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『スーパードンキーコング2』とバナナの叩き売り

ポケモンの新作のアルセウスというのが好評のようで、Twitterでも多くの方のプレイ報告やバグ遊びを目にします。

自分はポケモンは初代の赤・緑こそ毎日10時間プレイしている入れ込みっぷりでしたが、実をいうとそれ以降は『ポケモンGO』をちょっとやったくらいで、ほとんど浦島太郎です。ポッチャマを最近になって覚えたレベル。

ゲーム自体をやらなくなってしまったんですよね。ソシャゲに手を出してもすぐに飽きてしまうし、数万円を出して新しくハードを買う気にもならない。

そんな自分がいちばんゲームにのめり込んでいたのは、小学4~6年生の頃です。先述の初代ポケモンもこの頃。時代的には初代プレステの全盛期でしたが、うちにあったハードはゲームボーイとスーパーファミコンのみ。大幅値下げされたニンテンドー64がうちに来るのはもうちょっと後のこと。ゴリゴリの任天堂ヘビーユーザーですな。

スーファミで特によく遊んだソフトのひとつが『スーパードンキーコング2』です。

『スーパードンキーコング』シリーズは、ドンキーコングという名のバナナ大好きゴリラが主人公なのですが、シリーズ2作めの今作では、このドンキーがさらわれてしまいます。

体格のゴツいゴリラのドンキーをさらうくらいなので、敵は強靭な肉体を持つゴリゴリマッチョだらけです。巨大な釘バットを振り回して来る奴もいます。

そんなバイオレンスな世界に身を投じるのは、ドンキーの友達のディディーコング。彼はゴリラではなくチンパンジーで、体型も細め。敵が肉体派だらけなので、ちょっと頼りないような気もします。彼自身もそれを自覚していたようで、助っ人をひとり連れてきました。

それが、金髪のポニーテールが似合う、ゴリラのディクシーコング。当時のコギャルを擬ゴリラ化したかのような風貌の彼女は、ディディーのガールフレンドなのだそうです。……いやいや、戦場に彼女を連れて来たのかよ。ちなみにこの子、敵にやられるとすぐ泣く。それでも、ドンキーもディディーもさらわれた次作では主役に抜擢されるくらいなので、ポテンシャルは秘めています。

そんなゴリゴリマッチョとラブラブ霊長類が融合した『スーパードンキーコング2』はとても面白くて、名前は忘れたけどトンボみたいな敵を踏み付けてジャンプするのはやたらと気持ち良かったし、ゴリゴリマッチョな敵がやられたときの声がちゃんとゴリゴリマッチョのおっさんっぽい声なのも良かったし、溶岩に埋まっているクロコダイルを足場にして進むシュールさも癖になりました。 


ただ、このゲーム、小学中学年には難易度が高いものでした。

さらに、テレビが居間にしかなかった我が家には、ゲームは1日1時間、という鉄の掟があったため(ゲームボーイに関しては全くその掟を守っていなかったが)、攻略に非常に時間がかかり、とうとう、ジンガーという巨大な蜂がボスのステージで煮詰まってしまいました。何をどうしてもクリアできない。

そんな折、いつもスイミングスクールの帰りに寄っていた本屋で、たまに見かける類の本の存在を思い出しました。ゲーム攻略本です。


今でこそゲームの情報はネットで簡単に収集できますが、かつては自力で探し出さなければなりませんでした。

そのうち、いちばん手っ取り早いのが、ゲームの攻略法が載っている本を買うことでした。お小遣いの数百円を出して、本を1冊だけ買えば、それだけでジャンプのタイミングもボスの弱点も隠しコインの位置も、すべてわかるのですから。

大人気ソフトだった『スーパードンキーコング2』の攻略本は、いろんな出版社から何種類も出ていました。その中から選んだのが『朝までスーパードンキーコング2』というタイトルのもの。

小学生にして中二病の片鱗をすでに見せていた自分は、徹夜してゲームをするということに謎の憧れを抱いていたので、このタイトルはなんとも魅惑的でした。実際は、遅くても夜7時までしか許されていませんでしたが。

何種類も出ていた攻略本のうち、任天堂が公式と認めたものは小学館のものだけでした。なので、勁文社という出版社から出ていた『朝までスーパードンキーコング2』は非公式の攻略本。だからなのか、ゲームのステージの紹介ページは実際のプレイ写真ではなく、すべてが手描きのイラスト。

このイラストがなかなかかわいいのですが、攻略本としては非常にわかりづらい。

それでもなんとか、ああこのイラストの部分はたぶんあそこのあれを指しているのだろう……、ということを頭に入れて、何度かシミュレーションして、ジンガーを倒せたのはその数週間後。記憶が曖昧なのですが、それ以後にこの本を攻略に役立てたことはたぶんほとんどなく、結局は自力でクリアしたと思います。


もう手元にはないのですが、うっすらと覚えているのは、おまけの漫画ページみたいなのがあって、そこで「バナナの叩き売り」というのはどういうものなのか、という解説がなされていたことです。

露天商が「安いよ!安いよー!」と声を上げて売ることであり、バナナを叩きながら売ることではないよ、ということを4コマで説明していたのですが、ゲームにはいっさい関係ありません。

ちなみにこの本、これを書くにあたってググっていたら判明したのですが、もともと出していた攻略本を表紙だけすり替えて、あたかも新刊であるかのように出版した、というえげつない代物だったらしい。



今では朝までドンキーコング2もやろうと思えばできなくもないのですが、夜更かしするのがきつくなってきましてね。夜は寝たほうがいいよ。

サウナはたのしい。