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将棋が流行るせかい

近所の工務店の壁に、こども将棋大会の貼り紙があるのを見つけました。

たぶん地元のPTAの主催だと思うのですが、現代っ子にとって、大会を開かれるほど、将棋はナウでヤングでバカウケでごっつええ感じのめちゃ×2イケてる未成年の主張なのか……と、よくわからない感慨に耽りました。

近年は藤井聡太さんの活躍が目覚ましく、昇段が早すぎて今はもう何段なんだかよくわからなくなっているうちに竜王になられていて、もう、若くして……なんていう接辞がもはや失礼なほどです。

かつてJリーグが大人気だった頃、クラスじゅうの男子がサッカー選手に憧れたように、棋士の方々はかっこいい大人の代表なのかもしれない。 

それはもちろん結構なことなのですが、不思議な感覚もあります。以前は将棋というものは少なくとも、かっこいいものではなかったような気がする。

現在もご活躍されている羽生さんは、昔からテレビでお馴染みで、頭がものすごく良い人という印象はあったものの、将棋という競技そのものが大きく取り上げられていた記憶はない。

周りでもやっている人はいなかったし、父親に駒の動かし方を教えてもらったものの、家族以外と指したことはほとんどない。

そこ、友達が少ないとか言うな。友達はいたけど、ご多分に漏れず、みんなゲームで忙しかったのです。そして、うちにはプレステがなかったのです。


高校には将棋部が存在したのですが、3〜4人くらいのもともと仲の良い友達どうしでのんびりやっている部活という感じで、それに気づいたのは2年生の終わり頃になってからでした。

そもそも部活に大して力を入れていない学校で、野球部とテニス部くらいしかないところで、よく将棋部を作れたもんだなあと。

なんとなく仲良しのグループで固まっていて、途中からは入りづらい雰囲気だったし、学校も遠かったので、帰りが遅くなると厳しい。なにより、当時の日課だったブックオフ巡りができなくなる。

ということで入部しませんでしたが、もし入部していれば今頃は棋界のヒーローに……はまあなれず、友達が数人できたくらいでしょうけど、学生時代に友達と将棋を指すという経験はつくれたな。

なんでもないような経験ではあったでしょうが、そういうのが特別だったと思うお年頃……。


今ではスマホの将棋ゲームで、ぜんぜん知らない人とも対戦できます。チュートリアルを見れば駒の動かし方もわかるので、親や友達に教えてもらわなくても覚えられます。

でも、誰かと共に同じ木板の盤を共有して将棋を指す、というのは、とても貴重な体験だとも思います。それは後世に受け継いでいくべき。

なので自分もこども将棋大会に参加したいのですが、残念ながらナウでヤングとかごっつええ感じとかの語句をスラスラ使えるような人は、どうやら参加者の対象ではないみたいなんですよね……。

サウナはたのしい。