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プラプラ堂店主のひとりごと㊽

〜古い道具たちと、ときどきプラスチックのはなし〜

(夏越大祓)のはなし

  ひどい雨と風の翌日。空は一気に晴れ渡り、まるで台風一過のような青い空が広がっている。そして、急に暑くなった。その日、店は休みだったので、切れてしまった珈琲豆を買いに車を走らせた。道路には街路樹の枝が落ちていて、落ち葉が散乱している。昨日は本当にすごい風だったんだな。いつもの豆を買って店を出た。雨あがりで空気は少し蒸すけれど、日差しが眩しく、緑がキラキラして見える。少し散歩をしたくなって、途中にある月寒公園に寄った。公園の駐車場は、ほぼ満車状態だ。

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 月寒公園は広い公園で、野球場やテニスコートなどのスポーツ施設から、ゆったり遊べる広場、小さなこどもたちも遊べる遊具なども充実している。公園には、親子連れやカップル、若者グループ、お年寄りまで、本当に幅広い年代の人たちが集まっていた。中央の広場に出ると、日差しが眩しくて、6月の始めなのにもう暑いくらいだ。ぼくは、林の中の散策コースを歩くことにした。昨日の雨のおかげだろうか。木々からは生き生きとした息吹を感じる。木陰の道は、少しひんやりして気持ちがいい。林を出ると池があり、カモたちがのんびり泳いでいる。石段を登ると、月寒神社がある。せっかくなので、お参りして行こうか。社務所の入り口の「夏越大祓」の文字に引き寄せられた。なんだろう。

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 貼り紙には、6月30日は大祓で、半年の罪穢れを形代(かたしろ)に託し祓い清める神事が各神社であり、 茅の輪くぐりの行事を行うところもあ流そうだ。そのお祈りのしるしとしての、小さな茅の輪のお守りが「夏越大祓」。赤い紐のついたかわいらしい茅の輪に「夏越大祓 無病息災 延命長寿」と書いてある。

(うめさんに、持っていこうかな…)

 ふと、そんなことが頭に浮かんだ。うめさんは、プラプラ堂の常連さんだ。よく店に寄ってくれて、一人暮らしのぼくに煮物なんかを差し入れしてくれる。この時期から夏にかけては、湿度のせいか体調が良くないとこぼしていたっけ。

 よし。この夏を乗り切るために。店の分とふたつ、いただいていこう。うめさんのほんわりした笑顔が浮かんだ。ぼくは、社務所のドアを開けた。

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