【1日1事例】足関節内反捻挫に伴う距骨軟骨損傷患者に対し理学療法開始時よりスポーツ活動を併行し競技復帰を目指した一症例 #足関節捻挫 #距骨軟骨損傷 #競技復帰

参考文献:足関節内反捻挫に伴う距骨軟骨損傷患者に対し理学療法開始時よりスポーツ活動を併行し競技復帰を目指した一症例
筆者:月田 隼貴, 浦井 龍法, 林 雅之, 近藤 仁
発行日:2021年
掲載元:理学療法科学 36 巻 (2021) 4 号
検索方法:インターネット
キーワード: 距骨軟骨損傷, アライメント, 足部アーチ

【抄録】
〔目的〕距骨軟骨損傷の一般的な治療方針は数週から数ヵ月間,免荷などの安静加療である.今回,理学療法開始時よりスポーツ活動を併行し,競技復帰を目指した症例を経験したため報告する.
〔対象と方法〕
17歳女性の高校生卓球選手である.足関節内反捻挫後より十分な安静がとれず,受傷8週後に距骨後外側部の軟骨損傷が発覚し,理学療法開始となった.スクワット動作時のleg heel alignmentや舟状骨高などのアライメント検査,テーピングによる評価をもとに,力学的負荷を考慮し理学療法や運動強度の調節を行った.
〔結果〕
理学療法介入から12週後に患部の治癒が確認できた.
〔結語〕
力学的負荷を考慮した理学療法介入および運動強度の調節により,スポーツ活動継続のもと一般的な治療計画と比較し,同程度の期間で患部の治癒に至った.

メモ:
・一般的に距骨外側部の軟骨損傷における受傷肢位は足 関節内反,背屈位であり,距骨滑車外側と外果が衝突す ることで生じる
・本症例は,卓球の「構え」の動作に類似する SQ 動作 で,患部である距骨後外側部に疼痛が出現していた.
・理学療法初期評価より,SQ 動作時の足部外転,距骨下関 節の過回内,舟状骨高の低下に起因した足部内側縦アー チ低下,立方骨の降下や第 5 中足骨の不安定性に起因し た足部外側縦アーチ低下のマルアライメントがみられ た.第 5 中足骨の不安定性により足部外側縦アーチが低 下し,前足部内側への荷重が早まり足部の回内が増大することから,足部外側縦アーチ低下が内側縦アーチ 低下を助長する可能性を示唆している.
・上記マルアライメントにより,SQ 動作で距腿関節における距骨の水平 面上の外旋,前額面上での外反が強制されていたと推察された.その結果,距骨後外側部に過度な圧縮負荷を生 じ,疼痛が発生していたと示唆された.足部内側縦アー チ低下の原因として,評価結果より後脛骨筋,母趾外転 筋,長腓骨筋の筋力低下および足関節背屈可動域制限が 考えられ,足部外側縦アーチ低下の原因として,長腓骨 筋,短腓骨筋,小趾外転筋の筋力低下が考えられた.
・よって,患部への力学的負荷の軽減,疼痛軽減を目 的に動的な足部内側・外側縦アーチ低下を改善するため の理学療法を立案した.その際は,患部に対する力学的負荷と,マルアライメントの関連性を検証する目的で テーピングを施行した.
・理学療法の方針としては,ス ポーツ活動と併行して前述した治療を行い,完全なス ポーツ復帰を目指すことであり,運動強度は機能障害や 動作中のマルアライメントを考慮し,段階的に調整する こととした.

調べた単語:「マルアライメント」
・正常なアライメントから大きく偏位している状態.
・代表的なものとしては,下肢におけるO脚・X脚,足部における回内足・回外足。また、足部におけるハイアーチ(凹足)や扁平足もアライメント異常として取り上げられている
・足部アーチの支持に関しては,後脛骨筋,長・短腓骨筋,長母指屈筋,長指屈筋,母趾内転筋などが関与しており,これらの筋群の脆弱化によってアーチの低下を招くとされている

参考URL:
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rika/36/4/36_637/_pdf/-char/ja


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