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短編小説1000字

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2021年10月の記事一覧

短編小説 生命体について

確かに震えていた。コウイチは恐ろしかった。目の前にいるナオコが知らない女に見えていた。
「ねえ」
口角を上げながらナオコが顔だけ近づいてくる。
「 八ヶ月のあいだずっとお腹が大きくなり続けて、ある日急に自分とは違う生命体が産まれたら」
恐ろしいのは滑稽な例え話である。
ナオコは妊娠したに違いない。これが震えの正体である。
「あなたなら、どうする?」
近い割に興味も無さ気にナオコはコウイチに

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