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サンリオdisり期

世の中の多くのお子さまは、その成長の過程において、「アンパンマンdisり期」が訪れると聞きます。

赤ちゃんの頃から親しんでいたアンパンマンの存在が、齢を3つ4つと重ねるにつれてだんだんと幼稚なものに思えていき、あれだけ大好きで毎日のようにお風呂にプカプカ浮かべていたアンパンマンとゆかいな仲間たちの人形を、ある日ついにポイと捨ててしまうのだそうです。

あれだけ大好きで毎日のように視ていたアンパンマンのアニメを子供向けでしょぼいしワンパだとdisり、毒を盛られたSEIKINさんの顔を視るほうがよっぽどマシだとか言い出す始末。

これはご家庭によってはドラえもんだったりしまじろうだったりするようなのですが、自分の場合は「サンリオ」でした。

もっと細かくいえば、けろけろけろっぴと、みんなのたあ坊ですね。

男の子ウケを強く意識したであろうバッドばつ丸が登場するのは、もう少し後の時代。

当時はまだ、『サンリオ男子』などというアニメが作られる未来など誰も知る由もなく、サンリオのキャラクターは基本的に女の子のためのもの、という認識が強く、実際に女の子ウケを狙った感じのキャラクターばかりでした。

でも、2つ上の従姉の持っていたシルバニアファミリーのお家とか、リカちゃんが寝ているやたら大きいギラギラしたベッドとかでナチュラルに遊んでいた変態男児の自分はあんまり気にすることもなく、従姉とともにおばあちゃんに連れられて、近くにあったサンリオショップでけろっぴの筆箱やらシールやらを買ってもらっていました。

サンリオショップというのは、文字どおりサンリオのキャラクター商品の販売に特化したお店で、バブル期には全国各地に点在したといわれています。

現在も大阪駅ビル内の大丸にそれに近い店舗がありますが、それとはまた違い、戸建の店舗として存在しました。

フランチャイズだったのか個人経営だったのかは不明ですが、まあ昭和の街のおもちゃ屋さんみたいな雰囲気で、南大阪の某ド田舎にそれはあったのです。


そんなふうにして、どんどん家にサンリオグッズが増えていきました。といっても、やっぱりキティちゃんなどは恥ずかしかったので、男の子のキャラクターであるけろっぴやたあ坊ばかりなのですが。

いつのまにか、家の玄関のカーテンまでけろっぴになっていました。親は昔も今もこの手のキャラクターものにほとんど興味がない人なので、もしかして自分がどこかのタイミングでけろっぴがいいとか言ったのかなあ。

かわいいけろっぴやたあ坊が描かれた筆記用具での勉強は楽しいものだった……と思います(うろ覚えなのでなんともいえない)。

それと裏腹に、当時めちゃくちゃ流行って社会問題にまでなっていた『ドラゴンクエスト』のバトル鉛筆(通称バトエン。おもちゃとして遊べるので禁止している学校もあった)を集める同級生を見て、3年生くらいになってもけろっぴやたあ坊を身につけているのはおかしいのかもしれない、と漠然と思い始めました。いや、もっと前だったかな?

そして、どのタイミングだったかわからないけど、きっぱりとサンリオのグッズと縁を切ったのですね。

けろっぴのレンタルビデオとかもけっこう借りていたのですが、ちょうどそのあたりから幼稚に感じたような。

まあアニメのほうは弟がまだ幼かったこともあって、その後もわりと一緒に視ていたのですが、外にサンリオグッズを持ち出すということはなくなりました。

現在、毎年恒例のイベント「サンリオキャラクター大賞」が絶賛開催中です。


もうどこにあるのかわからない、たぶん捨ててしまった、けろっぴのハンカチやたあ坊のシール。店内の様子を朧気にすらも思い出せないサンリオショップ。

バッドばつ丸をあと数年はやく出してくれれば……という気持ち。

今年も笑う女がいない寂しさ。木馬もいない寂しさ。八千代チャーマーも散った。

I’m Doraemonは一応サンリオのはずだけどエントリーしていないの?という素朴な疑問。

様々な想いを錯綜させながら、るるる学園に投票するのでした。ああ記憶の向こうの昭和末期よ。



…………あ、シナモロールにも投票しました。

サウナはたのしい。