験から読み取られないように練習をします。

 蕗屋が受けた心理試験の結果は完璧でした。しかし、明智小五郎は結果を見て蕗屋が怪しいと読み取ります。明智は身分を隠して蕗屋と会い、話術で追い詰めます。

感想

 明智小五郎の怖さが際立つ小説です。登場するのが心理試験が行われた後なので、いつ現れるのかワクワクしました。めぼしい情報が心理試験のデータだけというところから鮮やかに解決してみせます。

 犯人の視点から物語が進むので、答えを知りながら明智がどうやって追い詰めるのかという流れになっています。まさか老婆を殺したときに意識していた屏風が原因で捕まってしまうとは思いませんでした。心理試験のデータを見返すと目立つ回答になっています。蕗屋は反応速度を意識していて、こちらには対応できていません。

 斎藤の方もお金を盗んでいることは認めているものの、老婆殺しを否認していてややこしくなっています。蕗屋にとってはこれで油断が生まれてしまっているようです。

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