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運命の相手だと思っていたのに、あっけなくお祈りされた話

昨年のちょうど今頃、私は「御社」のフルリモート5daysインターンシップに参加していた。書類選考と2度の面接を突破してつかんだインターンの切符は、大学3年の10月に就活をはじめて以来、ずっと目標にしてきたものだった。

というのも、内定者の先輩曰くインターンで気に入られた学生には「ちょっとお話しましょう。」と連絡があり、その電話で粗相がなければ「6月1日の面談」が確約されると聞いていたからだ。いわゆる、内定を仄めかされるというやつだ。

結果として、私はインターンで全く活躍できず、当然ながら「インターン内定者」の選考からもれた(ようだ)。諦めずに一般でも応募したが、1次面接で面接官と波長が合わず、それ以降の連絡はなかった。(インターンでコケたら、もう次は無いと聞いていたが、その通りになった。)
最終的には4月下旬に「お祈りメール」が送られ、私の片思いは終わった。

なぜ私が「御社」にそこまで熱を上げていたのか、振り返ってみたい。

「御社」との出会いは、11月上旬に参加した内定者との懇談会イベントだった。この出会いで、私の就活観は大きく変わった。21卒の内定者らの覇気と「御社」の人材採用にかける熱量に圧倒された。

何より衝撃的だったのは、自信に満ち溢れた(ように見えた)内定者たちの顔つきや、就活体験を話す姿だった。彼らは同級生なのに(私は学年を1つ下げているので、21卒は同級生にあたる)私よりずっと先を歩いているように見えて眩しかった。いや正確には、本気で就活に取り組んでいなかった自分を恥じていた。

大手なんか無理だし、大手の子会社の子会社くらいに収まれば御の字かな。

そんな甘い考えを抱き、なんとなく就活をしていた私は、この日を境に覚醒した。

「御社」を目指そう。来年は、自分が内定者としてイベントに参加するんだ。

そう決意した。目標が明確になった途端、私は凄まじい勢いで就活に取り組むようになった。内定をもらうには、とにかくインターンに参加することが重要だと聞いたので、冬のインターンに向けて準備をはじめた。「御社」の面接は独特で、幼少期から人生を深堀される。一般的な面接対策では、攻略できないと聞いていた。

必死に準備した甲斐あり、私はインターンの書類選考と1次面接を突破した。

迎えた2次面接。面接官は、なんと私が密かに憧れていた超エリート女性役員だった。1次面接通過の案内を受けた日から読み漁っていた、あるweb記事で彼女のことを知り、こんな凄い人がいるのか、と「御社」への憧れを募らせていた。

なぜ役員がインターンの2次面接に駆り出されていたのか、その真相はわからない。だが、半信半疑で面接中に取ったメモにもその名が書かれていたので、私の妄想ではない。そして何より、私が勝手にロールモデル認定していた女神は、私にインターン参加の切符を授けてくれたのだった!

こんな出来事があったものだから、「御社」は運命の相手に違いない

そう、私は深く深く信じ込むことになった。

インターンまでの2ヶ月間、7人の方にOBOG訪問をした。「御社」への忠誠心を示すためだ。社員の方は皆、とにかく親切で良い人たちばかりだった。中には、ES添削と面接に計4回も付き合って下さった方もいた。

こんな素晴らしい先輩たちと一緒に働きたい。
丁寧に対応してくれた彼らに感謝の気持ちを示すためにも、絶対に内定するんだ。

そう自分に言い聞かせ、日々「御社」への愛を募らせていった。

インターンに参加した5日間は、あまり良い思い出ではない。
配属先チームのメンバーは、国立、帰国子女、体育会。
明らかに、私は場違いだった。

インターンの正規スケジュールが終わった後も、発表資料の作成のためメンバーは自主的に、深夜までzoomを繋いで作業していた。だが連日の就活で、体力的にも精神的にもちょうど限界が来ていた私は、辛すぎて途中で離脱してしまった。
この時点で、自分には「御社」で働くだけの体力もスペックもないと、気付いてはいたが、どうしても認めたくなかった。

その後の流れは、前述の通りだ。

今でこそ泣かずに語れるが、当時の傷心は計り知れないほどだった。
「御社」からお祈りメールを受け取ったのは4年の4月だったので、続けようと思えばまだ就活を続けることはできた。だが「御社」に身も心も捧げ、ボロボロになっていた私には、もうエネルギーが残っていなかった。
早期選考で、3月1日に内内定を出してくれた企業に就職を決め、今に至る。

思うような結果にはならなかったが、私は本気で就活に取り組んでよかった、と感じている。これまで順風満帆で、挫折らしい挫折を経験してこなかった私の人生に、深みを与えてくれたからだ。

また、相思相愛にはなれなかったが、私は今でも「御社」のファンだ。
まとまったお金が手に入ったら、株主になりたいと思っている。株主になって、私を振った人々を間接的に部下にして私のために働かせたい、という復讐心もあるが、純粋に「御社」の企業としての価値は素晴らしいと思っている。

それにしても、落とした就活生にこう風に思わせる「御社」は、やっぱり凄い笑。




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