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『うっかりパンツを履いて来てしまってとんでもないことになった(前編)』

(※少し下品なおはなしです。あらかじめご了承ください。あと、画像はパンツではなく、ビニール袋をひらひらさせたものです。)

それは、小学校生活最後の夏のことでした。

地域や時代によっても違うのかも知れませんが、当時、およそ20年ほど前は、市内の4〜5つの小学校が合同で行う「地区水泳大会」という行事がありました。毎年、最上級生である6年生が出場していました。

小学6年生の頃の自分が普段どんな感じだったかというと、非常に無口で引っ込み思案でした。そして、それはもう天才的なまでに、球技の才能がありませんでした。

体育の授業が大嫌いで、ボールが友達だなとと妄言をぬかしている名誉キャプテンの大空翼くんなどとは一生お友達にはなれないだろうなあと思っていました。どちらかといえば『地獄先生ぬ〜べ〜』に出てきそうな女の子と友達になりたいと思っていました。

夏休み中もずっとインドアで、もちろん子供アニメ大会は毎日欠かさずテレビの前で半裸で見ていました。

ラジオ体操はサボっても、テレビ朝日のスーパーアニメ再放送タイムはサボらない。『クレヨンしんちゃん』から『グズラ』まできちんとがっつり視聴。

時には昼食を挟んでタモリタイムや小堺タイムや徹子タイムに突入することもありましたね。今では考えられないくらいテレビっ子でした。でも、『おかあさんといっしょ』タイムまで直進してしまった時は、さすがに自分の身の振り方を考えました。

午後からはポケモンたちとバーチャルの旅。夜は屋内でガテン系のお仕事(ミニ四駆の肉抜き)。まあ、そんな感じで引きこもりでした。マサラタウンどころか、家から出ていません。

ポケモンをプレイすることが運動につながるなんて発想はもちろん微塵もありませんし、それを電話やメールをする器械でプレイするなんて当時の時点で言われても、「僕は22世紀から来たネコ型ロボット。今日から君ん家で暮らす」と同じくらい、「…………あんた何言ってんの?」という反応をしていたでしょう。

さて、そんな超文科系(主にコロコロコミックから得た知識)人間の自分でしたが、唯一、水泳だけは、自信を持てるスポーツでした。1年生の頃からスイミングスクールに通っていたので、実は同級生よりも早く習得していて、泳ぎには慣れていたのです。

地区水泳大会の出場選手の1人にも選ばれ、なにかの代表になったことなど全くといっていいほどになかった自分としては、嬉しかった反面、かなり緊張もしていました。

だって、そもそもが、無口で引っ込み思案なのです。

とてもくだらないといえばくだらないのですが、先生が点呼を取った時に、声が出るかどうかという…………当時の自分としては、かなり深刻な問題でした。

前日から、点呼された時に大声を出す練習というのを1人で延々としていました。とても精を出して練習しました。朝から晩まで、寝食もポケモンも惜しんで…………はいませんでしたが、しました。しまくりました。しまくりまくりすてぃ(当時の流行語)。

………………しまくった挙句、………………なんということでしょう。

事前に配られたプリントの内容をろくに読んでおらず、「当日は着替える場所がないので、あらかじめ水着を衣服の下に着用してから来校すること」という注意書きを見落としてしまっていたのです。

この馬鹿者(CV:永井一郎)!!

そして、それに気づいたのがなんと、会場に着いてからなのでした。おお ぷらーなよ ぱんつを はいてきてしまうとは なにごとだ!

しかしまだ、希望はありました。

幸い、自分の順番までは、まだかなりの時間がありました。水着はカバンの中に入っています。

たぶん、どこかのタイミングでトイレ休憩があるはず。そう楽観視していたのですが、とにかく先生のお話、長い。市長さんのお話も、これまた長い。長い。とても長い。市長さんはさぞ素晴らしいお言葉を我々にくださっているのでしょうが、申し訳ないことに全くもって聞いておりませぬ。頭の中はパンツでいっぱい。『いちご100%』の真中くんと同じくらいパンツでいっぱい。当時は『いちご100%』は始まってもいませんがね。とにかくパンツをどうにかしたい。どうにかさせてください。どうにかさせろ。

ようやく市長さんのありがたいお話が終わり、これから本番へと突入だ。本番前にトイレ休憩があるはずだ。よし、そこで…………。

…………………………………………………………………………………………………………………………ありませんでした。ムカついてきた(完全に逆ギレ)。

本番前に緊張のあまり漏らしてしまう子がいたらどうするんだ?万が一プール内でやってしまったらどうするんだ?などと、心の中でどうしようもない愚痴をつぶやきつつ、仕方がないので他校の泳ぎを見る。

…………うーん。つまらん。みんな同じような泳ぎ方していやがる(当たり前だ)。もっと泳ぎにも個性を。誰か犬かきとかしないかなあ。誰か伏し浮きとかしないかなあ。みんなビート板とヘルパーなくても泳げてすごいなあ(だから当たり前だ)。みんな洗面器に顔つけ10秒とかから始めたのかなあ。しみじみ。

周りの同級生はというと…………、うん、実につまらなさそうで、眠そうだ。

まあ、ね、知らん人のクロールとか平泳ぎ見たところで「ふーん……」だし、知らん誰かが個人種目賞をもらおうが、紅白歌合戦の勝敗くらいどうでもいいんだよね。

一方、先生がたは実に真剣だ。本当にそんなによその学校の児童の泳ぎに興味があるのだろうか。もしかしてスク水フェチなのか?まあ、お仕事だからなあ。嫌な顔もできないのでしょう。ガキどもは素直なので、嫌な顔をしているが。

そんなこんなで午前のプログラムが終了。お待ちかねのお弁当タイムに突入だ。

プラーナくんは、無事にパンツを脱げるのか?水着に着替えられるのか?後編につづく!


#エッセイ #夏の思い出

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