『うっかりパンツを履いて来てしまってとんでもないことになった(後編)』
前編はこちら→https://note.mu/pullerna/n/nc957ab3727fa
(※少し下品なおはなしです。あらかじめご了承ください。あと、画像はパンツではなく、ビニール袋をひらひらさせたものです。)
お昼休憩になりました。
すぐさまトイレに駆け込みました。もちろん、パンツが入っているカバンを持って。もちろんトイレに行くのにカバンを持ち込む必要などないので、案の定、同級生に問い詰められるのでした。
「なんでカバン持っとるん？」
まさか、誤ってパンツを履いてきてしまったから、などとは言えません。いや、今にして思えば正直に言えば良かったのですが、なぜか当時はよくわからないプライドがあったのかなんなのか、ごまかしたかったのです。
「…………あ、ああ、…………うん……」と、しどろもどろな返答をしつつ、個室へ入ろうとするも………………。
大便所、全部ふさがっていやがる。
当時はまだ、学校のトイレでうんこするといじめられる慣習がギリギリ残っていたと記憶していますが、学校ではあんなにうんこを禁じるくせに、市立プールのトイレでのうんこには積極的かよおまえら。と、憤ったところで仕方がありません。少し待ちましょう。
…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………出てこねえよ。…………もしかして…………便所飯か…………。ノックしようかとも思ったけど、やめました。
トイレ内ラッシュも終わり、同級生たちはお弁当タイムへと突入しつつあるようです。そんな中、ひとりで佇むわたし。平成9年、夏、大阪。
いや、あきらめたらそこで水着終了ですよ。もう埒が明かないと、とんでもない行動に出てしまいました。
周りに人がいなくなったのを見計らって、隣の女子トイレへと駆け込んだのです。女子トイレはすべて個室ですからね。
え？なんでそんなこと当時知っていたのかって？3年生くらいの頃、男子は女子トイレを、女子は男子トイレを掃除するという謎の慣習があったからですよ。誰が言い出したか忘れましたが、たぶんその頃のクラスメイトに変態が紛れ込んでいたのでしょう。
さて、個室に無事に入り、パンツを脱ぎました。女子トイレの個室に入って下半身を露出するなど、今の年齢でやったら書類送検されてしまいそうです。なんとか水着に着替えることはできました。ミッション終了(当時なぜか学校で流行っていた言い回し)。
しかし、今度は女子トイレから出なければなりません。これが困ったことに、室内からは外に人がいるかどうかよくわからないのです。談笑などしていたらわかりやすいのですが、物静かな人がひとりでひっそりと来ていたらわかりません。
誰かに見つかったらそれでミッションどころが学校人生が終了です。まあもう6年生の9月だし早めに切り上げても…………いやいや、まだ、半年以上もあるじゃないか。困る。これからの半年を、ドン引きされて変質者扱いされたまま過ごすのか？Deadか？Aliveか？………………I wanna live.
見つかった相手が男子ならまだお笑いネタで済ませてくれなくもなさそうですが、女子だったら笑いごとではすみません。そして、ここは女子トイレ。来客者の少なくとも90%以上は女性です。
どうしようか、と、ぼんやりと天井を見据えました。そうだ、まだ方法はある。
幸い、そのトイレは、ドアと天井の間に隙間があるトイレだったのです。上から見れば、人がいないかどうかが察知できる。完全に覗き魔の発想ですね。でも、背に腹は代えられませんよ。
トイレットペーパー台に足を置き、両手を壁に押し付けてバランスを取り、あまり不自然に大きな音が出ないようにと神経を強張らせ、精一杯の力で首を上に向けました。身長はそれなりに高かったので、一瞬だけですが、トイレ内に誰もいないことを確認できました。
すぐさま脱走。なんとか事なきを得ましたが、その後の人生で女子トイレに入ったことは1回しかありません(それはガチで間違えて入った)。女子トイレこわい女子トイレこわいまんじゅうこわい(入りたいのかよ)。
………………………………………………
2016年、夏。直方体の器械を見ながら架空のモンスターを集めて闘わせて遊ぶ小学生たち。まるで1997年の夏休みの僕のようだ。彼らもきっと、19年前の僕のように、他人には言えない哀しい恥ずかしい経験を人生のどこかでするのだろう。朝のアニメ再放送って今はやってないのね。
サウナはたのしい。