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お湯を飲んで、しっかり寝てよ

【3月下旬のいつかの日記】

楽しみにしていた取材があって、朝なのにすこしご機嫌だった。
子どもたちを無事に送り出したし、きちんと顔も洗ったし、あとは着替えて出発という段になって電話が鳴る。
電話の主は、令和6年度の婦人会の役員のおひとりだった。
私は令和5年度の婦人会会長をしていて、引継ぎでちょっとした厄介ごとが発生していた。令和6年度で話し合うべきことだったので、その旨会議で述べたのだけど、納得のいかない人というのはやはりいる。

話の内容は省くけれど、まとめると、私はものすごく怒っているよ、ということであり、そして厄介なことに怒りの矛先をどこに向ければいいのか探しあぐねている様子。
私は今この瞬間にも、編集長とカメラマンとの待ち合わせ場所に向かいたいのに、いまいち的を得ない浮遊した怒りの落としどころをナビゲートしてやる必要があるらしい。動悸がする。

常々、世の中みんなほんとうにほんとうに怒りすぎだと思う。あと、みんななんでも決着をつけたがりすぎだ。
生きる意味を探すのと同じくらい無意味なことをやりすぎている。
あったかいお湯を飲んで、しっかり寝た方がいい。

弁論が少々長くて大変だったので、私は仕事へ行くので知っていることだけお話しますよ、と前置いて、早口で知っていることを述べた。
お名前をたずねると「そんなこと言いません」とぴしゃり。
やだ、言ってよ。

*

取材は期待通り、とても楽しくて、すごくいい時間だった。
あたたかい方ばかりで朝の悶着がきれいに洗い流される。
申し訳ないほどもてなしていただいて、ひたすらお礼を言って現場を後にした。
振る舞っていただいた、6Pチーズにバジルペーストととびきりのハチミツを添えたやつが目をひん剥くほど美味しかった。真似したい。

取材の後、食事をしながら編集長とカメラマンと打ち合わせを。
お食事もとびきり美味しかったし、いい時間だった。 

〈食べたもの〉
かつお茶漬け
ブリのアラ炊き
アジフライ
サラダ
あおさ味噌汁
お香

*

帰宅したら、子どもたちを引き連れて小児科へ。
定期薬を頂きに。
珍しく空いていて、ほっとする。
待ち時間にスマホであれこれチェックしていたら、ああ、猛烈な睡魔。昨日の夜はなかなか寝付けなくて寝不足だった。
久しぶりに首が痛くなるほど船を漕いだ。

ここの小児科ではきちんと通院している旨、お医者さんが労ってくれるので、私は当たり前のことをしているはずなのに、報われる。

「お母さん、いい感じ。お疲れ様。ありがとうね」

先生、みんなにこれを言ってるんだろうか。
立派だなぁ。

お会計を待つ間、待合室で悲壮感たっぷりに泣いている2歳くらいの男の子がいて胸が痛くなる。
我が子がすっかり大きくなると2歳なんてほとんど産まれたてで、ただただ愛おしい。抱っこして歌でも歌ってあげたい衝動が騒いで困る。
わたし、いつか判断力が鈍ったら、うっかり抱っこするおばあちゃんにならないだろうか。
今のうちに、泣く子にはシールを配る習慣をつけておいて、体に覚えさせておかなくては。

*

18時20分、ようやく帰宅して、急いで夕飯の準備。
空いていたとは言え、やっぱりいつも通り遅くなった。
19時20分には家を出て、学校へ行かなくてはいけないのに。PTAの会議がある。

台所では夫が義実家からもらったという茎わかめを茹でていて、大変申し訳ないが邪魔である。
さあっと緑色に変わる茎わかめに見惚れつつ、夫を華麗によけつつ、夕飯を作る。

〈食べたもの〉
サバの味噌煮
山芋を焼いたやつ
キャベツとブロッコリーとほうれん草のちょっとあったかいサラダ
きんぴらごぼう
茎わかめの甘辛いやつ
朝つくった野菜のお味噌汁

など。全体的に甘辛い日。

*

会議はさくっと終わったけれど、諸々の確認事項を詰めていたら8時半を過ぎていた。年度末を迎えるあたり、それぞれ確認しておきたいことが山のようにあるので仕方がない。
帰宅してもしばらくつま先の冷えが取れず、下半身が不快。
学校ってなんであんなに寒いの。
学校の先生ってすごく身体が丈夫だと思う。
寒い中立って授業をして、寒い寒い廊下を歩いて、寒い寒い寒い校庭で笛を吹いたりしているなんて、想像だけで風邪をひきそう。
息子のあったかいふくらはぎにつま先を押し付けて暖を取りながら、諸先生方の立派さに心の中で合掌した。

登場人物が多く、いちいち勝手にあれこれと思いを巡らせる一日だった。
朝の怒っていたご婦人がそのうち家に突撃してこないか心配。


また読みにきてくれたらそれでもう。