戯曲:浜の詩(En: The Drama Script of "Seashore")
公演時の脚本から一部変更しています。
カモメの声と波の音が劇の終りまで一度も切れずに流れる。
トンビが地上50m、30mをとんでる時の声とかもあるとなおいい。
舞台面のカーテン(緞帳の代わりのイメージ)、それと奥と面を分けるようなカーテンがかかっている。いずれもレースで、向かい側が透けて見える。
数人が座れるものがあり、そこに2が腰かけている。1は後から入る。
1:今日もお会いできましたね。
2:ええ。今日は海を眺めるためのような日ですからね。
1:ええ。波と風が穏やかですから。
2:それに、行き交う人の多さも海の美しさを引き立てている、そんな風に感じますよ。
走り過ぎる人たちの路面を蹴る音
1:今日はマラソンの練習してる人が多いですね。
2:そうですね。大会が近いんでしょうね。
1:走ってる人を見てると、風を受けてなんだか気持ちよさそうですね。そういう意味じゃ、このベンチに座ってるのと同じ気持ちよさなんでしょうね。
2:いえいえ、海を見続けるのと、変わっていく町中を見るのじゃ、大違いでしょう。だいいち、走って感じる風と、潮風じゃあ違うのではないですか?
1:そうでしょうか。きっと、同じぐらい気持ちのいいものだと思いますよ。ああ、そうだ。きっとあの飛んでいるようで、風を受けているカモメの気分だと言ったらわかって頂けますでしょうか。
2:ああ、カモメはきっと気持ちがいいんでしょうね。カモメに生まれたことなんて、一度もないですが。
1:生まれたことなんて無くても、気持ちはきっとわかりますよ。
2:そうかもしれませんね。
1:ずっとずっと遠くからやってきたんでしょう。
2:はい。
1:じゃあ何となくはカモメの気持ちがわかるんじゃないですか
2:町から町に渡る鳥ですか。
1:かと思えば、なんだか胸がすうっ、っとなります。町から町に移るときなんか、カモメになった気持ちで、歩くことが出来るでしょう。高い空から地上をみるように、町や人をみることが出来るでしょう。岬にとどまって風を待つように、新たな町で過ごすことが出来るでしょう。あなたのような旅をする人は、そうやって日々を送ると、私は思っているんです。私のように町に根続ける者と、どうしても交わらないのは、風を受けて飛ぶように生きるような生き方と、一つの土地の子として地上に根を張る生き方では、生きている高さが違うからですよ。いや、高さなんて言っても、高いからいいなんてことではないのが、難しいところですがね。
2:高さが違う。そう感じたことはありませんでした。
1:たとえ話ばかりで、全く、雲を掴むようなことばかり申し上げましたね。大変失礼しました。
2:いえいえ、とんでもないです。
音
2:今日は風が吹いていて、太陽も出ていて、本当に気持ちがいいですね。心まで空に吸われていくような心地ですよ。
1:全くです。空と心が一つになるような、そんな天気ですね。
2:こんな日、僕は夜が楽しみになるんです。空気に淀みない日には星がよく見えます。いや、それは当然知ってることでしょうね。失敬しました。僕が本当に心待ちにしているのは星空ではなくて、ずっと遠くの空です。見たことはありますか?こんな日の夜は、空と海の境が無くなるんです。心が空に吸われるような日は、夜になると美しい暗闇に心を奪われるんです。
1:美しい暗闇ですか。
2:旅をしているうちに、人の存在を感じないような、そんな場所にこそ、心を奪うような美しいものがあると、そう感じるようになりました。だから、旅をしているんです。
1:色々な人から人へ、町から町へ渡り移る、そんなお方だとばかり思っていました。いやはや、自分が人の集まりの中にしか生きていなかった、そう思わされましたよ。
2:月の出る夜よりも、月の出ない夜を愛しています。
1:人や、自分で作り上げたもの、使い込んだものを、ついつい私は愛しているなどと言ってしまいます。夜を愛しているのですね。このような生き方をしていると、人の存在ありきで物事を捉えてしまうものです。夜など、愛するような対象じゃないと、つい思い込んでいました。
2:ええ。私は人の間ではなく、美しさの間で生きていこうと、そう思ったんです
1:しかし、誰とも関わらずに生きていけることなんか、滅多なことでしょう。どうやったって、巣の中で生きる蟻みたいに日々を送るんですから。山だの、海だの、そういうところで生きていくのでしたら、話は別でしょうが。
2:蟻ですか。もしそうなら、悩みも苦しみも大したことはないのでしょうね。
1:私自身、自分のことを蟻だと思ったことはないですが、蟻のような日々を送っていると感じますね。
2:それは苦しいのではないでしょうか。自分を蟻だなんて感じていたら。
1:苦しいから蟻だと感じるのであって、蟻だと感じるから苦しくなるわけではないのですよ。
2:私は蟻のように生きるということは、ついつい労働や義務や集団の決め事のなかに生きることだというイメージを持ってしまいます。
1:それは、とても残念なことです。蟻は誰かのために労働を行います。巣を自分の手で作り上げます。誰かを育てます。いえ、誰しもがそのように生きる必要はないのですよ。ただ、
2:
1:ただ、巣の暗闇の中に明日を見いだすこと、自分の見つけた答えを誰かに託すことが出来ること、それが蟻のような生き方であればこそ、出来るんです。
2:お砂糖はお好きですか?
1:ええ、もちろん
浜の詩 朝
陽が登ると 丘から海を見る
船は港から 港へと進み
港には 人と人が交わり
新たな 一日を作る
旅が終わる その日には
また 知らない港に
腰をかけて その町の人になるのだろうか
はたまた 暗闇の美しさの中に
境のない 海と空の果ての
どこかに どこかに どこかに
2の手の中に砂糖らしきものがあり、1に渡す。
その際、砂糖を手に握りこんだまま、上の方から1の手にさらさらと落とすように渡す。
それが次第に砂時計のようになり、朝から夕方へと時間が進む。
1:夕凪ですね
2:ええ
1:昔、この町には、今よりもたくさんの人が住んでいました。ですが、いつからか消えていってしまったんです。
2:消えた、とは
1:消えてしまったんです。
3:消えてしまったんです
4:消えてしまったんです
5:消えてしまったんです
6:消えてしまったんです
7:消えてしまったんです
(一旦3~7は声のみ出演。エコーをかけるとか、文字を表示するとかでもいい。単純にここで集中力切れて話を聞いてないとわかんなくなっちゃうから、聞き漏らさないようにそうしてる)
2:それで、何で、どうして、誰が消えたんですか
1:わかりません。何も残すことが出来なかったのです。誰も残すことが出来なかったのです。だから、なぜ残っていないのかすらわからないのです。
2:じゃあ、なんで消えたことだけがわかるんですか?
1:ひっそりと、こっそりと、伝わるんです。消えたという話が。
2:それで、何で誰も何も出来なかったのですか?
1:人が消えたことへ働きかけると、次に何かが起きるのは私だろうと、皆そう考えたからです。恐ろしくて、恐ろしくて、誰も動かず、誰も残さなかったのです。
2:誰かに答えを託すことが出来ることが、蟻の生き方ではなかったのですか?
1:ええ。おかしいでしょう。誰も動けなかったんです。消える理由がないのに。いや、消える理由がないから。わからないから、動いた方が怖いと、そう思ってしまったんです。
2:随分と当時の状況にお詳しいようですが、一体何が起きたんです?
1:何が起きたかは知りません。ですが、起きて、町がどうなったかを覚えています。
2:どうなったんです?
1:皆平静でしたよ。とても。誰も騒がず、恐れず。それでいて、少しずつ人が少なくなっていったんです。誰も何も言いませんでしたよ。なぜでしょうか。怖い、というより、ただ何か言う必要性、事を荒立てる必要性を何も感じていなかったんでしょう。だって、とても少しずつだったんです。あまりに少しずつだったので、気にするのは後でいいだろうと思ったんです。もしかしたら、誰かがなにかをしているのかもしれませんでした。しかし、気にする程のことでもない、そう感じたのです。事実、町中で誰かの顔が見えないから気になるなんてことないでしょう。広場に昨日より人が一人少ないから問題だ、なんて誰も思わないでしょう。どれだけはやいうちに問題に気づく人がいても、本当に対応を始めるかどうかはわかりません。別のことですから。この町の「根」は少しずつ切れていってしまったんです。
2:一体、何が・・・?
夕方のチャイムが鳴る
1:もう、日は落ちるでしょうね。
2:ええ、落ちてしまうでしょう。
浜の詩 夕陽
カモメは岬に 翼を畳んで
新たな風を 待ち空を見る
ああ 陽がまた落ちていく
不可解なことは美しくない
日々の営みの中で当たり前の顔をして
ああ 人の心のなかに溶けていく
誰かが演じるまでもなく
誰かが表すでもなく
ああ 見過ごされていくんだろう
舞台上の面と奥を仕切るカーテンを閉める
青系統の光だけが差している
8:やっと夜になって、外を見れる時間が来たな。夜しか外を見れないなんて、本当に寂しいけど、仕方がないよなあ。
2:ーーーあの上の窓からの声か
8:あの海、本当に綺麗だ。あなたもそう思うから見てるんでしょう。
2:彼女は誰ですか?
1:あの塔の子でしょう。あまり、見たことはありませんね。
8:だと思います。ここから出られないからね。
2:降りてきなよ
8:ごめん、パス。てかね、出来ない。この塔に閉じ込められてるの。
1:えっ
8:ビックリでしょ?虐待みたいじゃない?
2:虐待みたいっていうのは、つまり、どういう理由で出られないんだ
8:もっと仲良くなったら教えてあげる。いくらなんでも初対面の人に家庭の事情は話さないし。
1:何か問題があるんだったら、僕にも責任ってものがあるから
8:うーん、まあ、そこらへんはね、大丈夫。また出る時には出られるから。多分ね。
2:窓は開けてもいいんだね。そこから出ようと思わなかったの
8:ここから下の高さ見えるでしょ?そんなの現実的じゃないから、しない。私が窓を開けてるのは、風が好きだから。私ね、海際のカーテンって大好き。海からの風に吹かれて波打つの。素敵でしょ?それに、カーテンから透けて見える水平線も大好き。見てて飽きないし。
2:海際のカーテンか
8:せっかくならこっちから眺めてみる?
8がカーテンを開ける。中央を仕切るカーテンは開き、舞台面側のカーテンを締める。
8:こっちにいた方が話しやすいでしょう?
2:綺麗な風景だ・・・風通しがよくて、月の光が差し込むし、海が遠くまで見える
8:でしょ。だからずっと居ても飽きない。
1:いつからここに?
8:生まれてからずっと
2:ああ、じゃあこの町の生まれ育ちか
1:しかし、この子、私は見た記憶がない
8:塔から出たことがないの
2:塔から・・・?
8:ずっとこの中にいなくちゃいけなかったの
2:どうして・・・
8:いつからか、いつかのいつか。
2:もしかして、昔いつからか、少しずつ人が消えていったとかいう、その話なんじゃ
8:ええ?なにその話?聞いたことない。
2:この人から聞いたんだけど、昔この町で連続して失踪?いや、蒸発?していくことがあったらしい
8:えー!教えてよ、それ
1:いや、私も人に言えるほど知っていないんだ
8:私がここにずっといなくちゃいけなかった原因なんでしょ?それで、なんか責任とかがあなたにあるんでしょ?
2:教えてくださいよ。託すのでしょう?記録が無くても、記憶はあるでしょう?
1:そういわれましても・・・言えることなど特別はなくて
8:もう本当は言いたくて言いたくて仕方がないんじゃないでしょ?勿体ぶらずに言えばいいのに。
汽笛がゆっくりと響いている
2:また、一艘外洋へ出て行きましたね
8:うん。汽笛の音って、本当に素敵。あんな素敵な音って、私ないと思うの。私はここから出たことがないから、って何度も言ったか、知っている音は雨とか、潮とか、あと港に来る音を鳴らす人たちとか、歌って人に物を売る人たちぐらいだけど、あんなに心を遠くに持っていかれる音はないでしょ?外のことなんて何一つ知らないの。知っているのはこの窓から見える水平線と、船の音と、私を閉じ込めてる人だけ。なんで私が閉じ込められてるか知りたいし、そんなことより、外の世界のことを聞けるのが楽しいの。教えてよ。人がいなくなった話を。
2:僕がこの人から聞いた話だと、誰も行動しなかったし、誰も残さなかったし、誰も残す必要なんて感じなかったらしい。
8:じゃあなんで知ってるの?
2:気づいて、話だけはしていたらしい
8:え?じゃあ、何が起きていたの?
2:人が少なくなっていったらしい
8:それだけわかるのも不思議
1:船が、船が少なくなっていったんだ。この町で生きることは、船と、海と共に暮らすことだったんです。だから、否応なしに、船を使う人が少ない、船に乗せる荷物が少ない、船に使う資材が少ない、そういうことから、本当は皆気がついていたんだ。
8:えー!?なんで、急に教えてくれる気になったの?
1:違う、私がわかっていることはこれだけで、もうこれ以上伝えられないんです。何も・・・
2:それで、全体像も原因も、誰もわかっていなかったんですね。
1:人がいなくなっていく悲しみと、現実に生活が破綻していく苦しみは、両輪で町を暗くしていったんです。
8:それで?
1:あとはわからない、現にその場にいて、あの悲しみも苦しみも一人一人違ったから、何も語れることがないんです。
2:訴え出る人とか、訴えを聞く人も誰もいなかったのは正直、信じられないです
1:誰も苦しみを隠して、大事にしたがらなかったんです。
8:私閉じ込められてるんだけど。かわいそうだと思わない?だって、多分その人さらいか何かのせいで、一生を塔の中で暮らす必要があるなんて、なんだかブキミでしょ。
1:だから、船の話をしたんです。せめてもの、知っていることとして。
9:あなたたち、誰ですか?
2:ああ、これはどうもすみません、お邪魔していました
8:この人たちね、招待した
9:お名前は・・・
8:知らない。どうでもよかった。そっちの方が素敵でしょ?
9:すいません、お名前をうかがってもよろしいですか?
8:え?聞いちゃうの?もったいない。一回聞いたらそれで終わりだよ?
9:どういうこと?
8:聞いたら、誰だったのかわかっちゃうでしょ
9:・・・ご飯にしようと思ってたの
8:この人たち誘った方が、なんかあるよ
9:なんか?なんかって、どういうこと?
8:それは知らない。
9:・・・ご飯食べたいですか?
1:すいません、それは申し訳ないですから、
9:うーん、折角ですし・・・
2:でしたら、お言葉に甘えて。不躾な質問なんですが、どうしてお子さんを部屋から出されないんですか?
9:この人たちに何て言ったの?
8:何も
1:ただ、私たちも話を聞いた、ないし姿を見た手前、何も事情を聞かず、何もせずに帰るということは出来ないですから
2:不思議だったんです。虐待らしい痕跡なんてないのに、部屋から出られないなんて、どういうことなのか
9:そうですねえ、尋問に答えないと、私はどうなりますか?
2:どうもなりません
1:黙ってて。どうもならないってことはないんです、ちゃんと納得できる理由を聞かないことには、ここから出ることは出来ないんです。私だってこの地域に住む人間で、れっきとした大人なんですから、追い返されて「はい、そうですか」なんてわけにもいかないんです。まず、話してもらわないことには進まないんです。
9:難しいですね、何をどう話したら、納得して頂けるか
1:難しい?いや、そんなことないでしょう。どういう事情で、どういう目的なのか教えてもらえば、それでいいんですから
9:この子が生まれた頃、ちょうど、人さらいの噂があったの、覚えてますか。
2:おー!「人さらい」ですか
9:ええ。人さらいです。いや、噂だけだったんですが、確かに人が減ってはいたんですよ。気味が悪かったもんで、それで。
1:なるほど。それでじゃあ、なんでずっと部屋のなかに居続けさせたままなんですか?それとこれが何か?
2:海が綺麗に見える部屋だから、じゃないですか。
9:まさか。いや、確かにこの子は海が綺麗だったら、満足してしまうから、もしかしたらそうかもしれないですね。いや、それよりもね、人さらいがまたいつ現れるかわからなくて気味が悪いでしょう。
2:うんうん、部屋から出さないのも十分気味が悪いですよ
9:私はね、海に漂流した物を集めて、綺麗にして、それで売る商売をしているんです。だいたい海の流れか、船が難破したか、そういう理由で海岸に着いた物をね、洗って売るんです。そうするとね、だいたいいつの時期に、どれだけ商品が手にはいるか、分かってくるもんなんですよ。そうしてると、あるときから、急に商品が手にははいらなくなったもんだから、気味が悪くなってね。それで、生活もまともに立ち行かない。困ったもんですよね。気がついたらこの子をずっとこの部屋に居続けさせたまま。
1:いや、だから、なんでその子がずっと部屋の中にいなくちゃいけなかったんですか?
9:うーん、だって、人さらいに取られたら困るでしょ?
2:あなた、本当にそんな商売されてるんですか?一体何を売って、どれくらい稼げるもんなんですか?
9:関係ありますか
2:この塔、そんな商売してる人が持てるものとは思えないですが・・・
1:本当に漂流物だけ手にいれて、それで生活が成り立ちますか。ちょっと教えてもらえませんかね。
8:ありがとう。楽しかった。もうお腹一杯。
ご馳走さま。
9:ご馳走さま。
8:ううん、この人たち。
1:え?どういうことですか?
8:もういいかな。
2:もういいんですか?
8:だって、本当は何なのかなんて、どうだっていいでしょう?
1:でも、君が聞きたいって、知りたいって・・・
8:すごい真剣だから、冷めた。
2:それが、記録に残らなかった理由ですね。
1:わかったようなこと言わないでください
2:突き止めなくちゃいけないことなんてなくなったのですから、終わりですね。
カーテンが再び仕切られて、1と2だけに照明があたる。
2:青い月ですね。
1:ええ。
2:月のある夜に、暗闇は見えるものでしょうか。
1:月明かりの夜には十分に美しい暗闇があるんじゃないでしょうか。
2:街がしっかりと目で見えてしまうようなときの暗闇を、私は美しいとは思いません。
1:しかし、昼の明かりから考えると、十分にくらいですし、月明かりがほのかで美しいんじゃないでしょうか。
2:何も見えないから美しいんですよ。暗闇に身も心も溶けていってしまうほど暗いから、美しいと感じるんですよ。
1:・・・しかし、あの二人は一体なんだったんでしょうか
2:真相は闇のなかです。だから美しい。答えがわかってしまったら、とても寂しいです。日々の生活の中の一つの行いに過ぎなかったんでしょう。あの塔や部屋をまるで監獄かのように使うことは。
1:食事をしたり、働くことのように、嘘をついて、人を閉じ込めていいんぬですか
2:よくないです。よくないですが、それも冷めた日常のなかで忘れられてしまうんじゃないですか、
1:記録を残さないことで、何もわからないまま全てが終わって、次は感情を起こさない、何も怒らず、悲しまず、疑わないことで、全てが終わってしまうことはあってはいけないんです。
2:だと思います。だとすると、明日にでも、この町では何かが変わっていくんでしょうね。もう、この町で見れるものは見れたので、明日にも発ちます。
1:ええ。
2:ああ、月に雲がかかって、心洗われるな。明日は雨だといいな。
浜の詩 夜
C G Am7 Em
壊れた時計は 一日に二度
C G Am7 Em
正しい時刻を示す
C G
境界の中 留まれば
Am7 Em
光は窓からしか
C G Am G7
浴びることはできない
F add9 C
やがて怠惰も理屈を
Dm7 G7 C
覚えるだろう
やがて私欲も理屈を
覚えるだろう
浜の町は雨のなか
怠惰と私欲が闘う
浜の詩は旅のなか
浜の詩は旅のなか
おわり
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