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これからの季節の服装選びのポイント

●暑い季節到来…?

梅雨明け目前の今日この頃、雨の日と晴れの日の寒暖差も大きくなりました。晴れている日はすでに汗ばむ陽気になりましたね。
 どうもみなさんこんにちは。もう保育中は半そで半ズボンのヒゲメンです。
 汗ばむ陽気が続く季節になると、保育園から肌着の着用を推奨された方も多いのではないでしょうか?肌着と一口に言っても、最近では速乾タイプのものや涼しく感じるものなど種類も多いですよね。ここでは、子どもに合わせた肌着の選び方を考えていきたいと思います!

●そもそも肌着ってなんで必要なの?

肌着の効果は大きく分けて以下の3つです!

 ①汗を吸収し、体温調節をサポートする
 ②急な外気温の変化から身体を守る  
 ③汗や皮脂などの汚れから洋服を守る 

①:肌着が汗を吸収することで皮膚表面がより早く乾きます。そのおかげで、皮膚表面の温度がより早く下がるので汗の体温調節の効果を引き出すことができます。汗は皮膚に打ち水をしていて、肌着はそれが乾くのを助けると思ってもらえればわかりやすいですかね?

②:洋服と肌着の間に空気が入っているおかげで、夏の外気と室内など急激に温度変化が起きる場所でも身体への負担を軽減することができます。

③:衛生面だけでなく、洋服を長持ちさせる効果があるので嬉しいですね!

●汗をかく力の重要性

 前の話で、汗を吸収することで体温調節の役割を助けると書きました。
効果も汗に関することが多く、汗と肌着には深いつながりがあることがわかりますね。


でも汗って匂いだったり、べたついたり、何かと悩みの種ですよね…。子どもってこれでもかってくらい汗かきますし。なので、ここでは、少し汗のメカニズムや仕組みいついて説明したいと思います。

みなさんご存じかもしれませんが、汗というのは「汗腺」から出ています。
汗をかく力は2歳までに育つという話を聞いたことがあると思いますが、これはこの「汗腺」の発達に関わりがあります。

この「汗腺の発達2歳説」は、文化勲章も受章した久野寧・名古屋大学名誉教授が1963年に発行した「汗の話」が元で、

『汗腺には、汗をかく力のある「能動汗腺」と、ない汗腺がある。最終的にどのぐらいが能動汗腺になるかは、2歳半ごろまでに決まるとされている。日本人の生後1カ月ほどの子から大人までの汗腺を調べたところ、2歳半の子には、すでに大人と同数程度の能動汗腺があったことから、こうした結論を導き出した。』(引用:久野寧,汗の話, 光生館,1963年,164p) 


という部分からきているそうです。
確かに、2歳半で大人と同等の汗腺の数があるのであれば、2歳くらいまでに発達させてあげるのが大切になるのもうなずけますね!

また、中京大学スポーツ科学部の松本孝朗教授は以下のように述べています。

「汗をかく体になるには暑熱順化が必要です。暑熱順化とは、暑い環境に何度も身を置いたり、暑い中での運動を繰り返したりすることで、たくさんの汗をすぐにかけるようになることだ。体温上昇や心拍数の増加が抑えられ、暑さに耐えられるようになる。」
「『暑熱順化が必要だからエアコンを使うべきでない』というのは間違っている。特に今年のような災害級の酷暑では、命を守るために必ず使うべきだ」
(引用:汗をかく力は2歳までに? エアコンは子どもに悪いのか,朝日新聞デジタル,https://digital.asahi.com/articles/ASL8Y42N0L8YUBQU00F.html
<参照:2020/07/22>)

他にも、熱中症に詳しい桐蔭横浜大学大学院の星秋夫教授(医学博士)も以下のように述べています。

「エアコンの使用自体は汗腺の発達にそれほど影響はない」
「子どもでも大人でも同じですが、汗をかかないと汗腺が不活性化して、あまり汗をかかないようになる」
(引用:汗をかく力は2歳までに? エアコンは子どもに悪いのか,朝日新聞デジタル,https://digital.asahi.com/articles/ASL8Y42N0L8YUBQU00F.html
<参照:2020/07/22>)

まとめると、


・汗腺の発達は2歳までに大人と同じくらいまで発達する
・暑熱順化をすることで、大人も子どもも身体が汗をかく準備をする
・エアコンが汗腺の発達を阻害するのではなく、汗をかかない環境が原因

ということがわかります。

上に出てきている暑熱順化には一日20~30分汗をかく環境を作ることが大切だと言われています。


このご時世です…換気をしたり、ソーシャルディスタンスに気を付けながら公園をお散歩したり、少しずつ体を慣らしていって、能動汗腺が機能する準備をしてあげたいですね。エアコンとも上手に付き合って暑さに負けない身体を作っていきましょう!

●子どもに合わせた服装って?


一般的に小さい子どもほど、自分で衣服の調節ができません。「寒い」、「暑い」と訴えることも、感覚をしっかりと言語化できない子どもには難しいです。「エアコンをつけると汗腺が発達しない」、「汗はかけばかくほどいい」というのも間違っていますし、薄着でいれば免疫力が上がるというのも医学的な根拠はありません。


子どもは大人よりも平熱が高いから薄着にすべきという人もいますが、子どもは体が小さい分温まりやすく冷めやすいのです。なので、大人よりもこまめな脱ぎ着が必要になってきます。大人が寒さを感じていたら子どもはもっと寒いで、重ね着が必要になりますし、汗をかいていたら暑いので、汗を拭いて脱がせる必要があります。

じゃあどうするって話ですが、絶対的な正解を探すよりも、子どもをよく見てあげることが一番大切です。ここまで書いておいてなんだよって感じですが…(笑)

肌着も、綿のものや速乾、冷感のものと様々な種類があります。
合成繊維のものはすぐ乾いてくれたり冷たい感覚のものが多いですが、お子様の肌に合わない可能性もありますし、合成繊維はまだ未発達な肌を傷つける危険性もあります。逆に、綿は汗をよく吸ってくれる反面、体感温度は暑くなるデメリットもあります。


他の子より暑がる子や、汗をかく子は無理に肌着を着せるよりも、着替えを多く持って行ってあげてこまめに着替えさせてあげたほうがいい場合もあると思います。

ここまで、肌着の重要性を述べてきました。汗の機能も助けてくれたり、急な寒暖差から身を守ってくれたり、お気に入りのアウターを長持ちさせてくれたりと、肌着は確かに重要です。ですが、絶対に着なきゃいけないものでもないんです。


大切なのは、自分の子どもが、この酷暑ともいうべき夏をどうやって乗り越えていけるか、少しでも快適に過ごしていけるか、そういった部分に目を向けていくことなんじゃないかな、と、自分は思います。


世間ではたくさんの情報があふれています。ただし残念ながら「絶対」な情報はすくないと思います。研究データで示している情報も、本当に自分の子どもと同じ条件なのか、同じ環境を作れているのか、そんなことはわからないですよね。情報はあくまで整合性のとれた、参考文献です。わたしたちと一緒に、「情報」をかみ砕いて自分に必要な情報を抽出していきましょう!

最近は肌着も、かわいいものなどデザインが凝ったものも多いですよね、外見のサポートをする役割もあるので、お子様と一緒に選んでいくのも、コミュニケーションが取れるし子どもの子の好みや新しい発見があっていいかもしれませんね!


「こうしなきゃ」「あーしなきゃ」と頭を悩ますよりも、楽しんで夏を乗り越えていきましょう!

<Written by ヒゲメン保育士>

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