【1日1事例】腰痛に対して教育的アプローチを中心とした介入を行った 訪問リハビリテーションの一症例#腰痛#教育的アプローチ#訪問リハビリテーション

参考文献:腰痛に対して教育的アプローチを中心とした介入を行った 訪問リハビリテーションの一症例
筆者:
石本 泰星  , 三木 貴弘殿尾 守弘
発行日:2022年
掲載元:
日本予防理学療法学会雑誌 1 巻 (2022)
検索方法:インターネット
キーワード:
腰痛教育的アプローチ訪問リハビリテーション

【目的】本研究の目的は腰痛を有する症例に対する教育的アプローチを主とした訪問リハビリテーションが奏功した経験を報告することである。
【方法】対象は脊柱固定術後70 日経過した70 歳代の女性である。対象には週2 回,1 回40 分の訪問リハビリテーションが3ヵ月間提供された。内容としては教育的アプローチ,運動療法および有酸素運動,仕事作業練習を実施した。アウトカム指標は日本語版Roland-Morris Disability Questionnare(以下RDQ)をメインアウトカムとし,疼痛,破局的思考,精神状態,身体機能を訪問リハビリテーション開始時と終了時また訪問リハビリテーション終了から6ヵ月後に測定した。
【結果】教育的アプローチを主とした多面的な介入を3ヵ月間実施した結果,日本語版RDQ や疼痛,破局的思考,精神状態,身体機能において大きな改善を認めた。またその効果は訪問リハビリテーション終了から6ヵ月後も維持されていた。
【結論】訪問リハビリテーションにおける多面的な介入は,腰痛による日常生活の機能障害,破局的思考,精神状態に好影響を与える可能性が示唆された。

【メモ】
・腰痛は毎年 2 億 5000 万人以上の発症者が存在し,諸外国においてもその高い経済的負担や障害生存年数 との関連が明らかとなっている。また,高齢者におけ る腰痛も年々増加している。よって腰痛に対する策を 講ずることは,個々の生活の質(Quality of Life:以下 QOL)や医療分野はもとより介護分野における経済的負担を軽減する上で重要となる。
・またホームエクササイズにおいても,個々の評価に基づきプログラムを設定すること で,疼痛や機能障害が有意に改善するとの報告が存在する。一方,腰痛には心理社会的因子として知られてい る腰痛に対する不適切な態度や思想,情動的問題などが 関与しており,高齢者における腰痛発症や腰痛の慢性化との関連も明らかとなっている
・これらより高齢者の腰痛の改善および慢性化を予防するためには,機能障 害に対する介入のみでなく疼痛教育や生活面の指導な ど,生物心理社会モデルに基づいたより多面的な介入 が必要となる。その介入の 1 つに教育的アプローチが 存在し,慢性腰痛に対して疼痛の軽減および機能的な予 後の向上をもたらすことが報告されている

【評価項目の説明】
・日本語版 RDQ は腰痛による日常生活の機能障害の程 度を反映する尺度であり,日常よく行う生活動作が腰 痛のために障害されているかを尋ねる 24 項目から構成 される。
・日本語版 PCS は破局的思考を反映する尺度として採用し,「反すう」, 「無力感」,「拡大視」の 3 つの下位尺度からなる 13 項目 にて測定される。
・HADS は身体的疾患を有する患者の精 神症状を反映する尺度であり,「抑うつ」,「不安」の下位 尺度からなる 14 項目にて測定される。
・NRS は腰痛に おける疼痛量の評価として採用した26)。BMI は栄養指標 との関連が報告されており、臨床現場においても低栄 養の診断に使用されている。
・握力は筋力を反映する指標 として採用しスメドレー式の握力計(松宮医科精器 社製)を使用し 0.5 kg 単位での測定を実施した。測定肢位は Mathiowetz らの方法を採用し,2 回測定の最大値 を採用した。下腿最大周径は筋肉量の指標として採用し,0.5 cm 単位での測定を実施した。
・最大歩行速度は 運動機能を反映する指標として採用し,5 m の両端に 3 m の予備路を設けて最大努力での歩行時間を計測し, 距離(5 m)から除す事で算出した。6 分間歩行試験は運 動耐容能の指標として採用し,歩き方は Weirらの方 法を参考に「可能な限り早く歩いて下さい」と声かけのうえ実施した。

参考URL:

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jptp/1/0/1_32/_pdf/-char/ja


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