【1日1文献】高齢心不全患者の身体機能は訪問リハビリテーションの 利用期間と関連する#心不全#訪問リハビリテーション#高齢者

参考文献:高齢心不全患者の身体機能は訪問リハビリテーションの 利用期間と関連する
筆者:小林 琢諸冨 伸夫左嵜 壮一郎古田 哲朗田中 宏和弓野 大
発行日:2022年
掲載元:日本在宅医療連合学会誌 3 巻 (2022) 1 号
検索方法:インターネット
キーワード:高齢心不全訪問リハビリテーション身体機能利用期間重症度

【抄録】
目的:高齢心不全患者の訪問リハ利用期間と身体機能の関連を検討した.
方法:対象 は当院の訪問リハを利用した 65 歳以上の心不全患者 30 例とした.訪問リハ利用期間を中央値(608 日)で非長期利用群と長期利用群の 2 群に分類した.開始時と 180 日後の NYHA 心機能分類および握力の変化を比較した.
結果:非長期利用群は長期利用群に比べて,NYHA Ⅲ度の割合と過去1年間の入院回数が多かった.非長期利用群では握力が向上し NYHA Ⅲ度の割合が有意に減少した.また長期利用群では握力が有意に低下した.
結論:高齢心不全患者に対する訪問リハは,その利用期間によって身体機能と重症化予防への効果が異なることが示唆された.

メモ
・心不全はその症状の増悪により再入院 を繰り返しながら,徐々に生活機能を失っていく 臨床症候群である.
・再入院の要因には医学的な要 因だけでなく,水分・塩分制限の管理や服薬管理 の不徹底および過剰な身体活動などの生活要因が 挙げられる2).
・したがって,再入院を予防するた めには在宅生活における疾病管理が重要である.

・疾病管理プログラムの予後への効果を検討したシステマティックレビューでは,訪問による患者教育や電話による指導,および社会資源の活用との組み合わせで再入院が減少することが報告されている
・本邦においても,高齢心不全患者に対す る看護師の 訪問や電話による患者教育や療養支援 を実施した結果,生活の質(Quality of life:QOL) が改善し,再入院率が低下したと報告されており 4),在宅療養支援による効果は強く示されている.

・理学療法士は全身 状態の管理や運動療法プログラムの立案,生活お よび身体活動に関する支援や指導,患者家族の教 育および他職種との連携などの役割を担っている.
・在宅での心疾患に対するリハビリテーション (心臓リハビリテーション:心リハ)は,欧米に おいては運動療法や健康管理を自主的に行う形が 主流であり,最近の入院がない病態 の安定した 症例が対象となっている6)

・訪問リハの平均利用期間は中央値で 465 日であ り,そのうち 180 日以上が約 7 割を占める 5). 
・訪問リハは目標設定が不明確であることや他職種 との連携不足などが要因で長期化する傾向がある ことが指摘されている11).
・高齢心不全患者は低体 力やフレイルを有しており,他人の意見を聞き入 れるのに時間を要するなどの特徴がある12).
・また その再入院率も高く,加齢による身体機能の低下 が生じやすいことから,再入院の予防および生活 機能を維持するために,さらに訪問リハの長期化 が生じやすいと考えられる.

・Gitlin らは,慢性 20 期疾患を有する高齢 者に対する長 期(6 ヶ月以上)の訪問リハ利用によって,ADL や自己効力感および生存率に有意な向上をみとめ たと報告している14)15).
・また,堀越らは在宅期高齢心血管患者に対する訪問心臓リハビリテー ションを行った結果,身体機能の向上は認めな かったものの,ADL および疾病管理能力が向上 し心不全の再発なく良好な経過を辿ったと報告し ている19).
・つまり,6 ヶ月間の訪問リハ介入によ る疾病管理能力の 向上に伴い,心不全の重症化 が抑制され muscle wasting による影響も大きく 受けなかった可能性が考えられた.

・訪問リハの長期化は目標設定が不明確で あることだけでなく,進行性疾患に多く認められ る事が報告されている11).
・心不全は進行性疾患の ひとつであり,大沼らは訪問リハ利用者の在宅生 活継続要因を調査した研究の中で,当初の目標を 達成して終了したものは少なかったと述べている

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jahcm/3/1/3_3.1_36/_pdf/-char/ja 


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