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花より男子が大好きで

正常な三十代女性だから、当然「花より男子」のことは大好きだ。
漫画だって、映画だってドラマだって、全部大好きだ。
道明寺に恋して、やっぱりごめん花沢類だわってなって、ああ、無理、やっぱり道明寺に強引に愛されたいから!!って、みんなが通る道を順当に辿ってきた。
もちろんときどき、急にカッコよくなる美作とか西門にぐらっときたりもする。それも正常だよね。

そして、年甲斐もなく、わりと定期的につくしちゃんになる夢も見る。
朝起きて、なんかちょっとヤバい感じの、でも、ものすごくときめく夢を見たぞ、と思うときはだいたい花より男子の夢をみた日だ。もちろん私はつくしちゃん。桜子にもシゲルにもならない。基本的にヒールが大好きだから、桜子をものすごく贔屓してるのだけど、夢では必ずつくしちゃんだ。
夢でくらい、道明寺と花沢類の間で揺れながら道明寺に強引に愛されたい。
結局、私はどれだけ花沢類に癒されても、花沢類の想いに気づいても、多分きっと道明寺を選ぶのだ。なんだかんだ言ってやっぱり女は追われたい生きものだと認めざるを得ない。

ただ、私がつくしちゃんだとするならば、最終的には道明寺に娶られることになるのだけど、そうなるとどうしても過ることがある。
かつて、道明寺は織部君(MC15巻参照)の知り合いの男の子を怪我させている。それも生半可なやつじゃない、内臓破裂、という完全に障害沙汰のやつだ。そもそも、道明寺は学園のいじめの首謀者であり、かなりの屑だった。いくらつくしちゃんによって飼いならされたドーベルマンみたいになったとしても、やったことは消えない。
そのことがいちいち私を苦しめる。
例えば、挙式をあげたその時に、永遠の愛を誓ったその時に、妊娠が分かったその時に、子どもが生まれたその時に、私は織部君の知り合いであるその男の子を思って、言いようのない罪悪感を覚えてしまう。時にはその罪悪感に押しつぶされそうにさえなる。
もし仮に、道明寺がきちんとしかるべき方法によって罪を償い、そのことを猛省しながら生きていたとすれば、幾分救われるのだけれど、確か道明寺のお父さんが件の不祥事を金でもみ消したのだ。
おそらく直接の謝罪なんてしてもいない。

私は、道明寺が大好きだし、一生全力で愛されていたいし、強引に追われていたい。だからこそ、道明寺には一刻も早く織部君のお知り合いのお兄さんに適切な謝罪をしてほしい。
そして、心おきなく幸せになりたい。私が。

あと、もうひとつ、やはりどうしたって花沢類の存在が大きすぎるのも、幸せに小さく影を落とす。道明寺を選ぶ理由はあっても、花沢類を選ばない理由は結局なにひとつないのだ。花沢類は出会ったときから今日まで、ずっとあのビー玉みたいな目で私を見る。いくら恋はタイミングだとか先人が言ったからって、花沢類の魅力は変わらない。
しかも私のことをずっと見守ってくれている。あの地のはてみたいな漁村から見つけ出してくれたのだって花沢類だ。今回日本に逃げてきた(花のち晴れ 9/15 更新分参照)私のそばに花沢類はやっぱり当然みたいな顔をしていてくれた。死にそうなときに必ず助けてくれるのは花沢類だ。そんな花沢類の気持ちを無視し続けて生きていくなんて、そこだけ見ればほとんど生き地獄だ。
身体がもう一つあるなら、花沢類の気持ちにこたえて、花沢類を幸せにしたい。花沢類を笑わせたい。
花沢類のことはきっと多分、一生好きだ。
そしてきっと、花沢類も私のことが一生大好きだ。

ふたりのことが好きすぎて、悩みと苦しみが尽きない。
私はこうして一生この男たちを思って、幸せになったり、時々小さく不幸になったり、少し悩んだりを繰り返す。
愛を語るのは楽じゃない。

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