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ジャンクな懐かしさ

HIKAKIN先生が渾身の力作と自負するカップ麺「みそきん」が再販されましたが、皆様はゲットされましたでしょうか。

今回も悪しき転売ヤーたちの餌食にされているなどという話も聞きますが、意外とカップ麺の賞味期限は短いので、転売行為の片棒を担ぐこと自体は推奨できませんが、今のところ別に法に触れるわけではないので、どうしても欲しいが店頭では買えなかったという方は、なるべくお早めに。

自分は前回ゲットしたのでもういいか、という感じでして、今回は傍観しております。まあ正直なところ、また食べたい、と思うまではいきませんでした。もちろん、美味しいのは美味しいのですけど。

個人的な感想としては、麺に関しては、蒙古タンメン中本のカップ麺の辛くないバージョン、スープに関してはけっこう強めにニンニクの効いた濃口で、こってりとした濃厚な味噌󠄀ラーメン、ですかね。確かにカップ麺としてのクオリティは相当に高いが、逆にカップ麺にそこまで完成度を求めていないんだよなあ。

カップ麺界のHIKAKINであるカップヌードルが長年ずっとトップを走り続けている理由のひとつに、あの、いかにもジャンキーな細々とした麺の魅力があると思うのです。あの麺の味については常に改良されているとのことですが、少なくとも形状に関しては、自分の子供の頃からほとんど変わっていない。

カップ焼きそば界のHIKAKINであるUFOや、カップうどん界のHIKAKINであるどん兵衛は、途中で麺が本格派になってしまい、かつてのUFOの麺のチリヂリ感や、かつてのどん兵衛の麺のフニャフニャ感が味わえた時代はもう今は昔。

昔は良かった、などというつもりはないが、もともとガレージロックを演奏していたバンドが同期サウンドを取り入れはじめたような、確実に進化はしているのだろうが、しかし荒っぽさの残る昔のほうが推せた、みたいな気持ちがある。

しかし、俺たちのカップヌードルは、まだまだジャンクであり続けている。謎肉の存在を忘れた頃に謎肉祭をやってくれるし、野菜系ヌードルで過去に何度もコケていることを忘れた頃に野菜系ヌードルを出してコケてくれているところがたまらなく愛おしい。

つまり、カップヌードルは、発売開始から半世紀を迎えた今でもなお、未完成なのだ。そして、「みそきん」は、はじめから洗練されており、すでに完成している。というか、HIKAKINさんの存在そのものが、ブランドとしてすでに出来上がりすぎている。

HIKAKINさんが聖人なのは周知の事実ではありますが、そんな聖人であってももちろん最初からトップユーチューバーだったわけではなく、スーパーの店員のおにいさん兼インターネットで変顔をする人だった時代が長くあったそうです。

ユーチューバーという職業が広く知られるようになったのは、かの「好きなことで、生きていく」というキャッチコピーで、史上初のユーチューバーのマネージネント事業として立ち上げられたUUUMの広告が至るところに掲げられた2015~2016年頃ですが、別に自慢するわけではありませんが、自分はそのだいぶ前から、ユーチューバーと呼ばれる人たちの存在を把握していました。

具体的にいえば2010年前後あたりですね。半フリーターみたいな生活をしていたため、暇を持て余しており、当時はまだ違法アップロードも多かったユーチューブをひたすら視るくらいしかすることがなかったのです。本当に自慢にならねえ。

そこで発見したのが、ユーチューブで変なことをしている人たちの存在です。最初に見たのは市営住宅っぽいところで鼻くそをほじる歌をうたう当時はまだ高校生のPDS株式会社ことダンテくんだったと思う。HIKAKINさんとすでに交流があり、よくコラボ動画も出していたので、自然とHIKAKINさんのことも知っていったのですが、その頃のHIKAKINさんは、良い意味で垢抜けきれていないというか、いかにも一般人でした。

動画の内容も今ほど凝ったものではなく、コンビニで買った新作カップラーメンのレビューだったり、当時から一目おかれていたヒューマンビートボックスを披露したりと、それほど情報量の多くない、頑張れば自分も真似できるかもしれないと思えるようなシンプルなものでした。実際は真似できる人は限られていて、その限られた人たちが後年に人気ユーチューバーになれたのでしょうけど。

HIKAKINさんに限らず、最近のユーチューブ動画は30分を超える大作も少なくなく、重要なそうなところ以外は飛ばすことも多いです。ひとつひとつのクオリティがとてつもなく高く、合法的に無料でこんな面白いもの視られるなんてなんという時代だ、とも思うのですが、その一方で、肖像権ギリギリだった昔のユーチューブと、その頃の自分の、安酒だけが生き甲斐だった感覚をふと懐かしく感じる。

思えばnoteも初期はかなり色々とギリギリで、ユーザーに本気でサービス終了の心配をされていましたが、今や大手SNSの仲間入りを果たしました。

それはそれで喜ばしいことなのですが、あの、インターネットの裏のあんまり人がいないジャンクシティなnoteが愛おしく……、ありつつも、今のnoteは今のnoteで好きなのですが、時折あらわれるPayPayの広告がしつこいのだけはどうもなあ、とは個人的に感じています。

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