【1日1文献】訪問リハビリテーションの移行とサービスの継続を考える#訪問リハビリ#継続#生活期

参考文献:訪問リハビリテーションの移行とサービスの継続を考える
筆者:盆出 義也花木 円徳力 康彦野尻 正憲
発行日:2011年
掲載元:第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
検索方法:インターネット
キーワード:継続移行1年半

【目的】
・本研究の目的は,訪問リハビリテーション(以下,訪問リハビリ)から通所リハビリテーション(以下,通所リハビリ),通所介護,自主トレーニング(以下,自主トレ)へ移行した利用者の特徴と訪問リハビリのサービスを継続している利用者の特徴を明らかにすることである.

【方法】
・2006年8月から2010年3月までに当院リハビリテーションセンターの訪問リハビリを利用した162名(男性75名,女性87名,平均年齢77.7±9.8歳)を対象者とした.
調査1:対象者のうち,1年半未満に通所リハビリ,通所介護,自主トレへ移行した利用者(以下,移行者)56人の訪問開始から終了までのサービス提供期間(単位:月)の平均値,標準偏差,信頼期間を調査するとともに,一元配置分散分析(ANOVA,多重比較)を用いて3群間に有意差があるかを検定した.有意水準は5%未満とした.
調査2:移行者と1年半以上サービスを継続している利用者(以下,継続者)28人を疾患別,介護区分別にカテゴリ分類して各々の利用者数とその割合を調査した.
調査3:継続者に対して,今後提供するサービスの望ましい形を調べ,カテゴリ別(現状のサービス維持,通所サービスへ移行,終了,その他)に通所サービス併用の有無を調査した.

【結果】
調査1:平均値(通所リハビリ,通所介護,自主トレの順に12.44,7.49,5.16)標準偏差(10.63,4.75,2.85)信頼区間(4.44 ,1.94, 1.44)であり,3群には有意差が認められた(P<0.0095).しかし,通所リハビリと自主トレ間には有意差が認められたが,通所介護と自主トレ,通所リハビリと通所介護間には有意差があるとはいえなかった.
調査2:移行者は支援1から介護1までが全体の約68%であり,その内訳は整形疾患約71%,脳血管疾患約16%であった.継続者では,支援2が全体の25%,介護2介護3が全体の50%であり,その内訳は支援2が整形疾患,脳血管疾患共に約43%,介護2と介護3は整形疾患50%,脳血管疾患約36%であった.
調査3:継続者28名の内,今後提供するサービスの望ましい形では,現状のサービス維持が19名であり,その内,通所リハビリ併用3名,通所介護併用14名,通所サービス併用なし3名であった(1名は3サービス併用).通所サービスへ移行が望ましい利用者は8名であり,その内,通所リハビリ併用5名,通所介護併用2名,通所サービス併用なし1名であった.終了が望ましい利用者は0名,その他は1名であった.

【考察】
・訪問リハビリからの移行先は様々あるが,意図的な移行先は通所リハビリ,通所介護,自主トレに限られている現状があり,本研究ではその3群に着目した.また,終了者は1年半以降で著明に低下することから移行と継続の境とした.
調査1:通所リハビリへの移行は,他と比べて分散が大きかった.これは,サービス継続に伴い介護区分変更を契機として通所リハビリを選択する利用者があるためと考える.また,通所介護,自主トレは分散が少なく通所リハビリと比べて集約された期間に移行している特徴があった.
調査2:移行者は比較的介護度の低い整形疾患の利用者が多い傾向があり,継続者は要支援2と要介護2から要介護3の利用者が多い傾向があった.要介護1の利用者も2名継続していたが,利用者の多くはサービスの継続に伴い介護区分が要支援に変更になったのではないかと考える.
調査3:今後提供するサービスの望ましい形については,現状のサービス維持することが望ましい利用者では,通所介護を併用している利用者が14名おり,在宅生活を維持するために訪問リハビリと通所介護を併用しているのではないかと考える.また,通所サービスを併用していない利用者は3名と少なかった.通所サービスへの移行が望ましい利用者では,訪問リハビリと通所リハビリを併用している利用者が多く,サービス継続の結果,サービスを併用するよりも通所リハビリのみが望ましくなったのではないかと考える.
・以上のことから,訪問リハビリの利用者は多様性があり個別性も高いが,サービス提供開始から1年半以降は,意図的な移行が困難となり,通所サービスを併用して在宅生活を維持している利用者が多いと考える.

【理学療法学研究としての意義】
・訪問リハビリは,退院直後や生活機能が低下した時に計画的に集中して実施すべきであり,日常生活活動と社会参加の向上に働きかけることが重要あるとされている.
・また,疾患や障害のある高齢者が住み慣れた地域で生活を維持するためには,継続したリハビリが提供されることが重要であるともされており,訪問リハビリの移行と継続について研究することには意義があると考える.

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/cjpt/2010/0/2010_0_EcOF1109/_pdf/-char/ja 


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